第276回 煽り運転に対する法整備

2020/07/10

6月30日「あおり運転」を規制する改正道路交通法が施行されました。
数年前、度重なるように報道された「あおり運転」のニュース。
人が亡くなるという事故も起きています。

今回は、東京 麹町みらい総合法律事務所 
吉田太郎弁護士に解説していただき
どんな法整備がなされたのかをお伝えしました。





今回の改正道路交通法では”あおり運転そのものを禁止する”
という書き方ではなく、他の車両の通行の妨害をする目的で
以下の10個の類型の行為をすると妨害運転になるという形で規定しています。

1)「通行区分違反」→ 逆走

2)「急ブレーキ禁止違反」→ 急ブレーキをかけて
               後ろの車を止めさせる行為

3)「車間距離の不保持」 → 前の車に距離を詰めるような運転

4)「進路変更禁止違反」 → 他の車線から急に進路変更して
               車の前に入り込むような行為

5)「追い越し違反」→ 左から追い越して車の前に入るような行為

6)「減光等義務違反」→ 後からハイビームを出して
             運転しにくくする行為

7)「警音器使用制限違反」 → にクラクションを鳴らし続ける行為

8)「安全運転義務違反」→ 例えば幅寄せ

9)「最低速度違反」→ 最低速度表示よりも遅く走り 
            後ろの車の運転をさせにくくする行為

10)「高速自動車国道等駐停車違反」→ 高速道路で車を駐停車して
                    後ろの車を困らせる行為






この10の行為によって摘発された場合には
3年以下の懲役、または50万円以下の罰金が定められました。

また、妨害運転等をするだけでなく、高速道路上で後ろの車を停車させるなど
著しい危険を生じさせた場合には5年以下の懲役、または100万円以下の罰金。
さらに罰則が重くなります。

行政処分もあり、違反点数が25点なので即免許取り消し。
2年間は免許をできません。
高速道路上で後ろの車を停車させるなど
著しい危険を生じさせた場合には違反点数は35点。
免許を取れない欠格期間は3年間となります。
クルマがが生活に欠かせない方は気をつけて下さい。





そして、今回の「あおり運転」に対する厳罰化。
実は自転車も摘発対象になっているのをご存知ですか?

自転車については、今まで酒酔い運転や信号無視、
スマホをいじりながらの運転など14項目の運転についてが
危険行為として講習を受ける対象となっていました。
14歳以上の場合は3年間に2回違反を摘発された場合、
安全講習が義務付けられています。

そこに15個目の項目として、上記自動車10類型述から
高速道路を対象にした2つと自転車の場合はハイビームがないので
ハイビームを除く、7つ行った場合は講習の対象になる形で改正されました。

1)「逆走して進路を防ぐ」

2)「幅寄せ」

3)「進路変更」

4)「不必要な急ブレーキ」

5)「ベルをしつこく鳴らす」

6)「車間距離の不保持」

7)「追い越し違反」



自動車にしろ、自転車にしろ、普通ならやるはずのない行為。
「あおり運転」を日本の社会から無くしましょう。