Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.563 戦場カメラマン 渡部陽一さん 「戦争をなくすために、カメラマンとして戦場の写真を届けていく」

2024年01月13日

渡部陽一さんは、1972年、静岡県のお生まれです。

明治学院大学 法学部 法律学科をご卒業されていらっしゃいます。

学生時代から、世界の紛争地域を専門に取材を続け、
戦場の悲劇、そこで暮らす人々の生きた声に耳を傾け、
極限の状況に立たされる家族の絆を見つめていらっしゃいます。

また、イラク戦争では、米軍の従軍(EMBED)の取材を経験され、
これまでの主な取材地は、イラク戦争のほか、ルワンダの内戦、コソボ紛争、チェチェン紛争、
ソマリアの内戦、アフガニスタン紛争、パレスティナ紛争、ロシア・ウクライナ戦争など。

今もなお、現地に赴き、人々の声に耳を傾け、現場の真実を伝えて続けていらっしゃいます。


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──平和になった学校を捉える“学校カメラマン”になりたい

茂木:現在発売中の渡部陽一さんの『晴れ、そしてミサイル』という、本当に素晴らしい本、皆さんに読んで頂きたいです。
先週、「平和のためには世界を知らなくちゃいけない」と仰っていて、その入口がこの渡部さんの本になればいいなと思うんですけど、一方で、渡部さんはすごく大事なことを仰っていましたね。戦場カメラマンとして活躍されていらっしゃいますが、「いつか、戦場カメラマンという職業がこの世からなくなればいい」と願われているんですよね。

渡部:そうです。僕は夢があるんです。その夢というのは、世界中から戦争・紛争というものがなくなって、もう“戦場カメラマン”という仕事はいらない、となった時、僕は“学校カメラマン”になることが夢なんです。これまで足を向けてきた世界中の学校に…平和になった学校に再び足を向けて、その学校の中で、授業風景であったり、校庭で遊んでいる姿、地域の方々との交流。戦争がなくなって、子供たちの表情を捉える、学校カメラマンになること、これが僕の夢ですね。

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茂木:なれたらいいと思うんですけど、昨年を振り返ると、もう本当にいろいろ戦争・紛争があって。たくさんの現場に行かれてきた渡部さんからご覧になって、なんで人間は戦争やめられないと思われますか?

渡部:様々な理由はあるんですけれども、戦争が起こる根っこにある一つの理由。それは、貧困です。
物がなくなる。限られたものがなくなり暮らすことができなくなる。その限られたものを手にした者が、生きるためにそれ以外の方々の命を遮断してしまう。世界中で起こっている大きな衝突。その根っこにあるのは、貧困という一つの入口が、地球規模で国境や民族を問わず、土台にあると感じています。
もう一つ、最前線の状況をカメラマンとして見てきて感じたこと。戦争の報復の連鎖が繋がる理由。それは、家族を守るために命を奪っている。
これは、最前線に落とし込まれると、目の前で、自分の子供、自分の娘が、当たり前のように命を奪われる。その命を奪った人物が、すぐ横で、笑いながらお茶を飲んだりしている。そんな光景に人が立たされた時、武器を取ってはいけないとわかっていても、体と気持ちがバラバラに壊れてしまい、戦ってはいけないとわかっていても、子供の命を奪った目の前で笑っている兵士に、銃口を向けてしまう。この家族の報復、家族を守るために武器を取り、報復の戦いが続いている。これが前線から見えてきた入口です。

茂木:この日本で、私達が世界の平和のために普段からできることとは、何でしょうか。

渡部:日本に暮らしていると、ニュースで見るガザの情報、ニュースで見るウクライナの情報、遠い国のことで、なかなか暮らしと繋がることはやっぱり難しいです。ただ、日本の暮らしの中でも、世界と繋がれるスイッチ、入口というものはたくさんあると感じます。
それは日常の中で、「これが本当は好き」、「こんなことをやってみたい」、「これに触れてみたい」、「こんなことを聞いてみたい」、「これを食べてみたい」、「そこに行ってみたい」、それぞれの方が、日常の中で気持ちの中から浮かび上がってくる、本当に大好きなこと。この自分が大好きなことをコツコツやっていく。
この大好きなことをやり続けていくと、世界の同じ道を持っている感覚の人と、必ず繋がれる。この“世界と繋がれる”というのは、政治や経済や様々な外交の入口もあるんですけど、それぞれ個人が大好きなことをどんどんやっていけば、この情報化社会では自然とどんどん繋がっていて、世界中の方と必ず繋がれる。触れ合って、気づくスイッチ。続けたからこそ、自分が大好きだからこそ、気づける広がりというものが、必ず日本の暮らしに存在します。やりたいことを、どんどんやってみてください。必ず世界と繋がる感触を、やったからこそ気づけると思います。

茂木:本当に渡部さんの仰るように、好きなことを繋げていくことで、ノーボーダーの世界に行ける、と。

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渡部:そうなんです。大好きなことはやっぱり好きなので、どんなにやっても疲れない。好きすぎてその道を入っていくことによって、エキスパートになっていく。何かプロフェッショナルと言うよりも、大好きで大好きで堪らない。この感覚が、一番の核の力になると思います。好きな道をどんどん、肩の力を抜いて、自分のペースで続けていってほしいと思います。必ず、同じ道を持っている世界の方が、繋がってくれると思います。

茂木:ありがとうございます。先週に続いて、希望を持てるお話を伺って、僕も本当に頑張ろうと思いました。

──渡部陽一さんの『夢・挑戦』

茂木:渡部さん、この番組のテーマは『夢・挑戦』なんです。「戦場カメラマンという職業がなくなって、学校カメラマンになる」という夢は先ほど伺ったんですけども、この2024年を迎えて、今後の渡部陽一さんの『夢・挑戦』、どんなことになりますか?

渡部:戦場カメラマンとして、学校カメラマンという大きな夢は、ずっと抱いてきた夢です。ただ、僕自身、この世界情勢がうねっていく中で、やはり戦争を止めるために一つだけでもできることを、カメラマンとして動いていきたい。その入口となるのは、やっぱり僕はカメラマンなので、写真の力を使って、2024年、カメラマンとして、たくさんの方に、戦場の写真を届けていきます。これは、文章や言葉、色々なメディアのクロスのやり方はあります。でも、今年は、写真をたくさんの方に届けます。これが2024年の夢です。

茂木:ありがとうございます! これからも渡部陽一さんのご活動に注目していきたいと思います。その妹さんから貰ったベレー帽を被って、これからも気をつけて、各地を飛び回ってくださいね!

渡部:はい! この妹からのお守りのベレー帽に守られながら、世界を飛び回っていきます!

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■プレゼントのお知らせ

番組でご紹介してきました、現在発売中の
渡部陽一さんのご著書『晴れ、そしてミサイル』に
渡部さんの直筆サインを入れて、3名の方にプレゼント致します。

ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、
メッセージフォームより、ご応募ください。

私、茂木に聞きたい事や相談したい事など、
メッセージを添えていただけると嬉しいです。

尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。



渡部陽一さん オフィシャルサイト


渡部陽一さん (@yoichiomar) 公式アカウント / X(旧Twitter)


渡部陽一さん(@yoichiwatanabe1972) 公式Instagram