去年11月、内閣府と厚生労働省は、保育施設園児の安全を確保するため、
「キッズ・ゾーン」設定の推進を都道府県などに通知しました。
今週は それから1年が経った「キッズ・ゾーン」についてお伝えしました。
話を聴いたのは交通問題に詳しい矢貫隆さんです。
キッズ・ゾーン設定のきっかけは、
昨年の5月に滋賀県大津市で起こった交通事故。
横断歩道の信号が青に変わるのを待っていた保育園児など16人が、
交差点で衝突した2台の車の1台によって死傷してしまった事故。
記憶に残っている方も多いでしょう。
子どもが被害に遭う交通事故の報道が増えていることもあり
約1ヶ月後、交通安全緊急対策という閣議決定が出ました。
その施策の1つとして出てきたのがキッズ・ゾーンです。
キッズ・ゾーンは幼稚園や保育所から周囲500mに設定。
設定場所により道路事情が違って一律のことは出来ないので、
スクールゾーンに準じた対策を立てることが目標です。
通学に関わる時間の車の交通を遮断するなどといったことです。
他にも大型車の通行を止める、歩車道分離を推進する、ガードフェンスを付けるなど。
調べて見たところ、キッズ・ゾーン導入が早かったのは豊橋市。
今年1月、愛知県で初めて設定しています。
その後、4月に宇都宮市が栃木県で初めて、7月には船橋市が千葉県で、
萩市が山口県で初めて、9月には東大阪市が大阪府で初めて設定しました。
都道府県初の市町村が出始めて動き出したばかりという印象です。
実際、まだキッズ・ゾーンのことを知らない人も少なくないでしょう。
これらの内容については、いずれも取り入れているのが路面標示。
それだけのところもあれば「横断旗や注意看板」の設置や
園児に同行して安全を確保する「キッズガード」配置に取り組むところもあります。
交通安全対策の内容については、
行政の保育担当部署が、道路管理者、都道府県警察と協力しつつ、
具体的な安全対策を検討となっているので、協議に時間がかかり、
具体的な施策を決めるのも大変かもしれません。
形式的にではなく、意味ある安全対策を、早く講じてほしいものです。
今回、お話を伺った矢貫隆さんは、
交通社会で子どもを守るには地域の協力が必要だと考えています。
例えば近くに運送会社、タクシー会社など、自動車関係の企業があれば
通学時間帯に参加してもらい、園児たちの交通安全確保に協力してもらう。
また、地域住民が危険と思われる要所に立つと、かなり安心感は増えるでしょう。
矢貫さんは「とにかくキッズ・ゾーンという認識が足りない」と話していました。
今日の放送を聴いたみなさんはキッズ・ゾーンを忘れないでください。
車の運転時、路面標示を見たら、園児に気をつけましょう。
そして、地域で子どもの安全を守ることを、いつも念頭に置いておきたいものです。