第336回 令和3年上半期における交通死亡事故の発生状況

2021/09/10
令和3年 上半期の交通死亡事故発生状況が、
7月末、警察庁から発表されました。

交通事故で亡くなった人の数は 1,198人 。
調査が始めてから最小だった去年上半期 1,357人 よりも159人の減少しました。
率にすると11.7% マイナスです。





一般社団法人 安全運転推進協会 統括マネージャー 平石 章さんによると
減少の背景について考えられるのは以下のようなことでした。

車両の安全性や医療の進歩。
飲酒運転の取り締まりや携帯電話のながら運転の取り締まりの強化。
高齢者の増加と若者の車離れで運転の走行距離が短くなった。

証明はできませんが“多くのドライバーの交通安全意識の向上”も
働いていると思いたいところではあります。





そして、今年の上半期は歴史的な出来事がありました。
春の全国交通安全運動期間中の4月8日、
日本全国で1日の交通事故死者数ゼロを記録。
これは1日ごとの交通事故統計が残る昭和43年以降で初めて。

喜ばしいことです。
でも、裏を返せば、それまで足かけ53年、
日本では毎日どこかで交通事故で亡くなる人がいて、
今年の上半期も、全国で交通事故死亡者ゼロだった日は、
4月8日しか無かったということ。

まずは、交通事故死亡者ゼロの日が続き、
いつか交通事故ゼロの日が生まれることを目指したいものです。





今回の警察庁の発表の中で気になるのが・・・
児童(小学生)の死者数は7人で、対前年同期比で同数。
重傷者数は328人で、 前年同期比で57人増加という部分。

平石 章さんによると、小学校1年生と2年生が多く、
そのくらいになると親の付き添いなしで登下校するようになり、
1人で遊びに行く回数が増えるけれど、危険なことをきちんと把握できていない。
また、大人の視野に比べて子どもの視野は大変狭く1/2くらい。
車のドライバー側は身長がまだ低いので子どもに気づきにくい。
そんなことから事故が多いと考えられています。
交通安全の世界では「魔の7歳」と呼ばれるそうです。


周囲の大人が、ふだんの生活の中で、
何が危ないのか? どうして危ないのか? 事故に遭うとどうなるのか?
理解できるように、丁寧に伝えることが、彼らの命を守ります。

また、ドライバーとしては、特に登下校の時間、
子どもたちに注意を払いたいものです。





『令和3年上半期における交通死亡事故の発生状況』。
警察庁が発表時、概況として伝えているのは他に

○ 歩行中死者の事故類型別では、横断中が約7割
 横断歩道以外横断中が約5割、 横断歩道横断中が約2割
 横断歩道以外横断中の歩行中死者の約7割に横断方法等の違反がある

○ 自転車乗用中死者数は172人で、対前年同期比で−34人、−16.5%
 死者の8割弱には法令違反がある


など

令和3年 秋の交通安全運動が始まる来週、再来週の放送では、
今回の重点ポイントについて詳しくお伝えします。