第285回 運転中に起こる錯覚 後編

2020/09/11
私たちがふだんの生活の中で陥ってしまう錯覚。
それは車のハンドルを握っている時にも起こります。

今週は先週に続いて
自動車ジャーナリスト 菰田潔さんでにお話を伺い
『運転中に起こる錯覚』後編をお送りしました。





今週はまず「視覚吸引作用」と呼ばれるケースから。
ドライバーはいろいろなところを見て運転しているわけですが
目で見た方向に進んでいく傾向があります。

例えばトンネルの中に入った時に壁が近くて圧迫感があると
壁ではないほう方を見て、その方向に車が寄ってしまう。
それが高速道路で時速100kmで走っていたとすると
ハンドルを少し動かしただけでもかなり角度が変わります。

例えばその結果、右隣の車線に近づくと、
そちらの車線を走るドライバーは「幅寄せした」と思うかもしれません。
自分の車線をキープして車線の真ん中を走るよう心がけましょう。





車もそうですが特に見た方向に進んでしまうのが二輪車。
最近は性能が良く、ヘルメットをかぶった頭を向けるだけで、
その方向へ簡単に進むので、気をつけるようにして下さい。





そして、次は「曲方志向」。
これはカーブを曲がっている時に広い方に寄ってしまうこと。
左カーブの時には左側に寄っていきますが、
スピードを出したまま曲がる場合、寄りすぎることがあります。
左側にガードレールや崖や土手があったりする時には危険です。

右カーブの時は右に寄る傾向があります。
日本は左側通行なので対向車線があれば対向車とぶつかるかもしれません。
この現象も自分の車線の中だけで走る意識で防ぎましょう。





そして、次は街中ではなく、田畑の中の
信号機はなくて広く見通しの良い交差点で起こる「コリジョンコース現象」。

あなたは信号のない真っ直ぐの田舎道を直進しているとしましょう。
前方で別の道路が90度で交差しています。

その交差点に向かって、あなたが南から北へ走っているとしたら、
東から西へ走っている車があります。走る速度はあなたの車とほぼ同じ。

この車がピラーの死角に入っていると車の存在に気づきません。
またこの時にウィンドウ越しに視界に入っていても、
同じ速度で走っているとお互いの車が動いているようには見えない、
田畑と同様、風景の一部と錯覚してしまうので察知しにくいのです。
そして、気づかずに衝突・・・ これがコリジョンコース現象です。
初めは道路がない飛行機で起こりました。

自動車の場合は北海道のような広大なところで起こりがち。
視界が開けた田舎道なのでスピードを出していることもあり
重大な事故になることも少なくありません。
旅行の時には気をつけましょう。

2週にわかってお伝えした運転中に起こる錯覚。
錯覚をしやすい状況を覚えておいて下さい。
そして、まずは未然に防ぐよう注意しつつ、
何かの時には正しい対応策をとるようにしましょう。