第86回 フリッカー値で交通事故対策 前編
2016/11/17
今回と次回は「フリッカーテスト」という
心理学・生理学的な数値を利用する交通事故防止策を追跡します。
「フリッカー」とは液晶画面や蛍光灯で生じる光の点滅、
▷ あなたは光を見ているとしましょう
▷ その光は点滅しているのですが、点滅が高速のため、点滅に気づきません
▷ でも、点滅の速度を少しずつ遅くなると、どこかで光の点滅に気づきます
「点滅していることがわからなかった」光が、
「点滅して見える」ようになった境目の値
「閾値(しきいち)」がフリッカー値。
被験者の「フリッカー値」を出す測定方法が「フリッカーテスト」。
このフリッカーテストは、およそ70年前に見出されたもの。
フリッカー値は同じ光の点滅でも見る人によって違います。
同じ人でも心理的な状態や身体的な状態によって変わります。
疲れた状態になるほど光の点滅に気づくタイミングが遅くなるのです。
そこで、このフリッカーテスト、
これまでも眼科での視力機能の測定や、
労働分野での疲労測定に使われてきましたが、
かつての装置は大きく費用なものでした。
しかし、ITの技術革新でコンパクトなものがつくれるようになります。
かつては箱型の大きな計測器が、今やPCやスマートフォン上で、
アプリケーションを起動させればできるようになったのです。
ドライバーの事故防止に努める運送業。
その中のある物流会社に「フリッカー値」を活用できないか? と考えた
交通心理士の資格を持つ安全環境の担当者がいました。
彼は原田さんに相談を持ちかけたのです。
ー 後編へ続く ー