2023年07月29日
ラム・サムさんは、 1985年のお生まれです。
香港演芸学院電影電視学院演出学科をご卒業後、
短編映画やドキュメンタリー映画の制作のほか、
映画制作の講師としてもご活躍中でいらっしゃいます。
監督の代表作に、2012年に発表された短編映画『oasis』や、
昨年、2022年に日本でも公開となりました、
共同監督作『少年たちの時代革命』などがあります。
現在は、イギリス・ロンドンを拠点に活動され、
新世代の香港映画を牽引する、今注目の映画監督でいらっしゃいます。
──映画を通じてカルチャーの相互理解を
茂木:映画『星くずの片隅で』なんですけども、現在TOHOシネマズ シャンテ、ポレポレ東中野ほか、全国で順次公開中です。この映画は、監督の単独での長編映画デビューだと思うんですけど、自分一人で長編映画を取り終えた感想というのは、いかがですか?
ラム・サム:はい、そうですね。前の作品では共同監督がいたので、仕事を分担して撮影することができました。でも今回は初めて一人で長編映画を撮るということで、やはり大変でした。私は今まで短編映画を主に作ってきたんですけど、短編は最初のシーンから最後のシーンまで全て把握できます。でも長編映画となるとスケールが大きくなるので、全体を把握するのが難しかったです。
今回の映画『星くずの片隅で』で言うと、100シーンほど増えました。撮影は順当にいかないこともあったので、その前後がどんなシーンだったのか、ちゃんと記憶しておかないと忘れたりもしたので、苦労しました。
茂木:なるほど。でもその最初の作品が、こんなに多くの賞も受けていますし、観客に観られているというお気持ちはいかがですか?
ラム・サム:正直、とても驚いています。撮影中はコロナ禍だったので、当時は香港の映画館もほとんど閉まっていました。もしこの映画が完成しても、劇場で公開されるかどうかさえわからない状況でした。そんな中でいろんな映画賞をいただいたり、見ている人の反応も良かったので、とても嬉しかったです。
またラッキーだったのは、映画が公開された時、ちょうどコロナが収まってくれたことです。コロナを体験した人達にまだあの辛い記憶が残っている中で今回の映画を観てくれたら、共感してくださる部分が多いと思います。
茂木:ありがとうございます。
僕も香港に何回か行っていて、やっぱりすごく色んな文化が混ざっているところが魅力的だなと思うんですが。今、監督はロンドンを拠点に活動されていて、ロンドンから見て、故郷の香港というのは今どんな風に見えていますか?
ラム・サム:そうですね。実は、ロンドンは香港に似ている部分が多い国だと思います。例えば、香港にはセントラルという中心街があるんですけども、ロンドンにもセントラルに似た街がたくさんあります。また古い建物と新しい建物が混在している点も、香港ととてもよく似ているし、世界中の人々がたくさん暮らしているので、色んなカルチャーが混ざり合っているところもよく似ているなと思っています。
茂木:今ロンドンで活動されていて、今後は映画も、ロンドンやイギリスを舞台にした映画なんかも、考えてらっしゃるんでしょうか?
ラム・サム:はい。実はロンドンに1年以上住んでいますけども、その間もロンドンに引っ越ししてきた香港の人がいっぱいいます。
今ロンドンには、香港の人たちのコミュニティがいっぱいあって、そこで聞く話はどれも面白いので、色んな構想が生まれてきます。だからいつか、その人たちを題材に映画を撮りたいなとは思っています。
茂木:なるほど。
今、世界の映画は、韓国映画の『パラサイト』がアカデミー作品賞を獲ったり、『Everything Everywhere All at Once』では、エスニシティが多様な方々が主演して主要な賞を獲ったり、あるいは、インド映画の『RRR』が日本でも大ヒットしたりして、すごく文化的な多様性の中で色んな映画が出てきていると思うんですけど、監督は今、世界の映画の状況をどのようにご覧になっていますか?
ラム・サム:そうした状況は、私にとってもすごく素晴らしいことだと思っています。やはり今、グローバリゼーション、グローバル化がますます進んでいる中で、お互いの文化に対して理解を深めることはとても大切なことだと思っています。映画を通じてカルチャーの相互理解を深めることができれば、それはとても素晴らしいことだと思っています。
──ラム・サムさんの夢・挑戦
茂木:映画という芸術を本当に愛しているラム・サムさんなんですけども。ラム・サムさん、この番組のテーマは『夢と挑戦』なんですが、ラム・サム監督にとって今後の夢、そして挑戦は何でしょうか?
ラム・サム:そうですね。私は映画を通じて伝えたいメッセージがたくさんあるので、まずはやはり、映画を撮り続けていくことが夢です。
あと映画『星くずの片隅で』は香港を舞台にした映画ですが、私は今ロンドンで暮らしています。今回の映画を撮影していた時よりも、より視野が広がっていると思うので、香港の話だけではなく、広い視野で今の世の中の変化を撮りたいなと思っていて、他国との合作映画に挑戦してみたいなと思っています。
茂木:なるほど! ラム・サム監督のこれからの活躍が楽しみなんですが。
そのラム・サム監督がコロナ禍の香港を舞台に、格差、介護、ネットの誹謗中傷、移民問題など、日本にも通ずる社会問題を散りばめながら描いたヒューマンドラマ、『星くずの片隅で』は、現在、TOHOシネマズ シャンテ、ポレポレ東中野他、全国で順次公開中です。上映される映画館など詳しい情報は公式ホームページをご覧ください。Dream HEARTのホームページからもリンクを貼っております。
ラム・サム監督、最後に、これからこの『星くずの片隅で』観るビューアーの方々に、何かメッセージをお願いできますでしょうか?
ラム・サム:はい。今回、日本で劇場公開することが出来て、とても光栄だと思っています。特に、配給のリムさんに感謝してます。
そして、『星くずの片隅で』の中に、こんなセリフがあります。「俺たちは塵より小さい、神様も見逃すほどだ。でも、お互いを見れたら、それでいい。」このセリフのように、この映画は小さい映画ですが、日本の人にこの作品を届けることができて、 すごく幸せだなと思っています。 是非、見に来てください。
●映画「星くずの片隅で」 公式サイト
●映画「星くずの片隅で」 公式Twitter (@hoshikuzu2023)
香港演芸学院電影電視学院演出学科をご卒業後、
短編映画やドキュメンタリー映画の制作のほか、
映画制作の講師としてもご活躍中でいらっしゃいます。
監督の代表作に、2012年に発表された短編映画『oasis』や、
昨年、2022年に日本でも公開となりました、
共同監督作『少年たちの時代革命』などがあります。
現在は、イギリス・ロンドンを拠点に活動され、
新世代の香港映画を牽引する、今注目の映画監督でいらっしゃいます。
──映画を通じてカルチャーの相互理解を
茂木:映画『星くずの片隅で』なんですけども、現在TOHOシネマズ シャンテ、ポレポレ東中野ほか、全国で順次公開中です。この映画は、監督の単独での長編映画デビューだと思うんですけど、自分一人で長編映画を取り終えた感想というのは、いかがですか?
ラム・サム:はい、そうですね。前の作品では共同監督がいたので、仕事を分担して撮影することができました。でも今回は初めて一人で長編映画を撮るということで、やはり大変でした。私は今まで短編映画を主に作ってきたんですけど、短編は最初のシーンから最後のシーンまで全て把握できます。でも長編映画となるとスケールが大きくなるので、全体を把握するのが難しかったです。
今回の映画『星くずの片隅で』で言うと、100シーンほど増えました。撮影は順当にいかないこともあったので、その前後がどんなシーンだったのか、ちゃんと記憶しておかないと忘れたりもしたので、苦労しました。
茂木:なるほど。でもその最初の作品が、こんなに多くの賞も受けていますし、観客に観られているというお気持ちはいかがですか?
ラム・サム:正直、とても驚いています。撮影中はコロナ禍だったので、当時は香港の映画館もほとんど閉まっていました。もしこの映画が完成しても、劇場で公開されるかどうかさえわからない状況でした。そんな中でいろんな映画賞をいただいたり、見ている人の反応も良かったので、とても嬉しかったです。
またラッキーだったのは、映画が公開された時、ちょうどコロナが収まってくれたことです。コロナを体験した人達にまだあの辛い記憶が残っている中で今回の映画を観てくれたら、共感してくださる部分が多いと思います。
茂木:ありがとうございます。
僕も香港に何回か行っていて、やっぱりすごく色んな文化が混ざっているところが魅力的だなと思うんですが。今、監督はロンドンを拠点に活動されていて、ロンドンから見て、故郷の香港というのは今どんな風に見えていますか?
ラム・サム:そうですね。実は、ロンドンは香港に似ている部分が多い国だと思います。例えば、香港にはセントラルという中心街があるんですけども、ロンドンにもセントラルに似た街がたくさんあります。また古い建物と新しい建物が混在している点も、香港ととてもよく似ているし、世界中の人々がたくさん暮らしているので、色んなカルチャーが混ざり合っているところもよく似ているなと思っています。
茂木:今ロンドンで活動されていて、今後は映画も、ロンドンやイギリスを舞台にした映画なんかも、考えてらっしゃるんでしょうか?
ラム・サム:はい。実はロンドンに1年以上住んでいますけども、その間もロンドンに引っ越ししてきた香港の人がいっぱいいます。
今ロンドンには、香港の人たちのコミュニティがいっぱいあって、そこで聞く話はどれも面白いので、色んな構想が生まれてきます。だからいつか、その人たちを題材に映画を撮りたいなとは思っています。
茂木:なるほど。
今、世界の映画は、韓国映画の『パラサイト』がアカデミー作品賞を獲ったり、『Everything Everywhere All at Once』では、エスニシティが多様な方々が主演して主要な賞を獲ったり、あるいは、インド映画の『RRR』が日本でも大ヒットしたりして、すごく文化的な多様性の中で色んな映画が出てきていると思うんですけど、監督は今、世界の映画の状況をどのようにご覧になっていますか?
ラム・サム:そうした状況は、私にとってもすごく素晴らしいことだと思っています。やはり今、グローバリゼーション、グローバル化がますます進んでいる中で、お互いの文化に対して理解を深めることはとても大切なことだと思っています。映画を通じてカルチャーの相互理解を深めることができれば、それはとても素晴らしいことだと思っています。
──ラム・サムさんの夢・挑戦
茂木:映画という芸術を本当に愛しているラム・サムさんなんですけども。ラム・サムさん、この番組のテーマは『夢と挑戦』なんですが、ラム・サム監督にとって今後の夢、そして挑戦は何でしょうか?
ラム・サム:そうですね。私は映画を通じて伝えたいメッセージがたくさんあるので、まずはやはり、映画を撮り続けていくことが夢です。
あと映画『星くずの片隅で』は香港を舞台にした映画ですが、私は今ロンドンで暮らしています。今回の映画を撮影していた時よりも、より視野が広がっていると思うので、香港の話だけではなく、広い視野で今の世の中の変化を撮りたいなと思っていて、他国との合作映画に挑戦してみたいなと思っています。
茂木:なるほど! ラム・サム監督のこれからの活躍が楽しみなんですが。
そのラム・サム監督がコロナ禍の香港を舞台に、格差、介護、ネットの誹謗中傷、移民問題など、日本にも通ずる社会問題を散りばめながら描いたヒューマンドラマ、『星くずの片隅で』は、現在、TOHOシネマズ シャンテ、ポレポレ東中野他、全国で順次公開中です。上映される映画館など詳しい情報は公式ホームページをご覧ください。Dream HEARTのホームページからもリンクを貼っております。
ラム・サム監督、最後に、これからこの『星くずの片隅で』観るビューアーの方々に、何かメッセージをお願いできますでしょうか?
ラム・サム:はい。今回、日本で劇場公開することが出来て、とても光栄だと思っています。特に、配給のリムさんに感謝してます。
そして、『星くずの片隅で』の中に、こんなセリフがあります。「俺たちは塵より小さい、神様も見逃すほどだ。でも、お互いを見れたら、それでいい。」このセリフのように、この映画は小さい映画ですが、日本の人にこの作品を届けることができて、 すごく幸せだなと思っています。 是非、見に来てください。
●映画「星くずの片隅で」 公式サイト
●映画「星くずの片隅で」 公式Twitter (@hoshikuzu2023)