第30回 交通安全タクシー

2015/10/22

5年前の平成22年、
東京では減少傾向にあった交通死亡事故数が増加。
特に歩行中の高齢者が、夜、事故に遭うケースが多発したのです。
そこで、問題解決のため、警視庁と東京ハイヤー・タクシー協会による施策が始まりました。

『交通安全タクシー』 

今週は、夜間の重大な交通事故を減らす取り組み『交通安全タクシー』を追跡しました。
お話を伺ったのは警視庁 交通部 管理官 藤本裕行さん。
このプロジェクトは警視庁と東京ハイヤー・タクシー協会 による施策。

警察とタクシー業界がタクシーの事故防止に留まらず、
全ての交通事故、悲惨な交通事故を1件でも減らしていくという共通の認識の元、
タクシードライバーの協力を得て行っている交通事防止の取り組みです。

現在では法人タクシーの乗務員、個人タクシーの乗務員、
無事故・無違反など、一定の条件を満たした優良ドライバー 136人が、
「交通ボランティア」として登録されています。彼らのミッションは3つ。


1)路上寝込み者を発見した場合の安全確保と110番通報

2)交通事故を目撃した際の110番通報

3)信号無視や、横断禁止場所を横断しようとする歩行者を発見した場合の声かけ


東京都に関して言うと歩行中の交通事故で亡くなる人の半数が65歳以上の高齢者 。
また、高齢歩行者が関わった交通事故の6割で
「道路を渡ってはいけないところでの横断」や「信号無視」といった
交通違反が認められているとのこと。

夜半に、自分がクルマを運転している立場だとすると、
東京に限らず。全国どこであっても・・・

「酔っ払って道路で寝てしまっている人がいるかもしれない」
   
「突然、車道を渡ってくる人がいるかもしれない」
 
「車道の信号が青でも横断歩道を渡る人がいるかもしれない」


といった危機意識を持つようにしましょう。
高齢者の家族と一緒に住んでいる方は、
折にふれ、注意をうながすことも、大切かもしれません。

実際、今回は交通ボランティア2人に話を聞いたところ、
「甲州街道の下りで、酔っぱらって頭を先頭に寝ている人がいるのを発見。
車を止め、声をかけ、110番をして警察に助けてもらった」
「住宅街に酔っぱらって大の字で寝ていた人をた助けた」という実体験を聴けました。

彼らは「交通ボランティア」は人命に関わること、
中途半端な気持ちではやれないという意識を持っています。

では運転のプロフェッショナルである彼らが、
ハンドルを握る時にどんなことに注意しているのか伺いました。

答えは・・・

「防衛運転に心がける。
優先道路でも横から車が来たらぶつかるかもしれないので一歩引いて先に行かせる。
一時停止も自分が優先であっても対向車がどういう動きをするか見ていちど止まる」。

「早めに見つけられるように前方をよく見る。
歩行者・自転車は、暗い場所では見つけにくいので、
前から来る車に迷惑がかからないようであればハイビームを出来るだけ使う」

・・・というものでした。
交通安全のため、プロの運転を参考にしましょう。

去年の東京都の交通事故死亡者は172人。
今年、警視庁は、これを150人未満とする目標を立てています。
おとといの時点で127人。去年より10人多いペース。
でも、これ以上、増えなければ目標は実現します。
ぜひとも、達成したいものです。

東京だけではありません。
日本全国、四輪・二輪のドライバーも、
自転車に乗る人も、歩行者も、交通安全にじゅうぶん気をつけましょう。

そして、もう少しすると年末・年始。お酒の機会も増えます。
高齢者でなくとも、飲み過ぎないようにしましょう。