Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.593 社会的金融教育家 田内学さん 「社会のことを考えることが大事」

2024年08月10日

今週ゲストにお迎えしたのは、先週に引き続き、ゴールドマン・サックス証券の元トレーダーで現在は社会的金融教育家としてご活躍中の、田内学さんです。

田内さんは、1978年のお生まれ。

東京大学大学院情報工学系研究科修士課程修了後、2003年、ゴールドマン・サックス証券株式会社に入社。

以後16年間、日本国債、円金利デリバティブ、長期為替などのトレーディングに従事され、日銀による金利指標改革にも携われました。

2019年にゴールドマン・サックス証券を退職し、現在は「社会的金融教育家」として活動され、ビジネス向けの金融経済をテーマとした講演だけでなく、中高生向けにお金の教育や社会科の公共の講演も行なっていらっしゃいます。


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──大事なのはお金の融通を受けて働くこと

茂木:今回のご著書『きみのお金は誰のため』でもそうですし、前作の『お金のむこうに人がいる』でもそうですけど、田内さんのお話を伺っていると、「働く」ということの掛け替えのなさ、これを強く感じるんですよね。

田内:そこが一番大事なポイントですよね。
今、「日本はお金の教育が遅れてる。投資を学ばなきゃ」という雰囲気になっているんですけど、「何で投資によって社会が成長するか?」と言うと、投資されてお金を受け取る側の人がいて、受け取った人が世の中にある不便さを解消していく。そこが大事なんですよね。
ところが、今の日本でそういう話に出てくるのは、「みんな投資する側に回りましょう」というだけで、投資される側の存在が分からないと何も変わらないと言うか、ただのお金の奪い合いになってしまうだけだったりします。
それは金融機関で働いていてよく分かったことで、色んな金融商品を皆さんに買ってもらうんですけれども、必ずその金融商品の源泉にあるのは、誰か「お金を借りたい」「投資してもらいたい」という人がいて、その人たちが自分たちのその事業、もしくは何かの工場を作ることでもいいですけども、そういうことにお金が必要なんだと。そこで人を雇うのにお金が必要なんだということです。
金融というのは、「お金を融通すること」なんですよ。なのに、今の「投資」とか「お金に働いてもらいましょう」という話は、「全員が融通する側(お金を出す側)になりましょう」ということなんです。

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茂木:そうですね。(お金の)融通を受けて働く側がいないと駄目なんですもんね。

田内:そうなんですよね。

茂木:田内さん、日本は本当に経済的にもなかなか厳しい状況が続いていて、少子高齢化なんかもあり、皆が未来に対して明るい希望が持ちにくいような状況になっていると思うんですが。田内さんの視点から見て、我々が日本でこれから明るい未来をつくるためには、何が一番重要なところだと思いますか。

田内:一番は、社会のことを考える。「社会のこと」と言うとみんな他人事だと思ってしまうんですが、これは自分たちの話なんですよね。
教育者の方とかと話していて僕も全く同じ認識なんですけど、「18歳の意識調査」というアンケートを日本財団がやっているんですよ。色んな質問を各国の18歳に聞くんですけど、日本が飛び抜けて悪いのが、「自分の力で国や社会を変えられると思う」という18歳の学生の割合です。「社会というのは誰かが変えてくれるものだ」、と。それがどうにかならなきゃいけないなと思っているんですけど…。
希望が持てると思ったのが、そのアンケートが何年か後にまたあったんですが、そしたらね、元々二十何パーセントしかなかった「自分の力で国や社会が変えられると思う」という人の割合が、四十何パーセントに増えている。

茂木:おお、それはよかったですね…!

田内:今Z世代がどうとか言われていますけれど、実は若い人たちが社会のことを「自分たちでどうにかしなきゃ」とすごく思い始めているんです。

茂木:それはいいことですね。
そういうふうに考えて、田内さんのこの『きみのお金は誰のため』という本を読むと、真っ当に働いて誰かの役に立つとか、そういうことから世の中のことを見直そうという気持ちになると思うので、本当に僕はぜひ皆さんに読んで頂きたいなと思うんですよね。
先週もお聞きしたんですが、改めて、『きみのお金は誰のため』をどういうふうに読んで頂きたいかなどメッセージがありましたら…。

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田内:お金を使っている人…全員なんですけれども(笑)。僕らは知らず知らずのうちに「貨幣経済」というある種ゲームみたいな世界で生かされてしまっているところがあって、これは逃れられないと思うんですよ。でも、そのゲームの中でどういうルールがあるのかとか、もしくはそのルールだけじゃなくて自分の人生とは何なのか、何を目的に生きているのかとか、そういうことに興味がある人。全員興味あると思うので、だから「お金を使う人全て」に読んでもらいたい本ですね。

茂木:ということは全員ということですね。

田内:全員ですね。

茂木:ということは、これは100万部ではなく1億部行くのかな(笑)。
田内さん、この番組のテーマは『夢と挑戦』なんですが、もう既に色んなことをなされてると思うんですけど、今後の田内さんの『夢・挑戦』は何でしょうか?

田内:今言われたので、1億部を目指します(笑)。

茂木:え!

田内:(笑)。まぁ1億は厳しいかもしれないですけど、100万部は(いきたい)。やっぱり社会はなかなか変わらないと思うんですけど、変わる時は一気に変わると思うんですよ。僕がすごく衝撃的だなと思ったのが、「保育園落ちた日本死ね」という言葉がありましたよね。

茂木:ああ、ありましたね。

田内:あれでもう一気に世の中の流れが変わって、待機児童も解消されつつある。僕は、それというのは文章の力とかがすごい大事だと思っていて、今は皆が「とにかくお金を増やさなきゃ」と言って、金の奪い合いとか競争社会になってしまっているんだけれど、100万部ぐらい売れると皆の意識が変わって、社会が変わるんじゃないかなと思っているんですね。

茂木:日本を変えるため、そして何よりも読んだ人が変わるために、皆さん、ぜひ田内学さんの『きみのお金は誰のため』をお読み頂けたらと思います。
田内さん、2週に渡って本当に希望が持てるお話をありがとうございました。日本はこれからどうなりますか?

田内:どうなるかと言うよりも、自分たちの力でどうにかしていかなきゃいけない。老後とか不安なことばかりに目が行ってしまうんですけれども、やっぱり希望に満ち溢れてるところもあると思うので、ぜひ、1人1人の力で、未来を、社会を盛り上げていければいいなと思います。

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■プレゼントのお知らせ

番組でご紹介してきました、田内学さんのご著書『きみのお金は誰のため』に、田内さんの直筆サインを入れて、3名の方にプレゼントいたします。

ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、メッセージフォームより、ご応募ください。

私、茂木に聞きたい事や相談したい事など、メッセージを添えていただけると嬉しいです。

尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。



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●きみのお金は誰のため / 田内学 (著)
(Amazon)


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