第101回 改正道路交通法 後編
2017/03/02
今週は前回に続いて3月12日に改正される
「道路交通法」の主な改正ポイントをお伝えする後編。
警察庁 運転免許課 高齢運転者等支援担当補佐
松代栄一さんをお伝えしてお送りしました。
今回の改正点の軸となるのは3つ。
【1】臨時認知機能検査と臨時高齢者講習
現行制度では、75歳以上の運転者は、
3年に1度の免許証更新の時だけ認知機能検査を受けています。
改正後は更新時以外でも、75歳以上の運転者が、
認知機能が低下した時に起こしやすい違反行為をしたときは、
臨時に認知機能検査を受けることになります。
その「違反」とは信号無視・高速道路の逆走・一時不停止など 18種類。
臨時の認知機能検査の結果、
それ以前の検査結果より悪くなっている場合は、
新設される臨時の高齢者講習を2時間受講することになります。
講習では車を運転する実車指導や、その様子をドライブレコーダーで記録し、
映像に基づいた個人指導を行います。
【2】臨時適性検査制度の見直し
現行制度では「認知症のおそれがある」方でも、
医師の診断を受けるのは信号無視などの一定の違反があった人のみ。
改正後は臨時の認知機能検査、免許更新時の認知機能検査、
ともに「認知症のおそれがある」人は医師の診断を受けることになります。
そして、指定された期日までに診断書を提出しない場合は、
免許の停止や取消しの対象となります。
また、診断の結果、認知症だと診断された場合は、
運転者の事情を聴くなどの手続きの上で運転免許の取消しなどの対象となります。
この点は、現行制度でも同じです。
【3】高齢者講習の合理化・高度化
高齢運転者に負担をかけすぎないように、認知機能検査の結果、
認知機能の低下のおそれがない方、75歳未満の方の講習を合理化して
現行の3時間程度から2時間へと短くなります。
一方、認知機能の低下のおそれがある方などへの講習については、
運転の様子をドライブレコーダーで記録し、
その映像に基づいて個人指導を行うなど内容を充実させます。
講習時間も2時間半から3時間に長くなります。
最後に警察庁 運転免許課 高齢運転者等支援担当補佐
松代栄一さんからのメッセージを記しておきましょう。
超高齢社会を迎えている中、
今後も運転免許を持つ高齢者の増加が見込まれます。
高齢者ではない方も、ご家族に高齢者がいらっしゃる方は多いでしょう。
また、誰もがいずれ高齢者になります。決して他人事ではありません。
高齢者の方でこれまでのような運転ができなくなったと感じ始めたり、
ご家族の運転に不安を感じたりしたときは早めに警察にご相談いただくことが重要です。
全国の運転免許センターなどに設置されている運転適性相談窓口では、
専門知識の豊富な職員が高齢者の方やそのご家族からの相談に、
丁寧に対応してまいりますので遠慮なくご相談ください。
免許証の自主返納に関する相談も受け付けています。
高齢者による交通事故を社会が協力して減らしたいものです。