Dream Heart(ドリームハート)

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Dream HEART vol.626 ジャーナリスト 堀潤さん 「皆がちゃんと自由でいられるように」

2025年03月29日

今夜ゲストにお迎えしたのは、ジャーナリストの堀潤さんです。

堀潤さんは、1977年、兵庫県のお生まれです。

立教大学文学部ドイツ文学科をご卒業後、アナウンサーとして2001年NHKに入局。
『ニュースウォッチ9』のリポーター等、報道番組を担当され、2012年に渡米。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校客員研究員として活動される中、市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、2013年NHKを退局されました。

現在は、TOKYO MXで『堀潤 Live Junction』のMCを務めるなど、ジャーナリスト、キャスターとして、数多くのテレビ・ラジオ番組などに出演する一方、インターネットテレビ、SNS、執筆活動などを通じて、精力的に発信を続けていらっしゃいます。


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──地域発信のジャーナリズム

茂木:堀さんは市民が参加するジャーナリズムを大切にされているということで。その一環として、まず岡山にスタジオをお持ちだと。

堀:そうなんです。東京に市民発信のスタジオがあって、ちょうど去年から岡山にスタジオを作って、地域の商店街の皆さんだったりとか、地域で起業したいという、いわゆる地域のローカルスタートアップの皆の話だったりとか、というものを発信しています。

茂木:そしてつい先日、第2のスタジオが…?

堀:はい。スタジオとしては第3になるんですけど、「F8」というスタジオを福島県の双葉町に作りました。東京大学大学院の開沼博さんたちが、まさに地域のイノベーションをアカデミズムの観点からどんどん起こしていき、そして地域の食とか、地域の文化とか、そういうものをある意味、創業に繋げていったり。宇宙系のスタートアップもそこに関わってくるような…。

茂木:そうなんですか!?

堀:その皆さんと一緒に双葉町にスタジオを作りまして。
とにかく、「マスメディアが選んだ現場が、復興に関してのニュースになっていく」、ということを変えたくて。逆に、地域の方々が「いや、今こそこれを伝えたい」ということを、専門家たちがそれぞれの視点で分析して、解説しながら一緒に出していく、という、もう完全にベクトルとしては逆と言うか、そういう試みをしているスタジオが出来上がりました。

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茂木:堀潤さんの素晴らしさとは、こういうオープンアクセス・ジャーナリズムもそうですけれども、地域とか、それぞれの当事者発ということもありながら、一方でマスメディアでの仕事もされているじゃないですか。
どうですか? 色んな現場で、色んな文脈で、仕事をされていて見えてくるものとは、どんなことでしょう。

堀:マスコミの話をするのも、“マスメディアの事業者の話”をするのか、それとも“コンテンツの内容の話”をするのか、それとも純粋に“電波というインフラの話”をするのか、もしくは“新聞という紙のインフラの話”をするのか、全然違うと思うんですよ。大体メディアの話が「事業者をどう生き残るか」という話ばっかりやっていて。

茂木:そうですよね。

堀:はい。次には「コンテンツをどうバズらせるか」みたいな話ばっかりやっていて。
本当に「このインフラを使って何を出すべきなのか」、という、その“インフラを活用する”、そういう議論がまだまだ足りないなと思っていたので、僕は市民発信を(したいと思いました)。
だから、そういうインフラ網に市民の声をどう乗せていくのか、というその仕掛け作りを、この約14年ぐらいやってきたという感じなんです。10年ぐらい種まきしてきたものが、最近ようやく、「やっぱそれいいっすよね」と言ってくれる人がだんだんこうやって増えてきたので、形になりつつあるという手応えがあります。

茂木:堀さんの個人的な活動は、本当に“素晴らしい”の一言なんですが。
今回の集英社インターナショナル新書『災害とデマ』、こちらも素晴らしいんですけれども、日本のメディア全体を見た時に、これからどういう方向に変わっていったらいいと思われますか?

堀:まず、メディアの経営側にいる先輩たちに、もう本当に両手を握ってお願いしたいことが、「何も気にせずに、ただただ現場取材ができる環境を作ってもらえませんか?」ということです。報道とは、そもそも「金になるか・ならないか」とか、「見られるか・見られないか」とかじゃないんですよ。

茂木:本来はね。

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堀:本来は。たとえ視聴者ゼロでも、100年後に「よくこれを刻んでたな」というその評価が非常に大事と言うか、その価値のためにやっているところもあるので。経営の方の皆さんには、是非、何にも気にせず「必要があったら、SOSがあったら現場にすぐ行く!」というような、そういう体制でいる企業努力をして頂ければありがたいな、ということ。
それと、現場、現場で、「いや、それなんだよ」ということを絶対忘れちゃいけない、と言うか。

茂木:やっぱり原点ですもんね。

堀:はい。やっぱり「(現場に)行かなきゃ」と思うんですね。
『災害とデマ』を書いている時も、一番もどかしかった「俺たちメディアの人間は、何をするべきなのか?」ということに対してのアンサーが、フェイクニュースを作っていたという彼の言葉で、彼は「まぁ、マスメディアの人たちのいいところと言えば、現場に行くことですかね」とインタビュー中に言うんですよ(笑)。「ああいうのが大事なんじゃないですか?」と(笑)。

茂木:それを忘れちゃいけないよね。

堀:そうです。現場で行った先々で、「血の通った色んな交流がある中で生まれてくる情報の価値というのは、何なのか?」、ということも、やっぱり皆でまだまだ探求し続けていきたいので、そういう仲間が増えたらいいなと思っています。

茂木:ありがとうございます。

──堀潤さんの『夢・挑戦』

茂木:堀さん、色々お話を伺ってきたんですが、この番組のテーマは『夢と挑戦』なんです。既にもう色々と挑戦されていると思うんですが、これからの『夢、挑戦』は何でしょうか?

堀:そうですね。僕の夢は、皆がちゃんと自由でいられることだと思っていて。

茂木:素晴らしいなぁ。

堀:自分自身も含めて、自由でありたいと思うけれども、ちょっと気を抜くと、自由じゃない自分の方が楽になってしまうと言うか。それはちょっと気をつけているところなんです。
今、世界中のあらゆるところでは不自由だし、不自由を強いられていることに抗っても変わらないという、それこそ虚無感を強いるようなことが多すぎるので。
双葉町でいいことを聞いたんですよ。双葉町でゲストにお迎えした起業家・投資家の方が宇宙ビジネスを支援していて、浜通りでロケットの発射があった時に、浪江だったと思うんですけど、地域の方々が「久しぶりに空を見上げられた」と言ったんです。

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茂木:いい話だ。

堀:今までは、そこで家族を探さなきゃいけなかったりとか、ひょっとしたらここにはまだ行方不明の方がいるかもしれないと思ったりとかで、気をつけて下を見て歩いている。その皆が、体育座りをして、ロケットが上がる時に一斉に空見上げた、という。
そういう話とかは、ここにスタジオを作ってみて初めて僕も同じように聞けたので、その時に、「下を見なきゃいけない不自由さを強いてきたものは、一体誰なんだ?」と言うか。

茂木:本当だね。皆が自由でいられれば一番いいよね。

堀:そうですね。

茂木:『挑戦』は何ですか。

堀:やっぱり自分自身がそこに居続けることです。

茂木:居続けていますしね。

堀:はい。

茂木:お話を伺いました、堀潤さんのお話を聞いてご興味を持った方は、是非、集英社インターナショナル新書から発売中の堀潤さんのご著書『災害とデマ』をチェックしてみてください。

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■プレゼントのお知らせ

番組でご紹介してきました、堀潤さんのご著書『災害とデマ』に、堀潤さんの直筆サインを入れて、3名の方にプレゼントいたします。

ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、メッセージフォームより、ご応募ください。

私、茂木に聞きたい事や相談したい事など、メッセージを添えていただけると嬉しいです。

尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。



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●災害とデマ (インターナショナル新書) / 堀 潤 (著)
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