日本の交通事故数は年を追うごとに減っています。
それは高齢ドライバーが起こす事故も同じ。
そして「原付以上免許保有者10万人あたりの第一当事者となる事故件数」を見ると
高齢ドライバーとされる最も下のカテゴリー『65歳から69歳』は、
『16歳〜19歳』『20歳〜24歳』『25歳〜29歳』『30歳〜34歳』より少ないんです。
高齢者世代で最も事故件数が多い『85歳以上』でさえ、
『16歳から19歳』『20歳から24歳』よりも少ない。
それでも、問題視されてしまうのは、
少子高齢化で高齢世代の人口が増えているので、
世代別に見ると高齢ドライバーの事故数が多いから。
さらに、他の世代の事故件数も減っているため、
交通事故全体に占める高齢ドライバーが第一当事者の事故の割合が、
高くなってしまうから。
まずは、このことをお伝えしつつ、これまで問題視されてきた
高齢ドライバーの「認知」「判断」「操作」する力の低下の他に
新たにクローズアップされている「有効視野」を今回は取り上げました。
電話でお話をお聞きした東京 江戸川区にある二本松眼科病院
副院長:平松 類さんによると、認知機能の衰えは事故に関係しますが、
それ以上に「有効視野」、見える範囲の方が重要であるということ。
有効視野は「周辺視野」とも言われ、
人が動いているとか信号が赤から青に変わったことがしっかりと分かる範囲。
これは加齢とともに狭くなります。
有効視野が狭くなれば、当然に交通事故を起こしやすくなる。
特に多いのは右折左折など交差点による事故です。
右折左折をする時には人の動き、信号の状態、相手方の車の状態、
判別しないといけないことが多いですが、
どれかを見落として事故に繋がることが多いとさています。
ただ、この有効視野が狭くなるのは高齢者だけには限りません。
若くても個人差で視野が狭い人がいますし、
ストレスや環境によって視野が狭くなってしまう状況があるとか。
疲れていて運転する時や、心配事がある時、
それから人と話しながら運転すると視野は狭くなります。
集中して運転できるように環境を整えることも大切。
ちょっと心配になるかもしれませんが、
有効視野の測定は眼科など病院で検査することが出来ますし、
日々の訓練で視野が広がることもあるそうです。
年齢を重ねると視野が狭くなる傾向があり、
安全運転に支障をきたすかもしれないということを覚えておきましょう。
70歳以上の免許更新時に受講義務がある齢者講習では、
3つの目の検査が行われます。
「動体視力検査」「夜間視力検査」「視野角度範囲検査」。
高齢運転者になった時に、これらの結果が芳しくない時は、
免許返納も考えたほうがいいかもしれません。