第135回 交通安全のシンボル アンペルマン

2017/10/29

横断歩道の歩行者用信号にあるピクトグラム(人型の模様)。
日本では取り立てて名前があるわけではありません。

でも ドイツは違います。
子どもから大人まで誰もが歩道車信号にいる’人’の名前を知っています。
彼の名前はアンペルマン。

ドイツ語で「ampel(アンペル)」=「信号機」。「mann」=「男」
直訳すれば『信号男』。





ただの信号のピクトグラムではありません。
交通安全のシンボルとしてキャラクターして地位を確立。
さまざまなグッズにもなっています。






 
     
日本初のフラッグ・シップ・ショップ「AMPELMANN Shop 白金高輪」
2013年には渋谷に「AMPELMANN Shop Tokyo」をOpenした
株式会社アナザー・ビー 取締役 森武昭さんによると
アンペルマンの発祥は1969年の旧東ドイツ。

モータリゼーションによる交通量の増加に伴って交通事故が増える中
歩行者を守るため わかりやすい信号機のデザインとして誕生しました。
キュートで可愛いフォルムは交通心理学者 カール・ペグラウさんの考案。
喋らなくても表情や身振でわかることが万人に受けるポイントになりました。

時は流れて1989年にベルリンの壁が崩壊。
社会主義国だった東ドイツは民主化し
西側に編入される形で東西ドイツは1つになりました。
ドイツ統合で多くの東ドイツ文化は消滅します。
アンペルマンも同じ運命を辿るはずでした。
ところが新生ドイツの国民はアンペルマンを救ったのです。

今のアンペルマン社の代表とペグラウ氏が一緒に
廃棄された信号機のガラス や光る部分を使ってランプを製作。
それがメディアとかに取り上げられて復活運動がベルリンで起こりました。
旧東ドイツ時代のアイデンティティで残るものがほとんど無い中
旧西ドイツの人たちも良いものを残し 交通事故を減らそう
そんな思いで復活運動に参加したといいます。








ドイツ統一後にメルケル首相は復活する条件として
男女平等の考えのもと女の子の信号機も作るように命じました。
今ではアンペルマンには女の子のキャラクターもあります。

日本の歩行者信号のピクトグラムも全国統一のキャラクターにすれば
子供たちやお年寄りの心の中にも強く残って 
いま以上に交通安全の意識が高まるかもしれませんね。