第322回 後方の安全確認

2021/06/04

クルマを運転する時、確認しにくいのが後ろの安全。
車体の死角部分があり、障害物で見にくいこともあり、注意が必要です。
今週のテーマは「クルマ後方の安全確認」。
JAF 東京支部 事業課 交通環境係 栗原悠羽さんにお話を伺いました。





国土交通省は今月、道路運送車両法に基づく保安基準などの改正を行い、
2輪車などを除く自動車に対し、車両直後の障害物を確認できる
カメラやセンサーなどの装置を備え付けることを義務付ける方針です。

新型車については2022年5月以降、
継続生産車についても2024年5月以降に適用となる予定。

車のすぐ後ろは運転席からは死角となり確認することは難しいもの。
バックカメラやセンサーがあることで死角を少しでも減らし、
見落としを防止する効果を期待できます。

ただ、もうしばらく時間がかかりますし、
「バックカメラ」があっても頼りきりはよくありません。

公益財団法人交通事故総合分析センター ITARDAが発表している
2008年から2017年の10 年間に発生した死傷事故のうち
後退事故が占める割合は増加傾向にあるとされています。

歩行者が巻き込まれる事故については、
特に駐車場などで歩行者が巻き込まれるケースの割合が増加。
後退事故を起こした車の運転手の年齢を見てみると
若い運転手からベテランの人まで広く分布しているので
常にバックする時は危険を意識する必要があります。





駐車場にはお年寄りや子どもいて
バックに進行している時はそれほどスピードが出ていないとはいえ危険。
バックカメラ搭載のクルマに乗っている人も気をつけて下さい。

バックカメラは運転席から見えない後方を確認できる便利な装備。
でも、後方すべてが映るわけではありません。
また車の側方や前方など、映らない場所もあるので、
駐車場などで周囲に止まっている車の影から歩行者が出て来て
ぶつかってしまうことも考えられます。

また、前向きで駐車して後ろ向きで動き出す場合は、
左右の車、後ろの道路、確認するべきポイントが多くなります。
どこか見落としがあれば、それが事故に繋がりかねません。





いわゆる”前方”と比較して“後方”は角度が広い。
前方が100度だとすると260度。
範囲が広い上に、いろいろな理由で見にくさが伴います。
何もないか? クルマや自転車や人が近づいてないか?
しっかりと確かめるようにしましょう。

その時に重要なことはギアをリバースに入れてからすぐ車を動かさず
ミラーやバックモニター、目視も組み合わせて安全確認してから動かすこと。
不安な場合は車を止めていちど降りて目視で安全確認する必要もあります。

縁石や背の低いポールなどの障害物は、
バックモニターを使っていても死角になりがち。

特に遠出した目的地に到着した時には、
早く車を止めようという意識が働きがち。
安全に停車するまで気を緩めずにしっかり安全確認して下さい。





対物や対人事故ではなく、物損事故だったとしても、
大事にしているクルマに傷がつけば凹むと思います。
多くのドライバーはバックがあまり得意ではないもの。
慎重にいきましょう。