第162回 危険予知で交通事故を未然に防ぐ

2018/05/03

車を運転するキャリアが長く 頻繁にハンドルを握っている。
それでも 交通事故には縁のないドライバーには 理由があります。
その1つが「予測する力」です。




  
運転行動には 3つの要素があります。
『認知』『判断』『動作』。

この3つの過程に「ミス」があると交通事故が起こります。
中でも最もミスが多いのは「認知」の段階。

「認知」を間違えれば 多くの場合「判断」も間違ったものになる。
これを未然に防ぐのが「危険予知」です。

JAF 東京支部 事業課 交通環境係 高木孝さんによると
認知エラーを防ぐために大切なのが危険予知をする力。
       
例えば歩道にいる歩行者がどういう状態なのか。
年齢はどのくらいで何に注意を向けているのか。

「スマホをいじっている」「ヘッドホンして音楽を聴いている」
そういう人物なら車道側のことには全く気づいてないかも知れない。
不用意な横断をするということも考えられます。





おしゃべりに夢中になっている歩行者たちも
車道側に広がってくるということが考えられます。





運転席から周囲の状況を観察して 
情報を正しく分析できる力が必要です。

運転中は「しないだろう」という楽観的予測はやめましょう。
「するかもしれない」という疑う気持ちが危険察知に繋がります。

例えば「前方を走る車」の走行にも注意を払いましょう。
左のウインカーが出たら 次の交差点で左折と思うかもしれません。
でも 交差点の手前で曲がることもあります。
そのため きちんと車間距離をあけて
前の車の動きに注意する姿勢が必要です。





いま挙げたのは たった2つの例にすぎません。
刻一刻と変わる運転状況。
常に危険予知のアンテナを立てておくことが事故を未然に防ぎます。

「認知ミス」と「判断ミス」をなくせば
交通事故の9割がなくなると言われています。

JAFの調査によると
ドライバーは歩行者や車の動きを予測することで
反応時間が最大0.75秒 早くなることがわかっています。

高木さんによると 危険予知力を高めることは感受性を高める。

隣の車線が渋滞している時。
なぜか 一箇所だけ妙に車間距離が空いている。
このことに気づくドライバーと気づかないドライバーがいます。
隣の車線だから関係ないという意識のドライバーは違和感に気づきません。

また 気づくドライバーにも2通りいます。
気づいたけども そのまま通行してしまう人。
気づいて そこから何か出てくるのではないかと考えるドライバー。
おや?と気づき 警戒する それが危険の予知に繋がります。