「多段階一時停止」あるいは「多段階停止」という言葉を聴いたことはありますか。
安全のために推奨されることが多い一方で危険を指摘する声もある
この「多段階一時停止」について、今回はお伝えしました。
コメントは、JAF東京支部 事業課 交通環境係 高木 孝さんでした。
多段階一時停止は一般に、見通しの悪い交差点などで一時停止の規制があって、
停止線で止まるだけではなく、2回3回にわたって止まる停止方法のことを言います。
まずは、停止線で止まる。次に、鼻先を少し出して止まる。
最後にドライバー自身が確認できるところで止まる。
ドライバー自らが見るためではなく
交差する道路を走行してくるかもしれない車・自転車や
歩いてくるかもしれない歩行者に対して
自らの存在を認識してもらい、出会い頭の事故を防止する目的があります。
JAFも長年、多段階一時停止を推奨しています。
ドライバーが自分で安全に責任を持つという考えから
停止線で止まり、自分で確認するという2段階のやり方だと
場合によっては他の車や自転車、歩行者からすると
「いきなり車が出てきた」と思われかねない道路環境があるのも事実。
その前に相手に見つけてもらうというコミュニケーションの発想で
事故リスクが軽減できるという考えからです。
ただ、意外とこの多段階一時停止は難しい点もあるとのこと。
車両感覚が身についていないと、
微妙に出ていなくて相手からは見えなかったり、あるいは出すぎてしまったり。
安全のお確認方法も、多くの人が停止線で止まり、
そのあと動きながらキョロキョロ見ながらゆっくり進むそうです。
動きながらだとしっかりと安全確認するのは難しいので
しっかりと止まった時に確認するという高木さんの指摘でした。
最近では配達中の多段階一時停止の実施を義務づけている運送会社もあります。
「多段階一時停止」を推奨している自動車教習所もあります。
一方で「多段階一時停止は後続車にとって危険では?」という声もあります。
これについて、高木さんに伺ってみました。
確かに運送会社のステッカーを見ると、
どんなところでも多段階停止するような印象があります。
見通しがいい、停止線で止まっても十分に安全確認ができる交差点で
多段階一時停止すると追突の危険性が出てくるかもしれません。
後続車はいちど止まって安全確認したのだから進むだろうと思うからとのこと。
見えにくい交差点では、多段階一時停止を取り入れる。
その上で後続車の立場にある時は、前の車が「多段階一時停止」を
するかもしれないと念頭に置いて運転することが必要でしょう。
ゆとりがないと前の車が再びブレーキを踏んだ時に追突しかねません。
注意して下さい。