2023年01月28日
岩朝しのぶさんは、宮城県のお生まれ。
2010年に、日本こども支援協会を設立し、2015年に法人化。
現在は、関西を拠点に、虐待防止活動や、
里親の啓発、支援を主に行っていらっしゃいます。
その他、オンライン里親会も設立し、
全国の里親の方々を支えていらっしゃいます。
また、ご自身も、養育里親として、15歳の女の子と暮らしていらっしゃいます。
──ハンバーグを知らない子ども
茂木:岩朝さんご自身が里親になられるというところから、今度は『日本こども支援協会』というNPOを作られる、という、これはどういう経緯があったんですか?
岩朝:自分が里親になって、最初は「USJに連れて行こう」とか「動物園に連れて行こう」とか「晩御飯は豪華にしよう」とか、もうやりたいことをいっぱい妄想していたんですよね。それで、最初に来た子どもがそれを打ちのめしてくれて…。初めてのお泊まりの時に「何食べたい?」と聞いたら、何もしゃべらないんですよね。「あ、遠慮してるのかな?」と思っていたんですけど、暮らしていくうちに分かったのは、この子はハンバーグとかカレーとかスパゲッティとか、知らなかったんですよ。
茂木:え!? 食べたことがなかったということですか?
岩朝:はい。だって、「何食べたい?」と聞いて「ハンバーグ」と答えられる子は、ハンバーグを食べたことがあって、美味しいと分かっているからですよね。この5歳の子は、何も知らなかったんですよ。
茂木:えー、可哀そうだなぁ…。
岩朝:それで「本当に、こんなことがあるのか」と。私の想像を超えていたので、USJに行くとか、そんな話じゃないんです。
茂木:その前の段階ということですね。
岩朝:そう。もっと基礎のところ、本当に大切なことを、この子は取りこぼしているなと思ったので。でも、その子は太っていたんです。
茂木:そうなんですか。何を食べていたんでしょうか。
岩朝:私も「何を食べていたの?」と思ったのでそう聞いたら、いつもお母さんに(炊飯)ジャーを預けてもらっていて、「好きな時に好きなだけ食べていいんだよ」と。
茂木:じゃあ、ご飯ばっかり食べていたということですか。
岩朝:そうです。それを知ったその日の夜、その子の顔を見ながら、私は号泣しました。結局、私1人が里親になっても、この子たち1人1人を何年も掛けてケアしていくというのは、やりたいですけども、10人とか100人とかできないじゃないですか。「じゃあ、(里親の)なり手を多くするしかない」と、「この現状を、子どもたちのこの世界を、皆知らなきゃいけない」と思ったので、団体を立ち上げようと思いました。
茂木:それで、今『日本こども支援協会』を立ち上げられた、と。これは関西が拠点ということなんですが、全国に仲間がいらっしゃるんですか。
岩朝:はい。全国を支えて行くような規模でやっています。皆、色んな活動をしている人たちが点でいるので、そういうところを面にして、血を流していくようなことが、結果、広域的に1人でも多くの子どもを助けられるという考え方です。
なので、自分たちが直接関わることができる子ども…というよりは、もちろん子どもの顔を見ている方が楽しいですし、いいんですけど、それでも目の前の子どもしか助けられないじゃないですか。だから、私は子どもに会えなくてもいい、と。1人でも多くの子どもを助けられる作戦を考える。
茂木:行政との連携などもあると思うんですが、今、行政や日本の制度の課題と言うか、こういうところを改善した方がいい、というようなご提案はありますか?
岩朝:共通しているのは、全ての県で全てのポジションが、もうリソース不足ですね。
茂木:人が足りない、と。お金はどうなんですか?
岩朝:予算もないから人もつけられない、というところもありますし、逆にソーシャルワーカーみたいなものは、予算があってもすぐ育成できるようなポジションではなく、どうしても3〜4年かかってしまうというところから、予算も必要ですけど、人もなり手がないと中々厳しいと思います。児童相談所なんて勤務時間が長いですし…。
茂木:大変なんですね。これはもっと人がいたら、勤務状況も改善できるんでしょうね。
岩朝:そうですね。でも、たぶん海外並みに児童相談所がないと難しいかなと思います。
茂木:所謂先進国と比較して、日本はどうなんでしょうか?
岩朝:先進国は『0』が1個違うと思います。
茂木:え、一桁違うということですか?
岩朝:子どもに対する予算が全く違って、日本は本当に少なすぎるので、未来への投資がないんですよね。
茂木:日本も色々と財政も大変なんでしょうけど、でも確かに、子どもへは、もうちょっと優先順位を上げてほしいですよね。
岩朝:そうですね。でも、とは言え、「国がやってくれない」と人任せでいいのかな、というところがあるんです。だから、民間として、社会は皆が勝手に作っていくことができるんですよ。
茂木:そうか。自分たちが「こういう社会にしたい」と思ったら、できるということですね。
岩朝:はい。それを先頭切ってやっていきたいなと思います。
──岩朝しのぶさんの夢・挑戦
茂木:岩朝さんは既に素晴らしい活動を色々されているんですが、今後の課題は何なんでしょうか。
岩朝:子どもの問題は多岐に渡っていて、一つの団体だけでは解決できないので、今やはり横の連携を重視しているところです。同じゴールを目指している大人皆が一丸となって、社会を変えていく必要があると思っています。
茂木:岩朝さん、既にご活躍中なんですが、これからの夢・挑戦、何でしょうか?
岩朝:私は、子どもたちに夢を見せられる側になりたいな、と思って、頑張っていきたいなと思います。
茂木:いい話だなぁ。皆自分の夢ばっかり考えちゃうけど、子どもたちが夢を見られるような…。
岩朝:(そんな)社会にしていくのが、私の挑戦です。
茂木:そんな活動をされていらっしゃいます『日本こども支援協会』では、月1,000円からのマンスリーサポーターなどを募集されています。そして、養育里親になりたい方とか…あとはショートステイなどもあるんですか?
岩朝:はい。そういうのも自治体によってちょっと違うんですけれども、私たちは『ONE LOVE』というサイトを開いていますので、そちらをご覧頂ければ、色んな情報を取れると思います。まずは登録して頂ければ。
茂木:ぜひご関心のある方は、調べてみてください。
●日本こども支援協会 公式ホームページ
★番組でご紹介したイベント
『こどもてらす〜To Zero for Children〜トーク&ライブ〜子どもの虐待死ゼロのために』については、
こちらをご覧下さい!
●岩朝さんが担当している、FM大阪の番組
「こどもてらす〜To Zero for Children〜」公式ホームページ
●「こどもてらす〜To Zero for Children〜」AuDee配信はこちら!
●岩朝しのぶさん(@SHINOBUIWASA) Twitter
2010年に、日本こども支援協会を設立し、2015年に法人化。
現在は、関西を拠点に、虐待防止活動や、
里親の啓発、支援を主に行っていらっしゃいます。
その他、オンライン里親会も設立し、
全国の里親の方々を支えていらっしゃいます。
また、ご自身も、養育里親として、15歳の女の子と暮らしていらっしゃいます。
──ハンバーグを知らない子ども
茂木:岩朝さんご自身が里親になられるというところから、今度は『日本こども支援協会』というNPOを作られる、という、これはどういう経緯があったんですか?
岩朝:自分が里親になって、最初は「USJに連れて行こう」とか「動物園に連れて行こう」とか「晩御飯は豪華にしよう」とか、もうやりたいことをいっぱい妄想していたんですよね。それで、最初に来た子どもがそれを打ちのめしてくれて…。初めてのお泊まりの時に「何食べたい?」と聞いたら、何もしゃべらないんですよね。「あ、遠慮してるのかな?」と思っていたんですけど、暮らしていくうちに分かったのは、この子はハンバーグとかカレーとかスパゲッティとか、知らなかったんですよ。
茂木:え!? 食べたことがなかったということですか?
岩朝:はい。だって、「何食べたい?」と聞いて「ハンバーグ」と答えられる子は、ハンバーグを食べたことがあって、美味しいと分かっているからですよね。この5歳の子は、何も知らなかったんですよ。
茂木:えー、可哀そうだなぁ…。
岩朝:それで「本当に、こんなことがあるのか」と。私の想像を超えていたので、USJに行くとか、そんな話じゃないんです。
茂木:その前の段階ということですね。
岩朝:そう。もっと基礎のところ、本当に大切なことを、この子は取りこぼしているなと思ったので。でも、その子は太っていたんです。
茂木:そうなんですか。何を食べていたんでしょうか。
岩朝:私も「何を食べていたの?」と思ったのでそう聞いたら、いつもお母さんに(炊飯)ジャーを預けてもらっていて、「好きな時に好きなだけ食べていいんだよ」と。
茂木:じゃあ、ご飯ばっかり食べていたということですか。
岩朝:そうです。それを知ったその日の夜、その子の顔を見ながら、私は号泣しました。結局、私1人が里親になっても、この子たち1人1人を何年も掛けてケアしていくというのは、やりたいですけども、10人とか100人とかできないじゃないですか。「じゃあ、(里親の)なり手を多くするしかない」と、「この現状を、子どもたちのこの世界を、皆知らなきゃいけない」と思ったので、団体を立ち上げようと思いました。
茂木:それで、今『日本こども支援協会』を立ち上げられた、と。これは関西が拠点ということなんですが、全国に仲間がいらっしゃるんですか。
岩朝:はい。全国を支えて行くような規模でやっています。皆、色んな活動をしている人たちが点でいるので、そういうところを面にして、血を流していくようなことが、結果、広域的に1人でも多くの子どもを助けられるという考え方です。
なので、自分たちが直接関わることができる子ども…というよりは、もちろん子どもの顔を見ている方が楽しいですし、いいんですけど、それでも目の前の子どもしか助けられないじゃないですか。だから、私は子どもに会えなくてもいい、と。1人でも多くの子どもを助けられる作戦を考える。
茂木:行政との連携などもあると思うんですが、今、行政や日本の制度の課題と言うか、こういうところを改善した方がいい、というようなご提案はありますか?
岩朝:共通しているのは、全ての県で全てのポジションが、もうリソース不足ですね。
茂木:人が足りない、と。お金はどうなんですか?
岩朝:予算もないから人もつけられない、というところもありますし、逆にソーシャルワーカーみたいなものは、予算があってもすぐ育成できるようなポジションではなく、どうしても3〜4年かかってしまうというところから、予算も必要ですけど、人もなり手がないと中々厳しいと思います。児童相談所なんて勤務時間が長いですし…。
茂木:大変なんですね。これはもっと人がいたら、勤務状況も改善できるんでしょうね。
岩朝:そうですね。でも、たぶん海外並みに児童相談所がないと難しいかなと思います。
茂木:所謂先進国と比較して、日本はどうなんでしょうか?
岩朝:先進国は『0』が1個違うと思います。
茂木:え、一桁違うということですか?
岩朝:子どもに対する予算が全く違って、日本は本当に少なすぎるので、未来への投資がないんですよね。
茂木:日本も色々と財政も大変なんでしょうけど、でも確かに、子どもへは、もうちょっと優先順位を上げてほしいですよね。
岩朝:そうですね。でも、とは言え、「国がやってくれない」と人任せでいいのかな、というところがあるんです。だから、民間として、社会は皆が勝手に作っていくことができるんですよ。
茂木:そうか。自分たちが「こういう社会にしたい」と思ったら、できるということですね。
岩朝:はい。それを先頭切ってやっていきたいなと思います。
──岩朝しのぶさんの夢・挑戦
茂木:岩朝さんは既に素晴らしい活動を色々されているんですが、今後の課題は何なんでしょうか。
岩朝:子どもの問題は多岐に渡っていて、一つの団体だけでは解決できないので、今やはり横の連携を重視しているところです。同じゴールを目指している大人皆が一丸となって、社会を変えていく必要があると思っています。
茂木:岩朝さん、既にご活躍中なんですが、これからの夢・挑戦、何でしょうか?
岩朝:私は、子どもたちに夢を見せられる側になりたいな、と思って、頑張っていきたいなと思います。
茂木:いい話だなぁ。皆自分の夢ばっかり考えちゃうけど、子どもたちが夢を見られるような…。
岩朝:(そんな)社会にしていくのが、私の挑戦です。
茂木:そんな活動をされていらっしゃいます『日本こども支援協会』では、月1,000円からのマンスリーサポーターなどを募集されています。そして、養育里親になりたい方とか…あとはショートステイなどもあるんですか?
岩朝:はい。そういうのも自治体によってちょっと違うんですけれども、私たちは『ONE LOVE』というサイトを開いていますので、そちらをご覧頂ければ、色んな情報を取れると思います。まずは登録して頂ければ。
茂木:ぜひご関心のある方は、調べてみてください。
●日本こども支援協会 公式ホームページ
★番組でご紹介したイベント
『こどもてらす〜To Zero for Children〜トーク&ライブ〜子どもの虐待死ゼロのために』については、
こちらをご覧下さい!
●岩朝さんが担当している、FM大阪の番組
「こどもてらす〜To Zero for Children〜」公式ホームページ
●「こどもてらす〜To Zero for Children〜」AuDee配信はこちら!
●岩朝しのぶさん(@SHINOBUIWASA) Twitter