第170回 奈良県警察「歩行者早出し」信号機
2018/06/28
都道府県警察は事故撲滅を目指して
さまざまな取り組みを行っています。
奈良県では今年、奈良市と大和郡山市
2つの交差点に新信号機が導入しました。
「歩行者早出し方式」と言われるタイプのものです。
一般的な信号機では、歩行者用信号機の「青」と
車用信号機の「青」が同じタイミングで表示されます。
奈良県警察が導入した信号機は、
先に歩行者用信号機 の「青」を表示。
歩行者が横断歩道の半分ぐらいまでくるタイミングで
車用信号機が「青」に変わるという方式です。
時間にして5、6秒の時間差を設けました。
奈良県では昨年、歩行者の死亡事故が多発。
そこで事故の状況を分析しました。
すると浮かび上がったのが1つのパターンです。
青信号で横断を始めた歩行者が、
やはり青信号で右折する車に、
横断歩道上ではねられるという状況です。
こうした事故を防止する対策例として
歩行者と車の信号を別に表示する
「歩車分離式信号機」があります。
しかし、2つの交差点は渋滞が発生しやすい地点。
「歩車分離式信号機」は円滑な交通を阻害しかねません。
そこで奈良県警察は頭をひねって妙案を考えました。
すると出てきたのが青表示に時差を設けるというアイデアです。
検討した結果、車が横断歩道に差し掛かる頃には、
歩行者は横断を終えているか、
横断中でもドライバーに発見されやすい位置にいる。
また、全ての方向の車を停止させている時間が短くて済むので
交通渋滞も悪化しないのではないかという結論に至りました。
そこで、こうした信号機の運用事例が無いか
近隣警察に確認したところ、
和歌山県で昨年から導入しているとわかりました。
そこで、担当者が和歌山県に赴き、
現場の横断歩道を渡って見て、その有効性を確認。
さっそく奈良県でも導入しよう!ということになりました。
2つの信号機は3月に設置あれ、
当該交差点では現状、人身事故はゼロ。
有効な対策として効果が発揮されているので、
今後も交通事故の分析を進めて、
必要性のある交差点に導入を考えているとのこと。
全国の都道府県警察の交通安全のための施策が、
これからもどんどん効果を発揮することを期待します。