2024年07月13日
今週ゲストにお迎えしたのは、「まちの保育園」や「まちのこども園」を運営されている、
ナチュラルスマイルジャパン株式会社代表取締役、松本理寿輝さんです。
松本さんは、1980年、東京都のお生まれ。
2003年に一橋大学をご卒業後、博報堂、不動産ベンチャーを経て、
かねてからの保育の構想の実現のため、
2010年、ナチュラルスマイルジャパン株式会社を設立。
また、一方では、イタリアで先端的な幼児教育の取組みをしている、
レッジョ・エミリア・アプローチの国際ネットワーク日本窓口団体
「JIREA」の代表もつとめていらっしゃいます。
認可保育所「まちの保育園」、認定こども園「まちのこども園」を都内6箇所に運営し、
保育の場をまちづくりの拠点として位置づけ、豊かな社会づくりをめざし、
ご活動されていらっしゃいます。
──子供1人1人の声を聞く
茂木:松本さん、『普通をずらして生きる ニューロダイバーシティ入門』。この本の共著者の伊藤穣一さんと、いよいよ学校をつくられると。これはどういう学校になるんですか?
松本:まさにこの9月にできるんですけども。まずは東京の青山にパイロットスクールとしてスタートをして、まさにニューロダイバーシティなので、「ニューロダイバージェント」というような、いわゆる自閉症やADHDとされているような子達の参加ももちろんですし、全ての子供達が通えるような学校にしていこうとしています。まずはスモールスタートで小さな学校を作って、自分達の子供へのアプローチを耕していきながら…、ということをやっているところです。
そして、自治体も今変わろうとしているところがあって、インクルーシブな取り組みであったりとか、ニューロダイバーシティということについて着目している自治体も結構増えてきているようなところがあります。そういう点でも、その自治体と組みながら、私達が気づいたことを共に学び合って、学校とかにそれを入れていくような流れに貢献できればなと思っています。
茂木:改めて、松本さんが理想とされる「子供の育み方」や「教育の場のあり方」とは、どういうことになるんでしょうか。
松本:子供1人1人の声が聞かれている環境…それは声なき声も含むと思うんですけども、そういうことを進めていくということだと思うんですよね。
子供は今、社会の中で少しマイノリティになっていて、子供の比率は日本全体だと11%ぐらいになってしまっています。そういう状況にあって、子供の関係を進めていかなければいけないわけですけど、子供の声をもっと聞いていけるといいなと思っています。
「子供の声を聞く」ということはどういうことかと言うと、つまり、声が聞かれているということを子供が経験すると、自分の考えとか、自分のアイディアとか、自分の存在そのものに価値があるんだと、だんだん子供たちが自覚・自認していくようになっていく。いわゆる「自己肯定感」とかよく言われますけれども、そういう自己肯定感とか効力感とかというのは自分の中から出てくるものですけど、やっぱり人との関わりの中から引き出されるものでもあるようなところがあって。そういう意味で言うと、私達が子供達の声をじっくり聞いていく、ということがまず大事なんじゃないかなと思うんです。なので、「1人1人の声を聞いていく」ということを、社会として進めていきたいなと思うところと…。
先ほどの「声」というのも、いわゆるただの発する言葉だけではなくて、1人1人の好きなこととか得意なこととかも含めた存在そのものとか、その子が出している表現とか、表情とかも含めて、つまりそういう意味では「その子そのもの」と言ってもいいのかもしれませんけども、そういったことを聞いていくことが、まず全ての教育のスタートになってくるんじゃないかと思います。
茂木:とにかく、今の日本の子供たちは、国際比較においても、特に小学校に入ってから「自己肯定感が低い」とか言われているじゃないですか。だから、松本さんの教育・学校で肯定感が普通にある子供が増えてくるといいですね。
松本:はい。1人1人の声が聞かれて、自分で何かを選んでいくとか、考えていったりとか、行動していく、ということを、私達が一緒に進めていければなと思ったりしています。
そういうふうに、自分で何かを選んだり、自分で決めていくということを繰り返していきながら、もちろん子供達はたくさんの失敗もしていくわけですけれども、その中で子供たちが確たる自分の芯みたいなものをだんだん培っていけるようにサポートしていければいいな、と思います。
茂木:僕は本当に素敵だと思うし心の底から共鳴しますし、今日こうやって松本さんとお目にかかれて、何か気が合うなと思っているんですけど、本当に、色々応援させて頂きたいなと思いました。
松本:ありがとうございます。
──松本理寿輝さんの『夢・挑戦』
茂木:松本さん、この番組のテーマは『夢と挑戦』なんです。もう既に色んなことをされていらっしゃるんですが、今後の夢、そして挑戦は何でしょうか?
松本:やっぱり私は「子供の環境づくり」というのをずっとやっていきたいなというのが、一つの夢であります。今もう既にやっているわけですけども、これを自分の生涯に渡って続けていきたいと今思っているところがありまして。
その子供の環境づくりを通して、地域とか社会づくりということに携わっていきたいなという思いなんかもあったりするんです。先ほども言いましたけど、自治体とかでも結構導入をし始めてくださっているとこも増えてきて、そういったところにも関わりながら、子供の環境を社会で進めていく、ということをまずしていきたいと思っています。
そして、自分の『夢』的なところを言うと、自分が作った園であったり学校であったり、そこで育った子供たちが、将来自分の子供ができた時にその園とか学校、その地域に戻ってきたい、と思って戻ってきてくれる環境が叶うのが、自分の夢です。
茂木:素敵すぎるなぁ…!
松本:(笑)。やっぱり自分のいい経験とか思い出がないと、そんなことをしてくれないだろうなと思ったりするので。
茂木:今話を聞いていて、もう宮崎駿さんかと思ってしまいました。宮崎駿さんは、自分でジブリのところに幼稚園を作っちゃいましたからね。
松本:本当に素敵ですよね。
茂木:子供達がまた宮崎映画に戻ってきて、「子供の時にトトロを見たな。(自分の)子供に見せたいな」、と思うのと同じように、松本さんの「こども園」「保育園」がずっと育っていったらいいなと思います。
松本さんと伊藤穣一さんとの共著『普通をずらして生きる ニューロダイバーシティ入門』は、現在発売中です。ぜひお読みください。松本さん、この本をまだお読みになっていない方が、今お話を聞いてすごく興味を持たれたと思うので、ぜひメッセージを一言いただいてよろしいでしょうか?
松本:はい。子育て家庭の方も、本当に全ての皆さんが、子供達1人1人が持っている素敵な個性を伸ばしたい、伸ばしてあげたい、支えてあげたいと考えていると思うんですよね。そういったお子さんを育てていらっしゃるご家庭の方にも、あるいは、子供に関わっていらっしゃる方にも、そして今本当に進めていこうという社会の理念でもあると思うので、様々な方に、ちょっとテーマ的に難しそうに聞こえるんですけども、内容としては非常に読みやすく書かれている形になっておりますので、ぜひ皆さん、お気軽にお手に取っていただければ嬉しいです。ありがとうございます。
●まちの保育園・こども園 公式サイト
●レッジョ・エミリア・アプローチの日本窓口「JIREA」公式アカウント
●普通をずらして生きる ニューロダイバーシティ入門 / 伊藤穰一 (著), 松本理寿輝 (著)
(Amazon)
●linkties(リンクタイズ株式会社)公式アカウント
ナチュラルスマイルジャパン株式会社代表取締役、松本理寿輝さんです。
松本さんは、1980年、東京都のお生まれ。
2003年に一橋大学をご卒業後、博報堂、不動産ベンチャーを経て、
かねてからの保育の構想の実現のため、
2010年、ナチュラルスマイルジャパン株式会社を設立。
また、一方では、イタリアで先端的な幼児教育の取組みをしている、
レッジョ・エミリア・アプローチの国際ネットワーク日本窓口団体
「JIREA」の代表もつとめていらっしゃいます。
認可保育所「まちの保育園」、認定こども園「まちのこども園」を都内6箇所に運営し、
保育の場をまちづくりの拠点として位置づけ、豊かな社会づくりをめざし、
ご活動されていらっしゃいます。
──子供1人1人の声を聞く
茂木:松本さん、『普通をずらして生きる ニューロダイバーシティ入門』。この本の共著者の伊藤穣一さんと、いよいよ学校をつくられると。これはどういう学校になるんですか?
松本:まさにこの9月にできるんですけども。まずは東京の青山にパイロットスクールとしてスタートをして、まさにニューロダイバーシティなので、「ニューロダイバージェント」というような、いわゆる自閉症やADHDとされているような子達の参加ももちろんですし、全ての子供達が通えるような学校にしていこうとしています。まずはスモールスタートで小さな学校を作って、自分達の子供へのアプローチを耕していきながら…、ということをやっているところです。
そして、自治体も今変わろうとしているところがあって、インクルーシブな取り組みであったりとか、ニューロダイバーシティということについて着目している自治体も結構増えてきているようなところがあります。そういう点でも、その自治体と組みながら、私達が気づいたことを共に学び合って、学校とかにそれを入れていくような流れに貢献できればなと思っています。
茂木:改めて、松本さんが理想とされる「子供の育み方」や「教育の場のあり方」とは、どういうことになるんでしょうか。
松本:子供1人1人の声が聞かれている環境…それは声なき声も含むと思うんですけども、そういうことを進めていくということだと思うんですよね。
子供は今、社会の中で少しマイノリティになっていて、子供の比率は日本全体だと11%ぐらいになってしまっています。そういう状況にあって、子供の関係を進めていかなければいけないわけですけど、子供の声をもっと聞いていけるといいなと思っています。
「子供の声を聞く」ということはどういうことかと言うと、つまり、声が聞かれているということを子供が経験すると、自分の考えとか、自分のアイディアとか、自分の存在そのものに価値があるんだと、だんだん子供たちが自覚・自認していくようになっていく。いわゆる「自己肯定感」とかよく言われますけれども、そういう自己肯定感とか効力感とかというのは自分の中から出てくるものですけど、やっぱり人との関わりの中から引き出されるものでもあるようなところがあって。そういう意味で言うと、私達が子供達の声をじっくり聞いていく、ということがまず大事なんじゃないかなと思うんです。なので、「1人1人の声を聞いていく」ということを、社会として進めていきたいなと思うところと…。
先ほどの「声」というのも、いわゆるただの発する言葉だけではなくて、1人1人の好きなこととか得意なこととかも含めた存在そのものとか、その子が出している表現とか、表情とかも含めて、つまりそういう意味では「その子そのもの」と言ってもいいのかもしれませんけども、そういったことを聞いていくことが、まず全ての教育のスタートになってくるんじゃないかと思います。
茂木:とにかく、今の日本の子供たちは、国際比較においても、特に小学校に入ってから「自己肯定感が低い」とか言われているじゃないですか。だから、松本さんの教育・学校で肯定感が普通にある子供が増えてくるといいですね。
松本:はい。1人1人の声が聞かれて、自分で何かを選んでいくとか、考えていったりとか、行動していく、ということを、私達が一緒に進めていければなと思ったりしています。
そういうふうに、自分で何かを選んだり、自分で決めていくということを繰り返していきながら、もちろん子供達はたくさんの失敗もしていくわけですけれども、その中で子供たちが確たる自分の芯みたいなものをだんだん培っていけるようにサポートしていければいいな、と思います。
茂木:僕は本当に素敵だと思うし心の底から共鳴しますし、今日こうやって松本さんとお目にかかれて、何か気が合うなと思っているんですけど、本当に、色々応援させて頂きたいなと思いました。
松本:ありがとうございます。
──松本理寿輝さんの『夢・挑戦』
茂木:松本さん、この番組のテーマは『夢と挑戦』なんです。もう既に色んなことをされていらっしゃるんですが、今後の夢、そして挑戦は何でしょうか?
松本:やっぱり私は「子供の環境づくり」というのをずっとやっていきたいなというのが、一つの夢であります。今もう既にやっているわけですけども、これを自分の生涯に渡って続けていきたいと今思っているところがありまして。
その子供の環境づくりを通して、地域とか社会づくりということに携わっていきたいなという思いなんかもあったりするんです。先ほども言いましたけど、自治体とかでも結構導入をし始めてくださっているとこも増えてきて、そういったところにも関わりながら、子供の環境を社会で進めていく、ということをまずしていきたいと思っています。
そして、自分の『夢』的なところを言うと、自分が作った園であったり学校であったり、そこで育った子供たちが、将来自分の子供ができた時にその園とか学校、その地域に戻ってきたい、と思って戻ってきてくれる環境が叶うのが、自分の夢です。
茂木:素敵すぎるなぁ…!
松本:(笑)。やっぱり自分のいい経験とか思い出がないと、そんなことをしてくれないだろうなと思ったりするので。
茂木:今話を聞いていて、もう宮崎駿さんかと思ってしまいました。宮崎駿さんは、自分でジブリのところに幼稚園を作っちゃいましたからね。
松本:本当に素敵ですよね。
茂木:子供達がまた宮崎映画に戻ってきて、「子供の時にトトロを見たな。(自分の)子供に見せたいな」、と思うのと同じように、松本さんの「こども園」「保育園」がずっと育っていったらいいなと思います。
松本さんと伊藤穣一さんとの共著『普通をずらして生きる ニューロダイバーシティ入門』は、現在発売中です。ぜひお読みください。松本さん、この本をまだお読みになっていない方が、今お話を聞いてすごく興味を持たれたと思うので、ぜひメッセージを一言いただいてよろしいでしょうか?
松本:はい。子育て家庭の方も、本当に全ての皆さんが、子供達1人1人が持っている素敵な個性を伸ばしたい、伸ばしてあげたい、支えてあげたいと考えていると思うんですよね。そういったお子さんを育てていらっしゃるご家庭の方にも、あるいは、子供に関わっていらっしゃる方にも、そして今本当に進めていこうという社会の理念でもあると思うので、様々な方に、ちょっとテーマ的に難しそうに聞こえるんですけども、内容としては非常に読みやすく書かれている形になっておりますので、ぜひ皆さん、お気軽にお手に取っていただければ嬉しいです。ありがとうございます。
●まちの保育園・こども園 公式サイト
●レッジョ・エミリア・アプローチの日本窓口「JIREA」公式アカウント
●普通をずらして生きる ニューロダイバーシティ入門 / 伊藤穰一 (著), 松本理寿輝 (著)
(Amazon)
●linkties(リンクタイズ株式会社)公式アカウント