第77回 安全運転義務違反とは?

2016/09/15

『安全運転義務違反』という言葉。
どこかで見聞きしたことがあるでしょう。

では、具体的に何を指しているのか? 
なぜこうしたルールがあるのか? 知っていますか?
言葉は知っているものの、実態をわかっていない人は少なくなかもしれませんね。
道路交通法の第70条にはこう規定されています。

車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、
かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、
他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない


この「安全運転の義務」を履行しないことが「安全運転義務違反」となります。
東京・麹町にある、みらい総合法律事務所の吉田太郎弁護士によると
これは極めて平易な言葉におきかえるなら、
飲酒運転やスピード違反のように明確に定められていることに違反しなくても
正しく安全操作を行ない、正しく安全の状況を確認しなさいということ。
つまり、安全運転義務の要素は大きく2つあります。

?安全に操作する義務

?安全を確認する義務

そして「安全運転義務違反」は7区分に分かれています。
1つずつ見ていきましょう。

【運転操作不適】


例えばアクセルとブレーキを踏み間違える、
まっすぐ進むべきところを蛇行運転する、
ブレーキとアクセルの踏み間違いなど
操作が不適切に行われること

【前方不注意】

これは読んで字のごとく。
ボンヤリしていたり、脇見をしていたり、
前をしっかり見ずに運転すること

【動静不注視】

例えば人がいることと、人の動きは認識は出来ているのに、
ぶつかってしまったなど、認識のその程度が不注意だった、
不注視、足りなかったということ

【安全不確認】

例えばそれなりに前も見ていた、横も見ていて、
左折をしたところ、死角があって、
そこから出てきた人とぶつかってしまったなど、
安全確認はしたのに至らない点があったということ

【安全速度違反】

制限速度を仮に守っていても、人や車の動や道路の狭さ等から、
より速度を減速すべきで場面において、
制限速度を守っていても事故を起こしてしまったというようなケース

【予測不適】

車の運転は周囲の予測が不可欠。
例えば他の車の車線変更を予測をすべき場面で
車線変更しないだろうと思い込み衝突したというようなケース

【その他】

安全運転義務違反があった時には、
普通車両の場合で反則金9,000円。 違反点数は2点。

安全運転義務違反だけで摘発されるということは稀。
ただし、起こってしまった交通事故のふたを開けると
多くの割合でそこに交通安全義務違反があるのです。

吉田弁護士によると、例えば去年の全国の死亡交通事故を見た場合、
信号無視は149件、酒酔い運転が21件であるのに対し、
安全運転義務違反は、運転操作の不適が423件、わき見運転は460件、
信号無視・酒酔い運転・最高速度違反といった、
当然に許されないものを遙かに上回る数字となっています。

吉田弁護士が話してくださったように
このことを目の当たりにすると
安全運転をいま一度、肝に銘じなければいけないと思います。