第46回 中高年リターンライダーの注意点

2016/02/11

全体的に減少傾向にある交通事故。
しかし、細かくデータを見てみると、増加している部分もあります。

それは、中高年の二輪車による事故

その理由の1つが、若い頃にオートバイに乗っていて、いちどやめた人が、
中高年になったあとで、ふたたび乗りはじめる
「リターンライダー」が増えているからだとも言われています。

去年、平成27年の二輪の交通事故の数を見ると

全国で二輪車が関与した交通人身事故 8万 1千件 ⇨ 全体の15%

全国の二輪乗車中の死者数 677人 ⇨ 全体の 16.4%

決して少ない数字ではないので
ライダーには気をつけてほしいところ。
それでは中高年ライダーの事故が増えているという数字は、
どんなふうにデータに出ているかというと平成18年と平成27年の比較で・・・

40歳未満 
4万8.000件 ⇨ 2万件に減少
平成18年を100とすると平成27年は41.7


40歳〜60歳 
1万2,000件 ⇨ 1万3,000件に増加
平成18年を100とすると平成27年は108.3


交通事故全体が減っている中で見逃せない数字であり
この増加の原因にリターンライダーの存在が指摘されています。

最近ではライダーの平均年齢は50歳と言われています。
ある調査によると、その4人に1人が「リターンライダー」。
子育てが一段落して時間やお金のゆとりができて
もう1度、自分の趣味を持ちたくなった人が
またオートバイにまたがっているのでしょう。

今回、お話を聞いた警視庁 交通部 交通総務課長 
阿武孝雄(あんの・たかお)さんによると
リターンライダーに気をつけてほしいポイントは3つ。


?バイクが高性能になっていること

現在は300馬力にもなるバイクが市販されていて、
10年前を比べるとパワフルで運動性能が高い。
またアンチロックブレーキシステム(ABS)が装着されているようなバイクもあるので、
特製をしっかりと理解して乗ってほしい。
自身が購入したバイクの性能をしっかり確認する。
その性能に応じた運転が出来るようになるまで慎重に運転をしてほしい。


?長いブランクを認識すること

判断力や運転間隔が衰えていることを理解する。
危険を予測した運転も心がけほしい。
市街地だとナビを見たり、急に合図をせずに運転している自動車もいるので、
なるべく広い視野をもって安全運転を心がけてほしい。


?若い頃とは心身ともに違うと認識すること

体力と集中力が若い頃に比べて低下していることを認識してほしい。
ツーリングなどにでかける時には無理のない計画と小まめな休憩を。

中高年のライダーによる事故はどんなケースが多いのか。
過去5年間の東京都内の事故を見ると、
オートバイが交差点を直進している時に右折車両と衝突するような右左折時の事故が34.2%。
一時停止や安全確認を怠ったということによる出合い頭の事故が25.6%。
交差点内での交通事故が非常に多く発生しています。
また、速度超過によってカーブを曲がり切れずに衝突する単独事故が18.2%。
交差点では安全確認をして右折車の動きに注意する、
カーブの手前では減速して安全な速度で進行するということを心がけて下さい。

リターンライダーはもちろん、足車に乗り続けている中高年ライダーも、
「今」と「昔」は違うことを自覚するようにしましょう。
自分だけが例外ということはありません。過信・慢心は最大の敵です。