2023年06月24日
太田さんは、1965年、埼玉県のお生まれです。
日本大学芸術学部の同級生だった田中裕二さんと、1988年に「爆笑問題」を結成。
政治から芸能界まで、様々な社会現象を斬る漫才は、
幅広い年齢層に支持されています。
また、執筆活動もされており、2010年、初の小説『マボロシの鳥』を上梓。
2作目の『文明の子』に続く、11年ぶりの書き下ろし長編小説『笑って人類!』が
今年の3月に幻冬舎より発売され、話題を集めていらっしゃいます。
──「“ガラパゴス”日本」を否定しなくていい
茂木:幻冬舎より発売されているご著書『笑って人類!』ですが、まだ読んでない方のために簡単にあらすじをご紹介します。
この『笑って人類!』の主人公は、およそ約100年後の近未来極東の小国、“ピースランド”のダメダメ総理。その総理が、飛行機に乗り遅れ、世界の主要国が集結する会議に遅刻。しかし、そのお陰でテロからの惨劇を免れ、世界の平和のために立ち上がることになる…という、ここから始まるんですけれども。
僕が「太田さんはすごいな」と思ったのは、日本はちょっと色んな意味で情けない国なんだけど、その情けなさがパワーになる、という、批評性がありますよね。
太田:そうですね。と言うか、この“ピースランド”は明らかに日本なんですけど、何となく僕も政治バラエティーとか色々やってるじゃないですか。
茂木:総理にになったこともありますんね(笑)。
太田:そう、太田総理とか(笑)。色々やってる中で、例えば、日本は世界で“ガラパゴス”とかよく言われるじゃないですか。これを直さなきゃいけない、と。世界標準の国にしなきゃいけないというのも分かるんだけど、果たしてそんなことができるのか? 日本人が脈々と築いてきた気質があるじゃないですか。人の顔色を伺いながらちょっと裏で何かやる、みたいな。それ自体を直せるのかな、と。
これからの未来の人達は、例えば大谷みたいな、ああいう今までの日本のプロ野球じゃ考えられないような化け物的な人達は、恐らくこれから先も出てくるかもしれないけど、我々世代の僕なんかにしてみても、そういう風に急にアメリカ人みたいに政治ができるとは、とても思えないんです。
これは100年後という設定だけど、僕はどっちかと言うと本当に今の延長線上で日本の政治の気質を書いていて、「このまま重要な役割をできる国になるには、どうすりゃいいんだろう?」というのを、思考実験的に書いたような感覚がありますね。
茂木:だから、意外と今の日本人と振る舞いは変わっていないんだけど、なぜか、世界の平和のために重要な役割を果たすようになるという事ですよね。
太田:そうですね。
茂木:そして、今流行りの人工知能なんかについてもありますが、太田さんから見た今の人工知能はどうですか?
太田:どうなんですかね(笑)。僕自体はあんまりSNSもやらないし、ChatGPTみたいなのは使ったこともないし。ただ、ある程度昔から考えてたのは、日本人は、いわゆる擬人化が好きじゃないですか。ロボットとかああいうのは、元々はアトムであるとか、ASIMOであるとか、そういうのを作るのが好きじゃないですか。日本人はああいう人形が好きなんですよね。そこに思い入れをすごく感じてしまう。
茂木:なるほど。
太田:言ってみれば、アニメーションであったり、二次元のものに恋をしてしまうとか、フィギュアが好きだったり…。日本人のすごい大きな特徴として、それはあるな、と。それは実は、元々そういう道具であるとか、あるいは、言ってみれば「この日本の中心に何があるか」というと「三種の神器」であるとか。“人”じゃなかったりするじゃないですか。
茂木:確かにそうですね。
太田:割りとこれがこの国の特徴だろうなと思ってるから、AIなんかも、本当に生きてる生きてないは関係なく、やっぱり“人格”として認めちゃうことは十分この国ではあり得るし、愛しちゃったり、それはもう今の時代に始まったことではなく、元々そういう人達だなという感じはしてるんですよね。
茂木:今はアメリカ中心にAIとか作ってますけど、日本人が作るとちょっとまた違うAIになるかも知れませんね。
太田:それで、やっぱり日本人は、人間の形にしたがるじゃないですか。本当はそんなの無駄で工業用ロボットで十分なのに、やっぱりどうしても人形に寄せたがる、というのは、もしかしたら日本人の特色で、「ガラパゴスと言われようが何と言われようが、否定しなくていいんじゃないの」という思いが僕の中には結構あるんですよね。
茂木:直近ですと、YOASOBIの『アイドル』が世界的なヒットで。それを“ネオ・ガラパゴス”と言ってるらしいんですけどね。
太田:あ、そうなんですか。
茂木:『笑って人類!』は、ひょっとしたらネオ・ガラパゴスかも…(笑)。
太田:(笑)。そうなればいいですよね。
茂木:僕はずっと『マボロシの鳥』以来、太田さんの文学性をもっと世の中の人に知って欲しいなと思っていたんですが、だから『笑って人類!』も本当に多くの人に読んでもらいたいです。
今回の太田光さんの『笑って人類!』は、2段組で500ページを超えている超大作なんですよね。
太田:やけっぱちで書いてます(笑)。
茂木:いやいや(笑)。本当に素晴らしいと思うんですけど。
『笑って人類!』のこれから読者の方に、太田さん、是非一言お願いします。
太田:ちょっと分厚いし2段組だし、本当に手に取りにくいとは思うんですけど、まぁ僕レベルの文章なんで読み始めたら割りとスラスラ行くと思うんで(笑)、是非読んでみて頂きたいなと思ってます。
●爆笑問題 公式サイト
●TITAN(タイタン)公式Twitter(@titanhappy)
●「笑って人類!」 / 太田光(著)
(Amazon)
●幻冬舎 公式サイト
●幻冬舎 Twitter(@gentoshap)
●幻冬舎plus公式サイト
●幻冬舎plus Twitter(@gentoshap)
日本大学芸術学部の同級生だった田中裕二さんと、1988年に「爆笑問題」を結成。
政治から芸能界まで、様々な社会現象を斬る漫才は、
幅広い年齢層に支持されています。
また、執筆活動もされており、2010年、初の小説『マボロシの鳥』を上梓。
2作目の『文明の子』に続く、11年ぶりの書き下ろし長編小説『笑って人類!』が
今年の3月に幻冬舎より発売され、話題を集めていらっしゃいます。
──「“ガラパゴス”日本」を否定しなくていい
茂木:幻冬舎より発売されているご著書『笑って人類!』ですが、まだ読んでない方のために簡単にあらすじをご紹介します。
この『笑って人類!』の主人公は、およそ約100年後の近未来極東の小国、“ピースランド”のダメダメ総理。その総理が、飛行機に乗り遅れ、世界の主要国が集結する会議に遅刻。しかし、そのお陰でテロからの惨劇を免れ、世界の平和のために立ち上がることになる…という、ここから始まるんですけれども。
僕が「太田さんはすごいな」と思ったのは、日本はちょっと色んな意味で情けない国なんだけど、その情けなさがパワーになる、という、批評性がありますよね。
太田:そうですね。と言うか、この“ピースランド”は明らかに日本なんですけど、何となく僕も政治バラエティーとか色々やってるじゃないですか。
茂木:総理にになったこともありますんね(笑)。
太田:そう、太田総理とか(笑)。色々やってる中で、例えば、日本は世界で“ガラパゴス”とかよく言われるじゃないですか。これを直さなきゃいけない、と。世界標準の国にしなきゃいけないというのも分かるんだけど、果たしてそんなことができるのか? 日本人が脈々と築いてきた気質があるじゃないですか。人の顔色を伺いながらちょっと裏で何かやる、みたいな。それ自体を直せるのかな、と。
これからの未来の人達は、例えば大谷みたいな、ああいう今までの日本のプロ野球じゃ考えられないような化け物的な人達は、恐らくこれから先も出てくるかもしれないけど、我々世代の僕なんかにしてみても、そういう風に急にアメリカ人みたいに政治ができるとは、とても思えないんです。
これは100年後という設定だけど、僕はどっちかと言うと本当に今の延長線上で日本の政治の気質を書いていて、「このまま重要な役割をできる国になるには、どうすりゃいいんだろう?」というのを、思考実験的に書いたような感覚がありますね。
茂木:だから、意外と今の日本人と振る舞いは変わっていないんだけど、なぜか、世界の平和のために重要な役割を果たすようになるという事ですよね。
太田:そうですね。
茂木:そして、今流行りの人工知能なんかについてもありますが、太田さんから見た今の人工知能はどうですか?
太田:どうなんですかね(笑)。僕自体はあんまりSNSもやらないし、ChatGPTみたいなのは使ったこともないし。ただ、ある程度昔から考えてたのは、日本人は、いわゆる擬人化が好きじゃないですか。ロボットとかああいうのは、元々はアトムであるとか、ASIMOであるとか、そういうのを作るのが好きじゃないですか。日本人はああいう人形が好きなんですよね。そこに思い入れをすごく感じてしまう。
茂木:なるほど。
太田:言ってみれば、アニメーションであったり、二次元のものに恋をしてしまうとか、フィギュアが好きだったり…。日本人のすごい大きな特徴として、それはあるな、と。それは実は、元々そういう道具であるとか、あるいは、言ってみれば「この日本の中心に何があるか」というと「三種の神器」であるとか。“人”じゃなかったりするじゃないですか。
茂木:確かにそうですね。
太田:割りとこれがこの国の特徴だろうなと思ってるから、AIなんかも、本当に生きてる生きてないは関係なく、やっぱり“人格”として認めちゃうことは十分この国ではあり得るし、愛しちゃったり、それはもう今の時代に始まったことではなく、元々そういう人達だなという感じはしてるんですよね。
茂木:今はアメリカ中心にAIとか作ってますけど、日本人が作るとちょっとまた違うAIになるかも知れませんね。
太田:それで、やっぱり日本人は、人間の形にしたがるじゃないですか。本当はそんなの無駄で工業用ロボットで十分なのに、やっぱりどうしても人形に寄せたがる、というのは、もしかしたら日本人の特色で、「ガラパゴスと言われようが何と言われようが、否定しなくていいんじゃないの」という思いが僕の中には結構あるんですよね。
茂木:直近ですと、YOASOBIの『アイドル』が世界的なヒットで。それを“ネオ・ガラパゴス”と言ってるらしいんですけどね。
太田:あ、そうなんですか。
茂木:『笑って人類!』は、ひょっとしたらネオ・ガラパゴスかも…(笑)。
太田:(笑)。そうなればいいですよね。
茂木:僕はずっと『マボロシの鳥』以来、太田さんの文学性をもっと世の中の人に知って欲しいなと思っていたんですが、だから『笑って人類!』も本当に多くの人に読んでもらいたいです。
今回の太田光さんの『笑って人類!』は、2段組で500ページを超えている超大作なんですよね。
太田:やけっぱちで書いてます(笑)。
茂木:いやいや(笑)。本当に素晴らしいと思うんですけど。
『笑って人類!』のこれから読者の方に、太田さん、是非一言お願いします。
太田:ちょっと分厚いし2段組だし、本当に手に取りにくいとは思うんですけど、まぁ僕レベルの文章なんで読み始めたら割りとスラスラ行くと思うんで(笑)、是非読んでみて頂きたいなと思ってます。
●爆笑問題 公式サイト
●TITAN(タイタン)公式Twitter(@titanhappy)
●「笑って人類!」 / 太田光(著)
(Amazon)
●幻冬舎 公式サイト
●幻冬舎 Twitter(@gentoshap)
●幻冬舎plus公式サイト
●幻冬舎plus Twitter(@gentoshap)