第32回 国と自動車メーカーによる交通安全対策 前編
2015/11/05
11月8日 日曜日まで、東京ビッグサイトで、
東京モーターショー 2015が開催されています。
その一環として昨日、自動車安全シンポジウムが行われました。
テーマは『交通安全のための予防安全技術』。
今週と来週は「国と自動車メーカーによる交通安全対策」を追跡します。
今週のコメントは基調講演を行った1人、
国土交通省 自動車局 技術政策課長 久保田秀暢さんでした。
交通事故による死亡者が最も多かった昭和40年代、
その数は年間1万6千人にのぼりました。
そこから減少傾向になっているものの、
いまだ1年に交通事故で命を落とす人は4,000人以上。
政府は2020年(平成32年)までに死者数を2500人以下に減らす目標を掲げ
「人」「道」「クルマ」という観点から安全対策に取り組んでいます。
そのうちの「クルマ」に関しての方策は3つ。
1) 「安全基準」 ⇨ 製品の安全性能を確保する基準をつくる
2) 「ASV(先進安全自動車)」 ⇨ 新しい安全技術の開発を促進させる
3) 「アセスメント」 ⇨ 製品の安全性能を点数で評価して消費者に知らしめる
自動ブレーキに代表される2つめの「新しい安全技術の開発促進」は、次週、詳しくふれます。
今週は「安全基準」と「アセスメント」について。
まず「安全基準」は、すでにあるもの。
国が定めたこの基準に適合しないクルマは市場に出せません。
ライトはどれ位明るくないといけないのか、
ぶつかった時に中の人を保護する性能がどれ位無いといけないのか?
バックする時にライトがつくかなど100以上の項目があります。
さらに新しいの技術に対しては新しい基準として追加するようになっています。
「安全基準」に対して「アセスメント」は、
すでに売られている製品について安全性能を確認して採点し周知するもの。
これは、その車がどれくらい乗っている人を保護できるのか?
ぶつけてしまった人をどのくらい傷つけない性能を持っているか?など
事故を起こした際の安全性能の評価するものとして20年前にスタートしました。
それに加えて去年から事故予防のための安全性能評価がスタート。
今のところ対象にしているのは「自動ブレーキ」と
クルマが車線をはみ出した時に警報が鳴る「車線逸脱警報装置」の2つ。
基本的に市場で売れている上位10台ほどを評価対象としています。
ただ、メーカーから特定製品を評価する希望があれば、これも評価対象とします。
見せていただいた国土交通省と自動車事故対策機構で作っているパンフレットには、
全37車種の安全性能評価が掲載されていました。
「自動ブレーキ」と「車線逸脱警報装置」で合計40点満点。
満点を獲得していたのは4車種。
さらなる安全技術については段階的に導入していくということです。
事故時に乗車していた人の被害を軽減する技術はかなり進みました。
車にいる状態での死亡者は大幅に減っています。
ところが、歩行者や自転車に乗っていた人の被害はなかなか減りません。
車対人ではどうしても身体を守ることができないからです。
久保田さんの指摘では、これからは予防安全技術を使い、
事故が起きないという事を進めていかないと、
さらなる安全対策は難しいのではないかとのことでした。
その「予防安全技術の開発」については来週の後編でおとどけします。