第220回 なぜ日本は、歩行者が被害に遭う交通事故が多いのか?

2019/06/14

最近、自動車が歩行者にぶつかる交通事故が目立ちます。
そう感じている方は多いことでしょう。

実際、日本は交通先進国と比べると
交通死亡事故に占める歩行者が亡くなる事故の割合が多いのです。




交通事故総合分析センター(ITARDA)2015年版の資料
「各国の交通手段別 交通事故死者数の構成率」があります。

これは、交通事故で亡くなった方々が
     
・乗用車に乗っていたのか
・二輪車に乗っていたのか
・自転車に乗っていたのか
・歩行中だったのか
・その他の状況だったのか

国別の割合を示したもの。
挙げられている7か国中、日本はワースト2。
ワースト1の韓国38.8%とほぼ同じ37.3%です。

日本に次ぐのがイギリス、ぐんと減って23.7%。
以下、ドイツ 15.5%、アメリカ15.3%、フランス13.5%、
最も割合が少ないスウェーデンは10.8%。

日本の交通社会は歩行者に優しくないことが
交通先進国と比較から、よくわかります。

ドライバーは、この「不親切」に加担しないように
歩行者は、この「不親切」で事故を被らないように
気をつける必要があります。





日本ではなぜ、歩行者に不親切な交通社会を形成されているのか?
モビリティジャーナリスト 森口将之さんに見解を伺いました。

欧米に比べると自転車が普及したのが遅かった日本。
1960年代の高度経済成長時代とともに広がった自動車の所有。
豊かさとともに歩きから自転車、自転車からオートバイ、
オートバイから車と乗り物をステップアップするという考えがあり
それはある意味ステータスでした。
そのイメージが今も心の中にあって、
歩行者を低い立場に感じている人が多いのかもしれないかとのこと。

森口さんは「はっきりした理由はわかりませんが」という前提で、
意見をお話して下さいましたが、そうだとしたら残念な限りですね。

森口さんがもう1つ指摘したのは知識の欠如。
教習所でも習っているはずだが、横断歩道は歩行者が渡るだけでなく、
歩行者が優先ということをドライバーを知っているのか?ということでした。





横断歩道の歩行者優先。
この番組では幾度となくふれてきたので、
多くの方は認識していると思います。

信号のない横断歩道は歩行者が優先。
渡ろうとしている人がいる場合、クルマは一時停止し、
通行を妨げないようにする義務があります。

これは、道路交通法で定められている法律で
違反者には反則金や違反点数が科せられます。

このことを知りながら、
停止しない方が、万が一、いるとするならば、
なぜ自分は停まらないのか? 
胸に手を当てて考えてみてほしいと思います。

今回、挙がったほかにも「自分はこういう理由だと思う」
といった考えが頭に浮かんだ人も多いでしょう。

どうして日本は歩行者に不親切な社会なのか?
ひとりひとりが考えてみる。それを誰かと話してみる。
そうした広がりが現状を変える1つのきっかけになる気がします

もっと歩行者に優しい交通社会へ。
この続編は、また近々、おとどけします。