第27回 未来のクルマ

2015/10/01

1985年から1990年にかけて3作品が公開された
ハリウッドの人気SF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ。
その2作目でマイケル・J・フォックス演じる主人公マーティが
恋人とタイムトラベルしたのは自分の時代から30年後の2015年10月。
 
つまり・・・「今」。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』からリアルな30年後が到来!
ということで、実際のところ、クルマはどのくらい進化したのか? 
今から30年後はどうなるのか? 今週は「クルマの未来」を追跡。
コメントは自動車評論家 松下 宏さんでした。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に出てくる車デロリアンはステンレス製。
30年前はほとんど全ての部分が鉄で作られていたり、
樹脂になっているのはわずかな部分だけでした。
従って重くて燃費も悪かったのです。

ガソリン1リッターあたり10キロ〜15キロも走れば充分。
ところが2015年の今ではアルミが車に使われるようになり、
内装部品やエンジンルーム内の部品などには熱に対応できる樹脂が使われ、
車が軽くなって燃費が格段に良くなりました。
今度発売になるTOYOTAプリウスは1リッターあたりの走行距離はおよそ40kmです。

そして、エレクトロニクス技術の進歩とそのクルマへの導入も見逃せません。
「アイドリングストップ」や「自動ブレーキ」など自動車のコンピュータ制御は今では常識。
クルマをITネットワークに繋げて情報を入手する
「コネクティヴィティ・システム」搭載車も増えました。
もちろん、クルマの安全面も進歩しています。

松下さんによると、ボンネットの部分やトランクの部分を上手く潰れるようにして、
クッションにして、しっかりした柱の中に囲み、
車に乗る人を守るというクルマの設計思想が普及して安全性が向上しました。
もう1つの安全は、クルマが危害を加えることを、
自動ブレーキによって防げられるようになってきました。
人間を見分けるタイプも増えていて人間がいたらブレーキがかかる、
対クルマではさらに見分ける事が容易なので、
クルマ同士の事故はずいぶん減っているということです。

こうしてあらためて考えてみると、クルマはやはり進化しています。
そんな中、2015年の今、未来を担うクルマとして注目されているのが、
EV(電気自動車)とFCV(燃料電池自動車)。
ただ、松下さんによると、この2つには課題もあります。

電気自動車は電池の値段が高いので価格も高い。
また航続距離はカタログ上、200〜220kmとなっていますが実際のところは半分ほど。
だから、普及は始まったものの、現状では限界があるだろうとのこと。

そして、水素を燃料に発電して、電気で走る燃料電池車。
トヨタが「MIRAI」を発売しましたが水素ステーションをたくさん設置しないと普及は進みません。
1つのガソリンスタンド設置が1億円かかるとすると、
水素ステーション1つの設置にかかる費用は5億円。
国の補助金などを使って水素ステーションの数を増やそういている段階です。

ここ数年、欧米や日本が、
未来に向けた試験をスタートさせたのが自動運転。

松下さんによると、現状の研究開発では、
高速道路の一定区間を自動で走らせることは簡単に出来るのですが、
信号のある一般道路でも自動運転が出来るかと言うと出来ていません。
街中では障害物は多くなるので、その辺の研究開発を進めている段階です。

今後、問題となるのは、どこまで自動運転をさせるか?とうこと。
人間の出来る事はいずれ車にも出来るようになる。
しかし、自動運転の車が事故を起こした時に、
ドライバーに責任があるのか? クルマが悪いのか?
法律的な整備や社会的な合意を形成する必要があります。

将来的にはボタンを押せばクルマが目的地まで自動に走ることが目指されています。
ただ、自動車メーカーは車の走る楽しみを無くしたくないので嫌がっているのが実情。
逆に言うとドライバーに基本的な責任を持たせたいというのが、
自動車メーカーの考え方だという松下さんのご意見です。

それでは自動車評論家 松下宏さんの描く30年後のクルマ社会は・・・

第一に、水素インフラが整備され、燃料電池車が圧倒的に普及。
ハイブリット車よりも売れています。

電池の性能も上がり、価格が安くなったため、
街を中心に電気自動車もたくさん走るようになってなっています。

自動運転も30年後であれば完成形に近いところまできています。
当面は高速道路の一定区間や、幹線道路を中心にして、
それ以外はドライバーが運転するという段階から進んでいくだろうとのこと。
障害物を避ける機能も進化して、交通事故はほとんど無くなっています。

果たして30年後のクルマ社会どうなっているのでしょうか?
ほぼ完全に近い「交通安全」を実現させたいものです。