2023年12月30日
「Dream Heart」は日本、そして世界で、挑戦をテーマにチャレンジしている人々を毎週ゲストに迎え、その挑戦に迫っていきますが、今週はスペシャルバージョン!
みなさんからお送りいただいたメッセージを、番組パーソナリティの茂木健一郎が、脳科学者として答えていきます!
──本屋はセレンディピティの場所
茂木:では、まずこちらのメッセージから。岩手県 ラジオネーム <クマ太郎>さんです。
いつも楽しく聴いています。
私は本が好きで本屋さんに行くのが好きなんですが、茂木さんはいかがですか?
また、本を選ぶ時に、参考にしている事があったら教えてください。
茂木:僕も本屋さん大好きです。
ただね、よく報じられていますけど、だんだん本屋さんの数も減ってきてしまって。でもその中で、クマ太郎さんもそうですし僕もそうですけど、本屋さん好きの方もいらっしゃるし、それからユニークな本屋さんも増えてきていますよね。
そんな中で、僕がなぜ本屋さんが好きなのかと言うと、脳科学的に言うと、『セレンディピティ』…「偶然の幸運の出会い」があるからなんです。今はもちろんネットでも電子書籍を買ったりできるんですが、その時はどうしても、自分が買いたいものをクリックして買うという、便利なんですけれども、その時に偶然の出会いというのはあんまりないんですよね。
一方、本屋さんというのは、行きますと、目当ての本がある場合でも、ない場合でも、棚を見ますよね。そうすると、棚から色んな本が自分に何か話しかけてくる、と言うんですかね? 背表紙が「これはいいよ」という風に教えてくれることが多くて。そういう意味においては、思いも掛けない本に出会うということにおいて、本屋さんはまさにセレンディピティの場所だな、と思うんです。
先ほど申し上げました、店主さんによって、ちょっと品揃えとか棚作りが工夫されている本屋さんだと、そのセレンディピティもまた自分にとって魅力的なものになってきたりするので、そういう意味において、本屋さんは素敵だなと思います。
そして、本を選ぶ時に参考にしていることなんですけど…。実はですね、私は“評判”かもしれないです。
この評判というのは、今のSNS時代にすごく重要なことだと思うんですが、例えば世間でバズってるとか、友達が読んで良かったよと言ったりとか、そういう風に人と人とのネットワークを通して伝わってくる面白い本、というものを、私は大切にしたいと思っているんです。ですので、本屋さんに独特な品揃えとかそういうものがある、という意味においては、それもある意味では評判なんですよね。
本屋さんがポップである本の解説をしてくれたりとか、店主さんが「こういう目利きで品揃えをしました」というのも評判なんですが、やはり私は、世間で「こういう人たちがこういう本を話題にしている」ということを、とてもとても参考にしているように思います。
ですから、最近ですと、私の友人でもあるんですが、東浩紀さんの『訂正可能性の哲学』。これは、面白いなと言ってる人が多かったので読ませて頂きましたし、それの姉妹本という意味で言うと、『訂正する力』。これも面白かったですね。
あと、やはり今話題の人、アメリカのイーロン・マスクさん。このイーロン・マスクさんの伝記が出ているんですけども、これもやはり評判になっていて読みましたね。
そういう形で、案外、世間だとか自分の周りで話題になってる本などを読むと、結果として、自分にとってとても良い読書体験になることが多いので、参考にして頂けたらなと思います。いずれにせよ、本というのは脳にとって一番良い栄養になるので…ネット上のテキストと比べると、情報の圧縮率が違うんですよね。ですので、本は脳に良いので、クマ太郎さん、これからも一緒に本を読んでいきましょう。
──ドーパミンの回路を活性させる
茂木:続きまして、埼玉県 ラジオネーム <たかちゃん>さんからのメッセージです。
茂木さん、こんばんは。
私は最近、chocoZAPに入会したのですが、入会した事で半分満足してしまいあまり足を運んでいません。
何か行く気を起こすアドバイスをお願い出来ますでしょうか…?
茂木:これはよく聞く話ですし…(笑)。いわゆるスポーツジム、このchocoZAPは、“24時間通える、ちょこっと運動ができるジム”ということですけれども。…という私も、実は以前、研究所の近くのジムに入ったんですが、5年ぐらい行かなかったことがあるので、僕も言いたいことがすごく分かります(笑)。
そして、何でこういうことになってしまうのかと言うと、実は『脳の報酬構造』と関係しているんですね。脳の中には、何かをすると嬉しくて、ドーパミンという物質が出るんですけど、その行動が強化されるんですよ。もちろんジムに行って体を鍛えたら、スリムな体になるとか、体力がつくとか、そういう嬉しいことがあって、その嬉しいことがあると「もっとジムに行って運動しよう」と思えるんですけど、困ったことに、ジムに入るということで満足してしまうという、報酬構造としてドーパミンが出てしまうこともあるんです。だからある意味では、たかちゃんさんはジムに入って満足してしまったんですよ。
こういうことがあるんですよね。僕も5年間ジムに行かなかった時は、ある意味ではそうかもしれなかったです。「入ったから満足したな」、「入るまでの自分が偉かった」、みたいなね。
でも、それだともちろん体を鍛えることにならないので。ですから、その嬉しさというものを、実際に体を鍛えて、スリムになったり、体の調子が良くなるというその嬉しさに、何とか転換していかなくてはいけないわけなんです。運動すると、何か気持ちが良くなるし、体も良くなって嬉しい、というこの回路ができると、逆にドーパミンが出ないと、「何となく物足りない」、「何かをやり抜いてない気がする」、「何か忘れてる」という感じが生まれるわけです。
なので、僕は今、ランニングについてはほぼ毎日走っているんですけど、やはりやらないと気持ちが悪いんです。やらないと気持ちが悪いということの意味は、本来だったら出るはずのドーパミンが出ていない、と。物足りない。何か忘れてる。気持ちが悪い。…という感じになるんですね。
ですので、まずたかちゃんさん、騙されたと思って、頑張ってみませんか?
あと、これは“ベストエフォート”ということでいいんですね。毎日毎日続けないといけない、となると、これまた1日でも休んでしまうと、「ああ駄目だ」と思ってしまうので、できるときに行けばいいんですよ。だから、今は一番良い時期かもしれません。休んで、サボってしまっているので。
今行ってみて、次は3日後に行って、次はちょっと1週間空いちゃったんだけど、その2日後に行った、みたいな感じで、ベストエフォートでやって頂くと、次第にこのドーパミンの回路が活性化して「やらないと気持ちが悪い」という、そういう習慣化ができるようになるのかなと思います。
実は、僕は今ジムには行っていないんですけど、腕立て伏せと腹筋はほぼ毎日やっていますよ。一緒に頑張りませんか?
──マインドフルネスという考え方
茂木:では続きまして、ラジオネーム <モンステラ>さんからのメッセージです。
茂木さん、こんにちは。
職場の事で相談させてください。
私は、6人グループで働いていますが、その中の2人がもう10年以上喧嘩をしています。
8年ほど前に私が入った頃は、いつか皆が和解出来ることを願い、信頼関係を築こうと試みましたが、今は派閥が出来ていまい、グループは、すっかり分かれてしまいました。
私は、どこにも属したく無い為、逆に孤立してしまいました。
私の心はすっかり閉じてしまい、そんな自分にもがっかりする毎日です。
この職場を辞めてしまったら、もう同じ仕事には就けないので、簡単に辞める事も出来ません。生き生きとした自分に戻りたいです。
茂木:なるほど、ご苦労されていますね…。グループに別れて「どちらかに入れ」などと言うのは嫌だから、モンステラさんの気持ち、僕はすごく分かります。
僕はね、こういうことについては、“現状を受け入れる”という脳の持っている素晴らしい可能性について、いつも考えるんですね。理想としては、職場のグループが喧嘩もしなくて、皆が仲良くできたらいいじゃないですか。でもね、「何か問題があるんじゃないか。それを解決したら仲良くなるんじゃないか」とか、「私が何かをしたら、もっとみんなが仲良くなれるんじゃないか」とか、「私自身の振る舞いで、どちらかのグループに属してしまった方が楽なんじゃないか」とか色々考えると思うんですけど、僕はそれを全てやる必要はないと思うんですよ。
つまり、実際に今の現状でモンステラさんは働いていらっしゃるわけだし、ちょっと自分が辛いということもあるかもしれないんですけども、でもまずは、今の状況を受け入れる。それをどうしようとか思わない、というところからスタートするのが、大事だと思うんですね。
こういうグループの力学というのは、脳科学でもずいぶん研究されているんですけど、基本的に、その当事者の方々だけで解決するのは難しいんです。なので、そのような時には、職場外のコミュニティとか、そういうことを活用される。だから、職場は職場でもう働いて、その外で趣味のサークルとか、お友達との会合とか、そういうところに行って、モンステラさんのもっと開放的で生き生きとした自分を、うまく出せればいいと思います。
それから、その職場そのものですけども、例えば今のグループの状況を上司や同僚の方などに相談するだとか、何かの時にお客さんが来たら、そのお客さんとのやり取りを通して仲間の心が解き遅れていくとか、その6人グループ以外の人の目だとか力を借りることで、徐々にグループが変わっていくのかな、と思うんですね。
僕が一つ思うのは、人間関係はずっと続くように思うけど、何かの理由で変わることもあるんですよね。転勤があったりとか、どなたかが引っ越しされたりとかですね。あるいは、色んなライフイベントがありますよね。そういうことを通して、ずっと今の状態が続くわけではないと思うので、ぜひね、文面からも伝わってくるモンステラさんの素晴らしいお人柄を大切にしつつ、今の状況を受け入れること。
確かに良い状況ではないんだけれども、世の中を見るともっと最悪の状況もあるわけじゃないですか。ですから、受け入れて、その中で自分の働き方とか、心の持ちようを自ら整えていく。これは脳科学の世界で言うと、『マインドフルネス』という考え方に繋がっていくんですが、状況を評価することなく、良し悪しで判断するのではなく、そのまま受け入れてみる。このマインドフルネスの考え方が有効なのかなと思います。
とにかく、1人で悩まず、気持ち的に苦しい時は相談して頂くのがいいのかなと。このようにですね、「Dream Heart」にご相談を送って頂くのはとても嬉しいことですので、いつでもお待ちしています。ぜひ、モンステラさんらしく働いて、生活を楽しんで頂けたらなと思います。
●今夜ご紹介したような、茂木さんへのご質問メールは、
すべてメッセージフォームにお送りください。
お待ちしております!
●茂木健一郎さん(@kenichiromogi) 公式アカウント / X(旧Twitter)
みなさんからお送りいただいたメッセージを、番組パーソナリティの茂木健一郎が、脳科学者として答えていきます!
──本屋はセレンディピティの場所
茂木:では、まずこちらのメッセージから。岩手県 ラジオネーム <クマ太郎>さんです。
いつも楽しく聴いています。
私は本が好きで本屋さんに行くのが好きなんですが、茂木さんはいかがですか?
また、本を選ぶ時に、参考にしている事があったら教えてください。
茂木:僕も本屋さん大好きです。
ただね、よく報じられていますけど、だんだん本屋さんの数も減ってきてしまって。でもその中で、クマ太郎さんもそうですし僕もそうですけど、本屋さん好きの方もいらっしゃるし、それからユニークな本屋さんも増えてきていますよね。
そんな中で、僕がなぜ本屋さんが好きなのかと言うと、脳科学的に言うと、『セレンディピティ』…「偶然の幸運の出会い」があるからなんです。今はもちろんネットでも電子書籍を買ったりできるんですが、その時はどうしても、自分が買いたいものをクリックして買うという、便利なんですけれども、その時に偶然の出会いというのはあんまりないんですよね。
一方、本屋さんというのは、行きますと、目当ての本がある場合でも、ない場合でも、棚を見ますよね。そうすると、棚から色んな本が自分に何か話しかけてくる、と言うんですかね? 背表紙が「これはいいよ」という風に教えてくれることが多くて。そういう意味においては、思いも掛けない本に出会うということにおいて、本屋さんはまさにセレンディピティの場所だな、と思うんです。
先ほど申し上げました、店主さんによって、ちょっと品揃えとか棚作りが工夫されている本屋さんだと、そのセレンディピティもまた自分にとって魅力的なものになってきたりするので、そういう意味において、本屋さんは素敵だなと思います。
そして、本を選ぶ時に参考にしていることなんですけど…。実はですね、私は“評判”かもしれないです。
この評判というのは、今のSNS時代にすごく重要なことだと思うんですが、例えば世間でバズってるとか、友達が読んで良かったよと言ったりとか、そういう風に人と人とのネットワークを通して伝わってくる面白い本、というものを、私は大切にしたいと思っているんです。ですので、本屋さんに独特な品揃えとかそういうものがある、という意味においては、それもある意味では評判なんですよね。
本屋さんがポップである本の解説をしてくれたりとか、店主さんが「こういう目利きで品揃えをしました」というのも評判なんですが、やはり私は、世間で「こういう人たちがこういう本を話題にしている」ということを、とてもとても参考にしているように思います。
ですから、最近ですと、私の友人でもあるんですが、東浩紀さんの『訂正可能性の哲学』。これは、面白いなと言ってる人が多かったので読ませて頂きましたし、それの姉妹本という意味で言うと、『訂正する力』。これも面白かったですね。
あと、やはり今話題の人、アメリカのイーロン・マスクさん。このイーロン・マスクさんの伝記が出ているんですけども、これもやはり評判になっていて読みましたね。
そういう形で、案外、世間だとか自分の周りで話題になってる本などを読むと、結果として、自分にとってとても良い読書体験になることが多いので、参考にして頂けたらなと思います。いずれにせよ、本というのは脳にとって一番良い栄養になるので…ネット上のテキストと比べると、情報の圧縮率が違うんですよね。ですので、本は脳に良いので、クマ太郎さん、これからも一緒に本を読んでいきましょう。
──ドーパミンの回路を活性させる
茂木:続きまして、埼玉県 ラジオネーム <たかちゃん>さんからのメッセージです。
茂木さん、こんばんは。
私は最近、chocoZAPに入会したのですが、入会した事で半分満足してしまいあまり足を運んでいません。
何か行く気を起こすアドバイスをお願い出来ますでしょうか…?
茂木:これはよく聞く話ですし…(笑)。いわゆるスポーツジム、このchocoZAPは、“24時間通える、ちょこっと運動ができるジム”ということですけれども。…という私も、実は以前、研究所の近くのジムに入ったんですが、5年ぐらい行かなかったことがあるので、僕も言いたいことがすごく分かります(笑)。
そして、何でこういうことになってしまうのかと言うと、実は『脳の報酬構造』と関係しているんですね。脳の中には、何かをすると嬉しくて、ドーパミンという物質が出るんですけど、その行動が強化されるんですよ。もちろんジムに行って体を鍛えたら、スリムな体になるとか、体力がつくとか、そういう嬉しいことがあって、その嬉しいことがあると「もっとジムに行って運動しよう」と思えるんですけど、困ったことに、ジムに入るということで満足してしまうという、報酬構造としてドーパミンが出てしまうこともあるんです。だからある意味では、たかちゃんさんはジムに入って満足してしまったんですよ。
こういうことがあるんですよね。僕も5年間ジムに行かなかった時は、ある意味ではそうかもしれなかったです。「入ったから満足したな」、「入るまでの自分が偉かった」、みたいなね。
でも、それだともちろん体を鍛えることにならないので。ですから、その嬉しさというものを、実際に体を鍛えて、スリムになったり、体の調子が良くなるというその嬉しさに、何とか転換していかなくてはいけないわけなんです。運動すると、何か気持ちが良くなるし、体も良くなって嬉しい、というこの回路ができると、逆にドーパミンが出ないと、「何となく物足りない」、「何かをやり抜いてない気がする」、「何か忘れてる」という感じが生まれるわけです。
なので、僕は今、ランニングについてはほぼ毎日走っているんですけど、やはりやらないと気持ちが悪いんです。やらないと気持ちが悪いということの意味は、本来だったら出るはずのドーパミンが出ていない、と。物足りない。何か忘れてる。気持ちが悪い。…という感じになるんですね。
ですので、まずたかちゃんさん、騙されたと思って、頑張ってみませんか?
あと、これは“ベストエフォート”ということでいいんですね。毎日毎日続けないといけない、となると、これまた1日でも休んでしまうと、「ああ駄目だ」と思ってしまうので、できるときに行けばいいんですよ。だから、今は一番良い時期かもしれません。休んで、サボってしまっているので。
今行ってみて、次は3日後に行って、次はちょっと1週間空いちゃったんだけど、その2日後に行った、みたいな感じで、ベストエフォートでやって頂くと、次第にこのドーパミンの回路が活性化して「やらないと気持ちが悪い」という、そういう習慣化ができるようになるのかなと思います。
実は、僕は今ジムには行っていないんですけど、腕立て伏せと腹筋はほぼ毎日やっていますよ。一緒に頑張りませんか?
──マインドフルネスという考え方
茂木:では続きまして、ラジオネーム <モンステラ>さんからのメッセージです。
茂木さん、こんにちは。
職場の事で相談させてください。
私は、6人グループで働いていますが、その中の2人がもう10年以上喧嘩をしています。
8年ほど前に私が入った頃は、いつか皆が和解出来ることを願い、信頼関係を築こうと試みましたが、今は派閥が出来ていまい、グループは、すっかり分かれてしまいました。
私は、どこにも属したく無い為、逆に孤立してしまいました。
私の心はすっかり閉じてしまい、そんな自分にもがっかりする毎日です。
この職場を辞めてしまったら、もう同じ仕事には就けないので、簡単に辞める事も出来ません。生き生きとした自分に戻りたいです。
茂木:なるほど、ご苦労されていますね…。グループに別れて「どちらかに入れ」などと言うのは嫌だから、モンステラさんの気持ち、僕はすごく分かります。
僕はね、こういうことについては、“現状を受け入れる”という脳の持っている素晴らしい可能性について、いつも考えるんですね。理想としては、職場のグループが喧嘩もしなくて、皆が仲良くできたらいいじゃないですか。でもね、「何か問題があるんじゃないか。それを解決したら仲良くなるんじゃないか」とか、「私が何かをしたら、もっとみんなが仲良くなれるんじゃないか」とか、「私自身の振る舞いで、どちらかのグループに属してしまった方が楽なんじゃないか」とか色々考えると思うんですけど、僕はそれを全てやる必要はないと思うんですよ。
つまり、実際に今の現状でモンステラさんは働いていらっしゃるわけだし、ちょっと自分が辛いということもあるかもしれないんですけども、でもまずは、今の状況を受け入れる。それをどうしようとか思わない、というところからスタートするのが、大事だと思うんですね。
こういうグループの力学というのは、脳科学でもずいぶん研究されているんですけど、基本的に、その当事者の方々だけで解決するのは難しいんです。なので、そのような時には、職場外のコミュニティとか、そういうことを活用される。だから、職場は職場でもう働いて、その外で趣味のサークルとか、お友達との会合とか、そういうところに行って、モンステラさんのもっと開放的で生き生きとした自分を、うまく出せればいいと思います。
それから、その職場そのものですけども、例えば今のグループの状況を上司や同僚の方などに相談するだとか、何かの時にお客さんが来たら、そのお客さんとのやり取りを通して仲間の心が解き遅れていくとか、その6人グループ以外の人の目だとか力を借りることで、徐々にグループが変わっていくのかな、と思うんですね。
僕が一つ思うのは、人間関係はずっと続くように思うけど、何かの理由で変わることもあるんですよね。転勤があったりとか、どなたかが引っ越しされたりとかですね。あるいは、色んなライフイベントがありますよね。そういうことを通して、ずっと今の状態が続くわけではないと思うので、ぜひね、文面からも伝わってくるモンステラさんの素晴らしいお人柄を大切にしつつ、今の状況を受け入れること。
確かに良い状況ではないんだけれども、世の中を見るともっと最悪の状況もあるわけじゃないですか。ですから、受け入れて、その中で自分の働き方とか、心の持ちようを自ら整えていく。これは脳科学の世界で言うと、『マインドフルネス』という考え方に繋がっていくんですが、状況を評価することなく、良し悪しで判断するのではなく、そのまま受け入れてみる。このマインドフルネスの考え方が有効なのかなと思います。
とにかく、1人で悩まず、気持ち的に苦しい時は相談して頂くのがいいのかなと。このようにですね、「Dream Heart」にご相談を送って頂くのはとても嬉しいことですので、いつでもお待ちしています。ぜひ、モンステラさんらしく働いて、生活を楽しんで頂けたらなと思います。
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