2023年07月22日
ラム・サムさんは、 1985年のお生まれです。
香港演芸学院電影電視学院演出学科をご卒業後、
短編映画やドキュメンタリー映画の制作のほか、
映画制作の講師としてもご活躍中でいらっしゃいます。
監督の代表作に、2012年に発表された短編映画『oasis』や、
昨年、2022年に日本でも公開となりました、
共同監督作『少年たちの時代革命』などがあります。
現在は、イギリス・ロンドンを拠点に活動され、
新世代の香港映画を牽引する、今注目の映画監督でいらっしゃいます。
──香港人に伝えたいメッセージ
茂木:ラム・サムさんの最新作、映画『星くずの片隅で』は、先週金曜日、7月14日より、TOHOシネマズ シャンテ、ポレポレ東中野ほか、全国で順次ロードショーされています。
2020年の香港を舞台に、コロナウィルスの感染拡大により、静まり返った街の風景をリアルに捉えながら、そこに住む人々が当時陥っていた苦境と、それを乗り越えようともがく姿を描くヒューマンドラマです。
この映画では、主人公がエッセンシャルワーカー、清掃の会社を経営していますが、なぜ、そうしたエッセンシャルワーカーの人を描こうと思ったんですか?
ラム・サム:最初、脚本家と一緒にストーリーを考えていた時に、大都市での清掃員や清掃業者の仕事や生活というのは、とても特殊で映画的だなと思いました。彼らは、私達が出したゴミを片付けてくれたり、掃除をしてくれたりします。でも、彼らの事は、誰も気にも止めないし、ゴミも誰も片付けてもくれないわけです。その姿がとても悲しそうに見えたので、この問題を取り上げようと思いました。
茂木:この清掃業者の名前が、「ピーターパン・クリーニング」という名前ですが、この社名には、何かメッセージが込められているんですか?
ラム・サム:はい。「ピーター・パン」は、香港で「ソウ・スイ・シャー」といいます。
実は、香港では、日本の手塚治さんの漫画『鉄腕アトム』の主人公も、「ソウ・スイ・シャー」と言いまして、同じ名前なんです。「ピーター・パン」を清掃業社の名前にしたのは、主人公のザクが幼い頃から日本の漫画やアニメを見て育った、…という設定にしていたので、ピーターパンにしました。
茂木:なるほど、面白いですね。
ラム・サム監督が生まれたのが1985年。香港が返還されたのが1997年。…ということで、恐らく、監督が11〜12歳の時に香港が返還されたと思うんですが、まさに、時代が変化する中で人々が一生懸命生きている姿というのが、我々が見ていても感動するんですが。今、香港がどんどん変わって行く中で、一人一人が自分の人生が幸せになるように、仲間を大事にするように生きているという、そこら辺はいかがですか?
ラム・サム:そうですね。仰る通りです。やはり、香港は今、大きな変化にあって、人々がどういう風にこの時代に対応するか、 そしてどういう風に乗り越えていくか? そういうことにすごく興味を持っていて、彼らが一生懸命頑張っている姿を、やっぱり、撮りたいですよね。
茂木:今回の映画の中でもそうですが、例えばお金がある人とない人との格差だとか、あるいは、香港から出て移住する方と、香港に留まって生活をしようという方というのも、凄く差がでてきていると思います。今、香港の社会というのは、どういったコミュニティを維持するかが大事だと思うのですが、その辺りがこの映画でも大きなテーマになっていると思いますが、いかがですか?
ラム・サム:実は、この映画の計画が始まったのは、コロナの前です。そして、コロナがあってから撮影が始まったんですけれども、コロナ禍の体験も結構この映画中に取り入れています。
例えば、自分が会社に通うことができなくなって、子供たちも学校に行けなくなったという現実の話も、結構映画の中に取り入れました。実際、自分の父親もコロナ禍で亡くなったんです。また、自分も知り合いと、“移民するか、しないか”ということをよく話し合ったりしていましたし、現実の話もいっぱい映画の中に取り入れました。
茂木:あくまでもリアリズムなんですね。
この映画の最後。ルイス・チョンさんがある仕事をしていますが、その仕事の中でのシーン…あれは、希望を抱かせるような、将来がこれから明るくなるような、そういうラストシーンなんでしょうか?
ラム・サム:最後のシーンに込めたメッセージは、 やはり香港人に対して伝えたかったんです。特に、2019年後のコロナ禍を体験した香港人ですけれども、皆すごく落ち込んでるんです。世の中が暗いという雰囲気がありましたが、いくら世の中が酷くなっても諦めず頑張っていこう、という、なにか明るい希望を香港人に伝えたいと思い、あのようなシーンを演出をしました。
茂木:ありがとうございます。ラム・サム、最後に、この映画まだ観ていない人もいらっしゃると思うんで、『星くずの片隅で』をこれからご覧になる方、ファンの方に、メッセージをいただけますでしょうか?
ラム・サム:ぜひ、劇場にお越しいただき、観て頂きたいと思います。特に今、世の中は大変な時ですけれども、世の中のことを信じられない、人のことも信じられない人は、この映画を見て、人を信じる素晴らしさ、そして「世の中いいことあるよ!」という希望を感じていただけたら嬉しいです。
●映画「星くずの片隅で」 公式サイト
●映画「星くずの片隅で」 公式Twitter (@hoshikuzu2023)
香港演芸学院電影電視学院演出学科をご卒業後、
短編映画やドキュメンタリー映画の制作のほか、
映画制作の講師としてもご活躍中でいらっしゃいます。
監督の代表作に、2012年に発表された短編映画『oasis』や、
昨年、2022年に日本でも公開となりました、
共同監督作『少年たちの時代革命』などがあります。
現在は、イギリス・ロンドンを拠点に活動され、
新世代の香港映画を牽引する、今注目の映画監督でいらっしゃいます。
──香港人に伝えたいメッセージ
茂木:ラム・サムさんの最新作、映画『星くずの片隅で』は、先週金曜日、7月14日より、TOHOシネマズ シャンテ、ポレポレ東中野ほか、全国で順次ロードショーされています。
2020年の香港を舞台に、コロナウィルスの感染拡大により、静まり返った街の風景をリアルに捉えながら、そこに住む人々が当時陥っていた苦境と、それを乗り越えようともがく姿を描くヒューマンドラマです。
この映画では、主人公がエッセンシャルワーカー、清掃の会社を経営していますが、なぜ、そうしたエッセンシャルワーカーの人を描こうと思ったんですか?
ラム・サム:最初、脚本家と一緒にストーリーを考えていた時に、大都市での清掃員や清掃業者の仕事や生活というのは、とても特殊で映画的だなと思いました。彼らは、私達が出したゴミを片付けてくれたり、掃除をしてくれたりします。でも、彼らの事は、誰も気にも止めないし、ゴミも誰も片付けてもくれないわけです。その姿がとても悲しそうに見えたので、この問題を取り上げようと思いました。
茂木:この清掃業者の名前が、「ピーターパン・クリーニング」という名前ですが、この社名には、何かメッセージが込められているんですか?
ラム・サム:はい。「ピーター・パン」は、香港で「ソウ・スイ・シャー」といいます。
実は、香港では、日本の手塚治さんの漫画『鉄腕アトム』の主人公も、「ソウ・スイ・シャー」と言いまして、同じ名前なんです。「ピーター・パン」を清掃業社の名前にしたのは、主人公のザクが幼い頃から日本の漫画やアニメを見て育った、…という設定にしていたので、ピーターパンにしました。
茂木:なるほど、面白いですね。
ラム・サム監督が生まれたのが1985年。香港が返還されたのが1997年。…ということで、恐らく、監督が11〜12歳の時に香港が返還されたと思うんですが、まさに、時代が変化する中で人々が一生懸命生きている姿というのが、我々が見ていても感動するんですが。今、香港がどんどん変わって行く中で、一人一人が自分の人生が幸せになるように、仲間を大事にするように生きているという、そこら辺はいかがですか?
ラム・サム:そうですね。仰る通りです。やはり、香港は今、大きな変化にあって、人々がどういう風にこの時代に対応するか、 そしてどういう風に乗り越えていくか? そういうことにすごく興味を持っていて、彼らが一生懸命頑張っている姿を、やっぱり、撮りたいですよね。
茂木:今回の映画の中でもそうですが、例えばお金がある人とない人との格差だとか、あるいは、香港から出て移住する方と、香港に留まって生活をしようという方というのも、凄く差がでてきていると思います。今、香港の社会というのは、どういったコミュニティを維持するかが大事だと思うのですが、その辺りがこの映画でも大きなテーマになっていると思いますが、いかがですか?
ラム・サム:実は、この映画の計画が始まったのは、コロナの前です。そして、コロナがあってから撮影が始まったんですけれども、コロナ禍の体験も結構この映画中に取り入れています。
例えば、自分が会社に通うことができなくなって、子供たちも学校に行けなくなったという現実の話も、結構映画の中に取り入れました。実際、自分の父親もコロナ禍で亡くなったんです。また、自分も知り合いと、“移民するか、しないか”ということをよく話し合ったりしていましたし、現実の話もいっぱい映画の中に取り入れました。
茂木:あくまでもリアリズムなんですね。
この映画の最後。ルイス・チョンさんがある仕事をしていますが、その仕事の中でのシーン…あれは、希望を抱かせるような、将来がこれから明るくなるような、そういうラストシーンなんでしょうか?
ラム・サム:最後のシーンに込めたメッセージは、 やはり香港人に対して伝えたかったんです。特に、2019年後のコロナ禍を体験した香港人ですけれども、皆すごく落ち込んでるんです。世の中が暗いという雰囲気がありましたが、いくら世の中が酷くなっても諦めず頑張っていこう、という、なにか明るい希望を香港人に伝えたいと思い、あのようなシーンを演出をしました。
茂木:ありがとうございます。ラム・サム、最後に、この映画まだ観ていない人もいらっしゃると思うんで、『星くずの片隅で』をこれからご覧になる方、ファンの方に、メッセージをいただけますでしょうか?
ラム・サム:ぜひ、劇場にお越しいただき、観て頂きたいと思います。特に今、世の中は大変な時ですけれども、世の中のことを信じられない、人のことも信じられない人は、この映画を見て、人を信じる素晴らしさ、そして「世の中いいことあるよ!」という希望を感じていただけたら嬉しいです。
●映画「星くずの片隅で」 公式サイト
●映画「星くずの片隅で」 公式Twitter (@hoshikuzu2023)