2024年08月31日
今週ゲストにお迎えしたのは、映画『ぼくのお日さま』の監督、奥山大史さんです。
奥山大史監督は、1996年、東京都のお生まれ。
長編初監督作品『僕はイエス様が嫌い』で、第66回サンセバスチャン国際映画祭で最優秀新人監督賞を史上最年少で受賞され、日本、フランス、スペイン、韓国、香港で劇場公開され、話題を集めました。
また、米津玄師さんの『地球儀』、森七菜さんの『スマイル』、Foorinの『パプリカ』、乃木坂46の『僕は僕を好きになる』などのMVを監督しているほか、米津玄師さんの『カナリヤ』や星野源さんの『創造』のMVでは撮影を、エルメスのドキュメンタリーフィルム『HUMAN ODYSSEY』では総監督を担当されました。
──本人も分からない気持ちゆえの淡さ
茂木:9月13日金曜日より全国でロードショーされる映画『ぼくのお日さま』。監督はピンポイントでイメージが浮かんで作品を作っていかれると思うんですけど、この『ぼくのお日さま』も「ある曲」がきっかけになったと伺っているんですが。
奥山:そうなんですよね。フィギュアスケートというのは、僕自身も子供の頃に7年ぐらい習っていたので、それでいつか映画を撮りたいというのはもうあったんですけど。ただ、思い出を映像にしていくだけだとなかなか映画にならないじゃないですか。それで、どうしようかなとプロットを書いて消しての繰り返しをしていた時に、掛かって聞こえてきた曲がハンバート ハンバートの『ぼくのお日さま』という曲でした。
茂木:それで、「もうこれで決まった」と思ったということですね。
奥山:そうですね。瞬時にパッと言うよりは、だんだんと繰り返し聴いていくうちに、「今考えているプロットの主人公の少年は、もしかしたらこの曲のぼくなのかもな」と、ふわふわと吸い寄せられていくような…。
茂木:天才としか言いようがないですね。
奥山:いえいえ(笑)。もう本当に、曲に助けられたというところですね。
茂木:このハンバート ハンバートの『ぼくのお日さま』は本当に素晴らしい曲なんですけど、でもスケートを扱っているわけではないですもんね。
奥山:ないですし、歌詞にそのまま描かれている描写…例えば「ロックが僕を待っててくれる」とか、あんまりそれに直接的なシーンが反映されているわけでもないので、主題歌としても絶妙な距離感だなとは思っていますけどね。
茂木:この『ぼくのお日さま』のあらすじをご紹介しますと、「雪の降る街を舞台に、少しばかり吃音のあるアイスホッケーが苦手な少年“タクヤ”と、フィギュアスケートを学ぶ少女“さくら”、そして元フィギュアスケートの選手でさくらのコーチ“荒川”の3人の視点で、淡くて切ない小さな恋の物語が描かれています。」ということで…。
今回さくら役に中西希亜良さん、タクヤ役に越山敬達さん、そしてコーチの荒川役に池松壮亮さんという、もう素晴らしい役者さんが出られているんですけど、この3人のスケートの上手さというのはどんな感じだったんですか。
奥山:それこそさくら役というのはもう本当にフィギュアスケート選手を目指して習っているような役なので、凄く上手な子でキャスティングしないと難しいなとは思っていたんですけど、やっぱり撮影をするとなると、学校を休んでもらったりもするじゃないですか。決められた規定の中で、にはなるものの、それをやってくれる子となると、事務所に所属してる子から探してもなかなかスケートをやっている子がいなくて。
スケートリンクに、「さくら役」というか「ヒロイン募集」みたいな張り紙を貼って、それで応募してくれた子からなんです。だからその子は女優さんを目指していると言うよりも、スケート選手を目指している子からキャスティングしたという形だったので、もう本当に上手でした。
茂木:結果として、中西希亜良さんは素晴らしいですね。
奥山:素晴らしかったです。
茂木:そして、タクヤ役の越山敬達くん。彼はスケートの経験は…?
奥山:経験はありました。が、彼に関しては、それこそキャストの事務所から「オーディションがあるので良かったら来てください」というところで応募してくれた俳優さんだったので、俳優を目指している男の子でお芝居もできましたし、やっぱりその人の醸し出している雰囲気みたいのがキャスティングにはすごい大事だと思うんですけど、それがもうタクヤにぴったりだなと思って、お願いをしましたね。
茂木:そして、池松さんはもう本当に素晴らしかったですね。
奥山:本当に素晴らしい役者さんですね。
茂木:実質上、池松さんが現場で子供たちにも色々と演技指導みたいなことをしてくださったと聞いていますが。
奥山:はい。演技指導と呼ぶべきか、何か本当にただ一緒に遊んでいるようにも見えるんですけど。湖で、ただただ3人で遊んでいるようなシーンが出てきますが…。
茂木:これは2日もかけたそうですね。
奥山:そうなんですよね。たった3分のシーンなんですけど、それに2日かけたんです。
それが実は、3人がもうピークで仲のいいシーンなんですが、池松さんのクランクインの日だったんですよ。まだ3人は全然仲良くないところでも、池松さんが必死に頑張って話しかけて盛り上げて、どう見ても池松さんを撮らずに男の子の顔を狙っている時でも、池松さんはカメラの後ろで頑張って笑顔で笑って踊って…みたいな感じで、演出しながらお芝居をしてくれた、という感じでしたね。
茂木:でも実は、あそこには画面に映っていない「第4のスケーター」がいた、と聞いていますが。
奥山:第4の(笑)。そうですね(笑)。一応、僕自身も滑りながら撮影をしていました。
茂木:凄いですよね。滑りながら撮影して、というのは凄くないですか?
奥山:そうですね。まぁ「スケート映画」というもの自体がほとんど日本にはないのでそもそもレアケースですけど、スケート靴を履いて(撮影する)、というのはほぼないんじゃないかなと思いますね。
茂木:中西さんと越山さんはあの湖での撮影が余程印象に残ったみたいで、「とにかく氷がゴツゴツしていて大変だった」と仰っていましたが(笑)。
奥山:それも普通の室内のスケートリンクに比べると、ですね。僕としては、まずこの凍った自然の湖で本当にスケートが滑れるんだということに驚きましたけど、逆に池松さんは、ちょっとボコボコしていることで立っていやすいしツルツルしづらいのが滑りやすいと言っていたので、プロから見ると確かに滑りづらかったんだろうな、とは思いますね。
茂木:監督、今回は広い意味で言うと三角関係と言うか、ちょっとややこしい、でも本当に淡い恋の三角形みたいなことを描いていますが、そういったところがお上手ですよね。
奥山:ありがとうございます。
茂木:あの関係性というのは、どの辺りから発想されたんですか?
奥山:男の子2人、女の子1人とか、そういったいわゆる三角関係を描いてる映画というのは好きなんですけど、ただそれが恋心だけではなくて、皆それぞれ、それが恋なのか、憧れなのか、興味なのか、そもそも人ではなくスケートというものに恋に落ちているのか、そういうのが本人たちも分かっていないような、それゆえの淡さみたいなものにチャレンジしてみたいな、というのは、企画当初から思っていましたね。
茂木:寸止め感と言うか、その距離の置き方がすごいなと思いました。
ということで皆さん、『ぼくのお日さま』は、今の日本において、暖かい木漏れ日の日差しのような本当に素晴らしい作品で、これは誰が観ても何か得るところがある映画ですよね。
奥山:ありがとうございます。
茂木:そしてこの映画は、発想の元となりました、ハンバート ハンバートさんの素晴らしい曲『ぼくのお日さま』が流れるんですけれども、この曲の魅力というのはどういうところなんでしょうか?
奥山:そもそもこの曲に限らず、ハンバート ハンバートさんの魅力は、何か寄り添ってくれると言うか、肯定してくれること。「こういう方がいいよ」とか「こういうふうに目指そうぜ」じゃなくて、「それでいいんだよ」と寄り添ってくれる感じで、ご夫婦で紡がれる音楽というのが本当に大好きですね。
その中でもこの『ぼくのお日さま』という曲は、例え吃音で悩んでらっしゃる方じゃなくても、「言いたいけど言えない」という感覚というのは皆あると思うので、多くの人に届く曲じゃないかなと思っています。
茂木:奥山監督、映画『ぼくのお日さま』をこれから観るという方に、メッセージをお願いできますでしょうか。
奥山:『ぼくのお日さま』について、今お話したことでご興味持って頂いた方は、劇場に足を運んで頂けたらなと思います。
■プレゼントのお知らせ
番組でご紹介してきました、
奥山大史さんの最新作『ぼくのお日さま』の劇場鑑賞券を
3組6名様にプレゼントいたします。
ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、
メッセージフォームより、ご応募ください。
私、茂木に聞きたい事や相談したい事など、
メッセージを添えていただけると嬉しいです。
尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。
●映画「ぼくのお日さま」公式サイト
●映画『ぼくのお日さま』(@bokuno_ohisama) / X(旧Twitter)公式アカウント
●映画『ぼくのお日さま』(@bokuno_ohisama) Instagram 公式サイト
●奥山大史さん (@hiroshi_0227) /X(旧Twitter)公式アカウント
●奥山大史さん 公式サイト
●映画『ぼくのお日さま』60秒予告【9.6先行公開/9.13全国公開】- YouTube
奥山大史監督は、1996年、東京都のお生まれ。
長編初監督作品『僕はイエス様が嫌い』で、第66回サンセバスチャン国際映画祭で最優秀新人監督賞を史上最年少で受賞され、日本、フランス、スペイン、韓国、香港で劇場公開され、話題を集めました。
また、米津玄師さんの『地球儀』、森七菜さんの『スマイル』、Foorinの『パプリカ』、乃木坂46の『僕は僕を好きになる』などのMVを監督しているほか、米津玄師さんの『カナリヤ』や星野源さんの『創造』のMVでは撮影を、エルメスのドキュメンタリーフィルム『HUMAN ODYSSEY』では総監督を担当されました。
──本人も分からない気持ちゆえの淡さ
茂木:9月13日金曜日より全国でロードショーされる映画『ぼくのお日さま』。監督はピンポイントでイメージが浮かんで作品を作っていかれると思うんですけど、この『ぼくのお日さま』も「ある曲」がきっかけになったと伺っているんですが。
奥山:そうなんですよね。フィギュアスケートというのは、僕自身も子供の頃に7年ぐらい習っていたので、それでいつか映画を撮りたいというのはもうあったんですけど。ただ、思い出を映像にしていくだけだとなかなか映画にならないじゃないですか。それで、どうしようかなとプロットを書いて消しての繰り返しをしていた時に、掛かって聞こえてきた曲がハンバート ハンバートの『ぼくのお日さま』という曲でした。
茂木:それで、「もうこれで決まった」と思ったということですね。
奥山:そうですね。瞬時にパッと言うよりは、だんだんと繰り返し聴いていくうちに、「今考えているプロットの主人公の少年は、もしかしたらこの曲のぼくなのかもな」と、ふわふわと吸い寄せられていくような…。
茂木:天才としか言いようがないですね。
奥山:いえいえ(笑)。もう本当に、曲に助けられたというところですね。
茂木:このハンバート ハンバートの『ぼくのお日さま』は本当に素晴らしい曲なんですけど、でもスケートを扱っているわけではないですもんね。
奥山:ないですし、歌詞にそのまま描かれている描写…例えば「ロックが僕を待っててくれる」とか、あんまりそれに直接的なシーンが反映されているわけでもないので、主題歌としても絶妙な距離感だなとは思っていますけどね。
茂木:この『ぼくのお日さま』のあらすじをご紹介しますと、「雪の降る街を舞台に、少しばかり吃音のあるアイスホッケーが苦手な少年“タクヤ”と、フィギュアスケートを学ぶ少女“さくら”、そして元フィギュアスケートの選手でさくらのコーチ“荒川”の3人の視点で、淡くて切ない小さな恋の物語が描かれています。」ということで…。
今回さくら役に中西希亜良さん、タクヤ役に越山敬達さん、そしてコーチの荒川役に池松壮亮さんという、もう素晴らしい役者さんが出られているんですけど、この3人のスケートの上手さというのはどんな感じだったんですか。
奥山:それこそさくら役というのはもう本当にフィギュアスケート選手を目指して習っているような役なので、凄く上手な子でキャスティングしないと難しいなとは思っていたんですけど、やっぱり撮影をするとなると、学校を休んでもらったりもするじゃないですか。決められた規定の中で、にはなるものの、それをやってくれる子となると、事務所に所属してる子から探してもなかなかスケートをやっている子がいなくて。
スケートリンクに、「さくら役」というか「ヒロイン募集」みたいな張り紙を貼って、それで応募してくれた子からなんです。だからその子は女優さんを目指していると言うよりも、スケート選手を目指している子からキャスティングしたという形だったので、もう本当に上手でした。
茂木:結果として、中西希亜良さんは素晴らしいですね。
奥山:素晴らしかったです。
茂木:そして、タクヤ役の越山敬達くん。彼はスケートの経験は…?
奥山:経験はありました。が、彼に関しては、それこそキャストの事務所から「オーディションがあるので良かったら来てください」というところで応募してくれた俳優さんだったので、俳優を目指している男の子でお芝居もできましたし、やっぱりその人の醸し出している雰囲気みたいのがキャスティングにはすごい大事だと思うんですけど、それがもうタクヤにぴったりだなと思って、お願いをしましたね。
茂木:そして、池松さんはもう本当に素晴らしかったですね。
奥山:本当に素晴らしい役者さんですね。
茂木:実質上、池松さんが現場で子供たちにも色々と演技指導みたいなことをしてくださったと聞いていますが。
奥山:はい。演技指導と呼ぶべきか、何か本当にただ一緒に遊んでいるようにも見えるんですけど。湖で、ただただ3人で遊んでいるようなシーンが出てきますが…。
茂木:これは2日もかけたそうですね。
奥山:そうなんですよね。たった3分のシーンなんですけど、それに2日かけたんです。
それが実は、3人がもうピークで仲のいいシーンなんですが、池松さんのクランクインの日だったんですよ。まだ3人は全然仲良くないところでも、池松さんが必死に頑張って話しかけて盛り上げて、どう見ても池松さんを撮らずに男の子の顔を狙っている時でも、池松さんはカメラの後ろで頑張って笑顔で笑って踊って…みたいな感じで、演出しながらお芝居をしてくれた、という感じでしたね。
茂木:でも実は、あそこには画面に映っていない「第4のスケーター」がいた、と聞いていますが。
奥山:第4の(笑)。そうですね(笑)。一応、僕自身も滑りながら撮影をしていました。
茂木:凄いですよね。滑りながら撮影して、というのは凄くないですか?
奥山:そうですね。まぁ「スケート映画」というもの自体がほとんど日本にはないのでそもそもレアケースですけど、スケート靴を履いて(撮影する)、というのはほぼないんじゃないかなと思いますね。
茂木:中西さんと越山さんはあの湖での撮影が余程印象に残ったみたいで、「とにかく氷がゴツゴツしていて大変だった」と仰っていましたが(笑)。
奥山:それも普通の室内のスケートリンクに比べると、ですね。僕としては、まずこの凍った自然の湖で本当にスケートが滑れるんだということに驚きましたけど、逆に池松さんは、ちょっとボコボコしていることで立っていやすいしツルツルしづらいのが滑りやすいと言っていたので、プロから見ると確かに滑りづらかったんだろうな、とは思いますね。
茂木:監督、今回は広い意味で言うと三角関係と言うか、ちょっとややこしい、でも本当に淡い恋の三角形みたいなことを描いていますが、そういったところがお上手ですよね。
奥山:ありがとうございます。
茂木:あの関係性というのは、どの辺りから発想されたんですか?
奥山:男の子2人、女の子1人とか、そういったいわゆる三角関係を描いてる映画というのは好きなんですけど、ただそれが恋心だけではなくて、皆それぞれ、それが恋なのか、憧れなのか、興味なのか、そもそも人ではなくスケートというものに恋に落ちているのか、そういうのが本人たちも分かっていないような、それゆえの淡さみたいなものにチャレンジしてみたいな、というのは、企画当初から思っていましたね。
茂木:寸止め感と言うか、その距離の置き方がすごいなと思いました。
ということで皆さん、『ぼくのお日さま』は、今の日本において、暖かい木漏れ日の日差しのような本当に素晴らしい作品で、これは誰が観ても何か得るところがある映画ですよね。
奥山:ありがとうございます。
茂木:そしてこの映画は、発想の元となりました、ハンバート ハンバートさんの素晴らしい曲『ぼくのお日さま』が流れるんですけれども、この曲の魅力というのはどういうところなんでしょうか?
奥山:そもそもこの曲に限らず、ハンバート ハンバートさんの魅力は、何か寄り添ってくれると言うか、肯定してくれること。「こういう方がいいよ」とか「こういうふうに目指そうぜ」じゃなくて、「それでいいんだよ」と寄り添ってくれる感じで、ご夫婦で紡がれる音楽というのが本当に大好きですね。
その中でもこの『ぼくのお日さま』という曲は、例え吃音で悩んでらっしゃる方じゃなくても、「言いたいけど言えない」という感覚というのは皆あると思うので、多くの人に届く曲じゃないかなと思っています。
茂木:奥山監督、映画『ぼくのお日さま』をこれから観るという方に、メッセージをお願いできますでしょうか。
奥山:『ぼくのお日さま』について、今お話したことでご興味持って頂いた方は、劇場に足を運んで頂けたらなと思います。
■プレゼントのお知らせ
番組でご紹介してきました、
奥山大史さんの最新作『ぼくのお日さま』の劇場鑑賞券を
3組6名様にプレゼントいたします。
ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、
メッセージフォームより、ご応募ください。
私、茂木に聞きたい事や相談したい事など、
メッセージを添えていただけると嬉しいです。
尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。
●映画「ぼくのお日さま」公式サイト
●映画『ぼくのお日さま』(@bokuno_ohisama) / X(旧Twitter)公式アカウント
●映画『ぼくのお日さま』(@bokuno_ohisama) Instagram 公式サイト
●奥山大史さん (@hiroshi_0227) /X(旧Twitter)公式アカウント
●奥山大史さん 公式サイト
●映画『ぼくのお日さま』60秒予告【9.6先行公開/9.13全国公開】- YouTube