第85回 交通心理士という資格

2016/11/10

数年前に「資格」ブームがありました。
交通安全については「心理」的なアプローチから
交通事故が起こらない働きかけをする「交通心理士」という資格があります。
「日本交通心理士会」が認定している民間資格で2002年からスタートしました。
今回のコメントは日本交通心理士会 会長で
中京大 名誉教授の神作博さんでした。

交通心理士は心理、生理的な人間の特性を踏まえた上で交通安全に関わる人。
当然、人間が引き起こす事故が、交通事故の中では圧倒的多数。
原因を探り、事故が起こらないようにするのは心理的な知識が必要です。
心理学の専門家として交通事故を研究してきた神作さん。
似たようなスタンスは極めて少ないのでネットワークをつくりたいと考え
1977年に前身の団体が設立されました。


役員名簿を見ると・・・

▶ 大学教授
▶ 自動車学校
▶ 自動車メーカー
▶ 交通安全ジャーナリスト

といった肩書きが並んでいて、いま交通心理士は600人弱。
一般の我々が現場で活躍する「交通心理士」の資格をとる過程は、

審査を受けて日本交通心理学会に入会した上で3日間の事前講習会に参加します。
その後に4段階ある中の「交通診断士補」になるための試験を受けます。
試験内容は筆記試験と小論文と面接。
合格すると日本交通心理学会認定の交通心理士補になり、
さらなるプログラムを受けると「交通心理士」が誕生します。
これが仕事の中で交通心理士の資格を持って実務にあたる人たちです。

残る2つのうちの1つが「交通心理士」を指導する「主任交通心理士」。
その上位にあるのが「主幹総合交通心理士」。
社会の必要性を汲み取って交通心理士制度のプログラムを決める立場です。
「主任交通心理士」「主幹総合交通心理士」は、
心理学の修士学位取得者か同等の学識を持った者でなければいけません。

「交通心理士」は自動車運送業まわりの仕事をしている人に多くいます。
今では国土交通省が行っている適正診断と運行管理者の仕事を民間が受けています。
それを受託した事業所の社員で交通心理士の資格を持つ人がそれを担当。

ただ、残念なことに「交通心理士」は一般にあまり知られる資格ではありません。
自動車学校の方の取得がいちばん多いそうですが・・・

▷ 自動車運送業の中で資格の所有が当然のものになる
▷ その一方で資格取得のハードルの低くなり一般の人も取れるようにする
▷ 資格を活かせる場を広げる
▷ 知識や情報が地域の交通安全の啓蒙活動に利用される

そういった方向に進めば、
より交通事故減少に寄与するかもしれません。


日本交通心理士会 webサイト
https://www.jatp-web.jp/