- 2017.09
- 21
【学生コラム】ラジオから流れるたくさんの音たち
薄暗い部屋に異様な音、私の身長をはるかに超える高い塔。「ほぉ〜」思わずため息を出してしまいました。
こんにちは。中央大学の佐藤千華です。
突然ですが、みなさんは冒頭の私のようにあまりに不思議な雰囲気にのまれ感動し思わずため息を出してしまったことがありますでしょうか。
このような体験を「感動思わずため息体験」と私は勝手に名付けています。
全然短くなってませんね(笑)。
夏季休暇中に滞在したロンドンより、先日帰国しました。
滞在していたロンドン市内は、無料で入館可能な美術館がたくさんあるため私も買い物ついでに美術館に立ち寄ることがよくありました。
その日、立ち寄った美術館はテムズ川沿いにある国立近代美術館のテートモダンといい、キャンベルのトマトスープ缶やマリリンモンローの写真などの作品で知られるアンディー・ウォーホルやダリ、マティス、ミロなど名の知れた近代芸術家の作品も数多くあるため、なかなか一日ですべてをみることは難しい場所でした。
近代アートは理解が難しいため、何かを感じることはほとんどないのですが、
まさかこんなところで「感動思わずため息体験」をするとは思っていませんでした。
(写真はカール・ブロッスフェルト氏の作品です)
普通、美術館の作品の展示は白い壁で見やすい適度な明るさで行われているかと思います。しかし、私が「感動思わずため息体験」をした「バベル」というブラジル出身のビジュアルアーティストのシルド・メイレレス氏の作品は薄暗い空間に展示されていて不気味な雰囲気を醸し出していました。
さらに追い打ちをかけるように展示室に入る前から異様な音が聞こえます。しかし、中に入り近づいてみるとこの塔はすべて、形の異なるラジオでできているではないですか!さらに異様な音はラジオから流れているではありませんか!
それぞれのラジオから流れてくる音が混ざり私たちの耳にはなにも言葉などは届きません。意味を成して流れているはずのラジオの音は混ざりに混ざりなにも聞き取ることができません。毎日を生きている中で豊富な情報源に囲まれていながら何も理解しようとしない知ろうとしない私たち人間を風刺しているように感じました。なんとも言葉には言い表せない不安感と共に不思議なことに感動も同じように襲いかかってきました。
「ほぉー」。思わずため息。
たくさんのラジオ!
ラジオが大好きで、普段ラジオ局で学生スタッフとして活動していることもあり、なんとも言えない感動を味わいました。
この「たくさんのラジオからたくさんの情報が絶え間なく、聞き取れないほどに流れている」という作品を観て私は、今の自分の情報との関係を見直すきっかけとなりました。
私は上京してからラジオとインターネットを中心に情報を得ていますが、私たちの周りには信じられない量の情報があります。だからこそメディアリテラシーが重要だとも叫ばれていますが、中には見極めがとても難しいこともありますよね。
そんな情報過多の現代をAIが解決してくれる時代はもうすぐそばにきているようです。ある記事によると、AIは私たちが知りたい情報をまとめて提供してくれるだけでなく、すべての情報を一つに要約して私たちに提供できるように訓練中だといいます。
ある社会人の方は、同じように夏期休暇をとって会社に戻った後に、膨大な量のメールが届いていたらしく、極めて必要なもの以外はAIが勝手に返しておいてくれればいいのに、と言っていました。
また、PCやスマホを使い出してから、漢字が書けなくなった、という大人の声を良く聞きますが、予測変換機能の発展、さらに進化して自動返信機能ができれば、漢字が書けないではなく、「こういう時、どうやって返信するんだっけ…最初は『お世話になります』でいいんだっけ?」とか思う日が来るのでしょうか。
AIはこれから私たちにどんな未来をもたらしてくれるでしょうか?
AIの発展は、私たちに効率的な時間や便利さを提供してくれますが、それを享受するわたしたちはどのように変化していくのでしょう。
今年の未来授業のゲストで東京大学教授の松尾豊先生は「人工知能の急激な発展は、社会の何を変えるのか?」というテーマで授業を行ってくれます!
個人的に今からとてもワクワクしています。みなさんも一緒に授業に参加してみませんか?
応募はこちらからhttps://www.tfm.co.jp/fes/form/
(文責 中央大学文学部 2年 佐藤千華)