このところ流行っているトリックアート。
私たちの目の錯覚を生かして楽しむものですが、
目の錯覚がクルマの運転中に起こってしまうと・・・危ないですよね。
でも、ハンドルを握っている時も、
そんなシーンは少なからず起こり得ます。
今週と来週の「なるほど!交通安全」は『運転中に起こる錯覚』です。
話を聞くのは日本自動車ジャーナリスト協会 会長で
日本自動車連盟 交通安全委員会の委員もつとめる菰田潔さんです。
まず「蒸発現象」と言われるケース。
これは急に明るい光が射すところに入ると目の調節が追いつかず
今まで見えていたものが見えなくなってしまうことを言います。
例えば、トンネルの出口。
暗いトンネルの中から明るい外へ出た瞬間、
前の車や状況が見えなくなってしまいます。
逆に夜の場合にはカーブや道の勾配によって対向車のライトが目に入り
途中の車が見えなくなってしまうこともあります。
トンネルから外の明るいところに出る時は予め目を細めておく、
あるいは明るいところを意識して見るようにしましょう。
暗いところに慣れた目を早めに明るいところに慣れさせることが必要です。
また、眩しいと思った時には、そのライトは見ないことが大事。
びっくりして急ブレーキを踏んでしまったりすると危険です。
落ち着いて運転することがとても大切なポイントです。
そして、同じく見えなくなる運転時の錯覚でも
暗さで見えなくなる「溶け込み現象」。
こちらの例は特にあまり大きくない道路に現れるライトが暗い、
あるいはライトがないトンネルなどで起こります。
前の車が外からトンネルの中に入ると
後続ドライバーには暗やみに溶け込んでいなくなったように見える。
最近の車はデイタイムランニングライトが点いていますが
そうではない車に乗っている方はトンネルに入る時には
必ずライトを点灯するようにしましょう。
ヘッドライトは自分で障害物を見るためもありますが
自分がそこにいるぞということを周りに知らせる意味もあります。
そして、「追従静止視界」。
追従、ついて行くと視界が静止するという現象です。
これは高速道路でよく起こります。
例えば時速100キロとかなりのスピードで走っていたとしても
前の車と同じスピードでずっと走っているとスピード感覚を失います。
前の車と自分の車の距離が全然変わらない
お互い止まっているように錯覚してしまうのです。
すると、スピードを感じなくなってしまうので、
車間距離が近づいても危険を感じなくなります。
ところが時速100キロで走っているとするとブレーキを踏んでから
車が停車するまで約56mは必要。
前の車と近すぎていた場合は何かあってブレーキを踏んでも
間に合わないということになってしまいます。
必ず、適切な車間距離が必要です。
菰田さんによると、世界では車間距離は2秒空けるというのが浸透しています。
まだまだある「運転中に起こる錯覚」
この続きは、来週、お伝えします。