第232回 交通安全少年団

2019/09/06

「交通安全少年団」という存在をご存知ですか? 
野外訓練や交通安全活動を通して交通ルールやマナーを身につけ、
学んだことを社会に伝え、将来は優しさと思いやりをもつ大人を目指す子供たち。
今週は、東京を例に、その活動を紹介しました。

東京都内では、98の交通安全協会が、
管轄地域で交通少年団を結成し、活動を行なっています。
団員数は3千人ほど。その集合体が「東京交通少年団」です。

高度経済成長期まっただ中の昭和40年代前半。
交通事故死者数は東京都内だけで毎年700人 から 800人にもいました。
子どもの死者数も100人以上。

そんな状況の中、昭和45年、
全国で初めて東京の小松川で「交通少年団」が結成されました。

子どもの交通事故をなくすため、子どもたち自身を主体とした組織を結成。
活動を通じて、子どもに交通ルールや交通マナーを身につけてもらい、
交通安全意識が高まることを、目指したのです。

翌年、小松川地域では、子どもの交通事故が激減。
このことが注目され、全国で交通少年団が結成されていきます。

そして、東京では4年後の昭和49年、
地域交通少年団の連合体「東京交通少年団」が誕生しました。


それから45年。
今では夏休み中に「東京交通少年団」はリーダー研修会を開催しています。
今年も8月19 日と20日に1泊2日で行われました。
その目的は参加している子どもたちが、
各地域にある交通少年団のリーダー的な団員になること。

川奈副団長にお話を伺ったところ
こうした経験を踏まえて団員同士が親睦を深めるとともに
規律を守ることを身につけ、大人になった時に、
交通ルールに対する責任を持って成長していれば未来の事故防止に繋がる。
同時に友達との交流を深めることはいじめがない社会づくりに繋がる。
そう話して下さいました。

真面目な交通ルールの講習ばかりでは
さすがに子どもたちも飽きてしまいます。
そこで、楽しみながら、真剣に交通安全の知識を習得できるよう、
考えて、カリキュラムも作られているのだとか。
    
リーダー候補の研修会なので、もともとは知らない子どもたちの集まり。
少しずつ打ち解けていって、最後には泣きながらお別れする子もいるとか(笑)

参加している子どもたちに話を聞いたところ
いろんな感想を聞かせてくれました。

・自転車でヘルメットを被らなかったとしたら、
 交通事故に遭った時に命を落とす危険性があることなどを学んだ

・これから全国にこのような活動があることを広めていきたい

・安全第一の事故を起こさないドライバーになりたい

・周りにある危険性
 例えばカーブで左右をきちんと確認せずに命を落とした子どももいるので、
 ちゃんと学習して気をつけていきたい。
 そして、リーダーとして習ったことを身の回りの人に伝えたい


こうした意識を持って大人になる人が増えるほど交通事故は減っていくことでしょう。
でも、 最近は「交通少年団」に参加する子どもは少なくなっています。

「交通安全教育は小さい頃から教える必要があります。
守らせるのも大人の責任。それが自己抑止に一番つながっていくと思います。
交通戦争と言われている時代に子供の事故をいかに減らしていくかということで
発足したのが交通少年団。その趣旨は今も引き継いでやっている」とは新田団長の弁。

名称はかつてからのもので「東京交通少年団」となっていますが、
4年前からキャッチフレーズ「BAGS(バッグス)」を打ち出しています。
これは「Boys And Girls for Safety」の頭文字からつくった造語。
「あらゆる安全のために活動・行動する少年少女たち」という意味です。