Dream Heart(ドリームハート)

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Dream HEART vol.580 ホテルプロデューサー 龍崎翔子さん 著書「クリエイティブジャンプ 世界を3ミリ面白くする仕事術」

2024年05月11日

龍崎さんは、1996年京都府のお生まれ。

2015年、東京大学経済学部、在学中に、
株式会社L&Gグローバルビジネス、現在の株式会社水星を設立し、
北海道・富良野でペンション運営を開始。

その後、関西を中心に、ブティックホテル「HOTEL SHE,」シリーズを展開し、
湯河原、層雲峡をはじめ全国各地で宿泊施設の開発・経営を手がけられました。

また、クリエイティブディレクションから運営まで手掛ける、
金沢のスモールラグジュアリーホテル『香林居』がGOOD DESIGN賞を受賞。
そのほか、ホテル予約プラットフォーム『CHILLNN』や産後ケアリゾート『HOTEL CAFUNE』など、
従来の観光業の枠組みを超え、〈ホテル×クリエイティブ×テック〉の領域を横断し、
独自の事業を展開されていらっしゃいます。


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──人の行動の本音を知る

茂木:今回、文藝春秋より出された初のご著書『クリエイティブジャンプ 世界を3ミリ面白くする仕事術』の中で、非常に重要な言葉として「インサイト」という言葉が出てくるんですけど、これはどういう意味なんですか?

龍崎:はい。インサイトというのは、人の行動などの裏側にある深層心理のツボみたいなところだと私は捉えて、この本では書いています。何かを買ったりとかする時に、自分では「この商品が欲しいから買っている」と思っているんですけど、実際その裏には、人には気づかれてないし自分もちょっと認識したくない、隠れた行動原理みたいなものがあったりするじゃないですか。それを「インサイト」と言っていて、それをどうやってしっかりと捉えるかみたいなことは、ホテルをやっていく上でも、事業をやっていく上でも、めちゃくちゃ大事なんじゃないのかなと思っています。

茂木:龍崎さんの今回のご著書『クリエイティブジャンプ』は、「こういうホテルに泊まってみたいな」という楽しい気持ちにさせてくれる本としても素晴らしいんですけど、そのインサイトを始めとするビジネス本としても、非常にビジネスパーソンの役に立つと思うんですが…。お書きになっている中にありますが、我々消費者も、実は自分の本当の隠された動機に気づいていないことが多いんですか?

龍崎:気づいていないことが多いんじゃないかなと思います。
分かりやすい例で言うと、例えば、恋人と一緒にちょっといいレストランに行きたいな、と思うことがあるじゃないですか。多分、自分が認知している気持ちとしては、「一緒に美味しいもの食べたいな」とか、「特別な体験がしたいな」とか、「素敵な日だから感謝を伝えたいな」みたいに思っているんですけど、よく考えたらその裏側には、例えば、もしかしたら「“自分はめっちゃ甲斐性あるで!”みたいなことを伝えたい」とか(笑)。逆に、「自分の誕生日ではもっといいところに行きたいから、基準点みたいな感じで楔を打つために、ちょっとこのランクの店に行こうかな」だったりとか、そういう、人には言えないし自分でも気づいていない裏側の真理というものがあると思っていて。
そうやって自分自身でも「あ、自分は今こういうインサイトを持って、こういう行動をしてたんだ」ということに気づくと、それをビジネスに生かしやすかったりとか、人とのコミュニケーションの中でも、その人をより慮ることができたりとかするんじゃないのかな、とは思っています。

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茂木:ビジネスで成功する為には、人々の本音の部分を見抜かなくちゃいけない、ということですもんね。

龍崎:仰る通りだと思います。でも、他の人の本音を見抜くのはすごく難しいじゃないですか。言えば、目の前の人が今何を考えているかもわからないし、その人が自分でも気づいていない本当の気持ちは余計にわからないと思うんですよね。だから、人の本音を見抜くのは本当に難しくて。
でも、自分自身が気づいていない自分の感情は、まだ内省ができるから見つけやすい。自分が持っているインサイトはもしかしたら他の人にも共通するんじゃないか、という感じで転用させていこうと自分は考えるようにしていますね。

茂木:なるほどな…! 今のお話を聞いただけでも、皆さんも『クリエイティブジャンプ』を読みたくなると思うんですけど、こういう、今みたいな「なるほどな」が、私が数えたところだと108はありましたね。

龍崎:そんなに、煩悩の数だけ(笑)。

茂木:(笑)。本当に素晴らしい本だと思います。

──好奇心は抑えない

茂木:レコードプレイヤーが各客室にあるホテルがあるそうですが、非常に大事なキーワードとして、「ディグる」。これが、LPレコードを探す体験ともすごく関係するということなんですけど、「ディグる」とはどういうことなんですか?

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龍崎:「ディグる」というのは、英語で言うと「掘る」というような意味だと思うんですけど、よくDJの方とかがレコード屋さんでお気に入りの1枚を見つける時にレコードを掘り起こすことを、「ディグる」というふうに言ってるんです。
今目の前のすぐ手の届くところにあるものではなくて、自分自身が「もしかしたらもっと面白いことがあるかも」という期待感を持ちながら、身の回りにあるものを深掘りしていくような、石の裏を見てみるみたいな感覚で過ごすことを、私はすごく大事にしていて。そういう身の回りのものをディグっていく過程で、自分のロジカルな思考回路から生まれなかったものに出会ったりすることもありますし、「今までこの物事をこういうふうに捉えていたけど、実はこういう見方もできるじゃん」みたいなことに気づけたりすることもあるな、と思って。「ディグるのめっちゃ大事だよ」と、よくみんなに言っております(笑)。

茂木:龍崎さんは、日常の中でどうやってディグっているんですか?

龍崎:最近は、「嵌まる気持ちを抑えない」ということをすごく大事にしています。

茂木:いい話ですね。

龍崎:例えば、御朱印集めにすごく嵌まっているんですけれども、割とメジャーどころじゃなくて、地元のあんまり行ったことがないお寺とかに入ってみたりしています。ちょっとマイナーなお寺に入っていくと、お寺ごとに全然カラーが違うんです。多分普通にただ歩いていたらそれに気づかないんですけど、御朱印という媒体を通じて「このお寺はこういう社風なんや」みたいなことが見えたりとか、お寺のマーケティングの工夫とかも見えたりとか、「こういうふうに組織を回してるんやな」ということが見えたりとか。別に、今私はお寺をディグる必要は全くないし、だからどうとかはないんですけど、御朱印ということに嵌まったことでそこが見えてきて、もしかしたらそれが何年後かに自分の仕事で役に立つかもしれない。

茂木:そうですよね。じゃあリスナーの方がディグる為には、最初はどうすればいいんですかね?

龍崎:好奇心を抑えないことがすごく大事だと思うのと、もう1個、手軽に体験できることとしては、普段と違う道を歩くことがすごく大事だと思っています。例えば、駅までの行き帰りとかも大体お気に入りのルートができちゃうじゃないですか。でも、一個通りの向こう側を歩くだけで見える景色が全然違ってきたりとか、そういうことがあると思うので、そういうちょっとした予定不調和を生活の中に生み出していくと、ディグるポイントが見えてきやすくなるんじゃないのかな、と思います。

茂木:なるほどな。皆さん、いかがですか? 今回の龍崎さんのご著書『クリエイティブジャンプ 世界を3ミリ面白くする仕事術』。繰り返し言いますけど、プロデュースされているホテルが本当に素敵なので、読んでいるだけで行きたくなるということと、もう一つ、全ての仕事に通じる、あるいは学び方に通じる、今仰った「ディグる」方法とか「インサイト」とか、ビジネス書としても本当に素晴らしい本だと思います。

龍崎:ありがとうございます!

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●クリエイティブジャンプ 世界を3ミリ面白くする仕事術 / 龍崎 翔子 (著)
(Amazon)


文藝春秋 公式サイト


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 「CHILLNN」から、番組で紹介した「HOTEL SHE, KYOTO」
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