第62回 タイヤが担う安全性(後編)
2016/06/02
今週は先週に続く「タイヤが担う安全性 後編」。
自動車評論家 薦田潔さんへの取材でお送りしました。
みなさんは自分の車のタイヤが、いつ作られたか把握していますか。
タイヤの素材はゴム。時間が経てば劣化します。
では自分のタイヤがいつ生産されたかご存知ですか?
これは調べる方法があります。
タイヤのサイドウォールに楕円形で書かれた4ケタの数字が記されています。
例えば「2314」とあれば「2014年 第23週」に作ったという意味。
これを見れば、いつ作ったモノなのかが分かります。
保管状態や乗り方によって違いますがゴムの硬化は避けられません。
山があっても、ゴムが硬くなれば、雨の日は滑りやすくなってしまいます。
技術の向上で寿命の長いタイヤも出ていますが、
薦田さんとしては『寿命の目安は「6年」ぐらい』、
『10年経ったら「使えない」と考える方がいいでしょう』とのことです。
「タイヤを交換する時には、どこでどんなタイヤを選べばいいのか?」
そんな疑問が湧いている方も多いかもしれません。
実はタイヤは2種類あります。
「OEM」と呼ばれる新車装着のタイヤ。
「リプレイス」と呼ばれる街で売っている取り換え用のタイヤ。
タイヤメーカーが自動車メーカーに納めるタイヤは、
テストをして承認したものしか使わないのでかなり高い性能です。
摩耗・音・乗り心地・グリップ・雨の日の対策、全てクリアした状態で付けています。
しかし、均一した製品を作るのが難しいのがタイヤ。
同じブランドでも品質は全て同じではありません。
それはゴムの特性によるもの。
A級品、B級品、C級品があり、B級品、C級品は日本国内では売らない。
あまり問題なく使える道の悪い東南アジアなどでは使用されます。
日本で売られている安いタイヤは、そうしたB級品、C級品の可能性があるそうです。
見た目は全然変わらない。そこで、安いタイヤは気を付けた方がいいのです。
そして、広がっている燃費のいい「エコタイヤ」について、
安全面の疑問が指摘されることがあります。
その点を薦田さんに伺ってみました。
たしかに、そういう問題は起こっているとのこと。
転がり抵抗を小さくする事によって燃費が良くなります。
燃費が良いタイヤをみんな欲しがるので売れます。
しかし、それは逆にグリップしなくなるという事なのです。
特に雨の日のグリップが悪くなります。
雨の日のグリップを落とさないように、
しかも、転がり抵抗を少なくするとタイヤの値段は上がります。
シリカという材料をゴムの中に混ぜると、
その効果を得られますが、どうしても価格は高くなってしまいます。
安いタイヤで転がり抵抗が良いというのは、
雨の日は危ないということと裏表であることが多いのです。
こうした問題から出来たのがラべリング制度。
「転がり抵抗性能」と「ウェットグリップ性能」が2つ同時に表示されています。
「転がり抵抗性能」はタイヤの中に給油機のマーク。
グレードはアルファベット大文字で
AAA / AA / A / B / C の順で表示されています
AAAに近いほど「転がり抵抗性能」は低い・・・つまり燃費がいい
「ウェットグリップ性能」はタイヤの中に雨マーク。
濡れた路面でどのくらいタイヤの摩擦力があるか・・・
これはアルファベット小文字で a / b / c / d と表示されていて、
aに近いほどグリップ力がある・・・つまりスリップしません。
「転がり抵抗性能」「ウェットグリップ性能」、
ともに高いものが、燃費がよく、安全性が高いタイヤ。
値段は高いということですが「安全」のためには多少のコストは考慮すべきでしょう。
あらためて、タイヤは唯一、路面に接している大切なパーツ。
安全性能の高いタイヤを履いて、きちんとチェックをして、交通安全を心がけてください。