Dream Heart(ドリームハート)

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Dream HEART vol.512 日本こども支援協会代表 岩朝しのぶさん 「日本で広く求められている養育里親とは」

2023年01月21日

岩朝しのぶさんは、宮城県のお生まれ。

2010年に、日本こども支援協会を設立し、2015年に法人化。

現在は、関西を拠点に、虐待防止活動や、
里親の啓発、支援を主に行っていらっしゃいます。

その他、オンライン里親会も設立し、
全国の里親の方々を支えていらっしゃいます。

また、ご自身も、養育里親として、15歳の女の子と暮らしていらっしゃいます。


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──里親制度のほとんどは養育里親

茂木:岩朝さんが立ち上げられた「日本こども支援協会」なんですけど、どういう活動をされているんですか?

岩朝:まず、すごく簡単に言うと、『里親制度の普及・啓発』と『里親の支援』を行なっています。

茂木:“里親”と言うと、我々一般的には、「養子縁組で子どもを受け入れるのかな?」と思ったりもするんですが、それでいいんですか?

岩朝:そう思っている方が8割を超えていまして、でも、実は里親制度で、今日本で必要とされているのは、“養育里親”を広く求めております。皆さん、多くが、特別養子縁組で我が子として迎え入れなきゃいけない、と思っているので、まずはこの勘違いを取り除かなければいけないということです。里親制度と言うと、本当は、主に養育里親を差しているんです。

茂木:あ、そうなんですね。

岩朝:はい。今1年に、全国で600人から700人が特別養子縁組をされているんですけど、養育里親を求めているのは、4万2千人いるんですね。

茂木:そんなにいらっしゃるんですか!

岩朝:なので、本当は養育里親を担って下さる方を、広く求めているんですけど、皆さん勘違いをして、「私たちはもう1人養っていく余裕はないわ」とか、「一生面倒を見なきゃ」と思っているんですよね。でも、こちらの養育里親は、ちゃんと国から養育費も出ますので、そんな皆さんに負担はないんです。

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茂木:養育費も支給されるんですね。
今、養育里親が必要とされる1つの理由として、ニュースでも我々はよく目にするんですけど、“児童虐待”の問題があるということなんですが。今現状はどうなっているんでしょうか?

岩朝:年間通報が来て対応しているという件数が20万件を超えまして、もう毎年1万件ずつ増えています。調査を始めてから1回も下がったことがなく、ずっと右肩上がりで。交通事故は、日本中で年間30万件ぐらいあるんですよ。交通事故は年々下がってきているので、あと5年ぐらいで…。

茂木:交通事故を超えてしまうかもしれない、と。これは大変な問題ですね。

岩朝:そうなんです。大変な問題なんです。

茂木:何となく、我々のイメージとしては、例えば虐待を受けてしまっているお子さんは、施設などで保護されて育てられるのかな、と思っていたんですが…。この養育里親という制度もある、ということなんですね。

岩朝:日本は、2割が里親家庭にいて、8割が施設で暮らしているんですけど、本来国連が定めている「子どもの権利条約」では、『原則家庭養育』とされています。
特に乳幼児。乳幼児の脳の発達とか、心身ともに発達していく大事な時期に、施設養育では特定の人が関わらないので、やはり特定の人によって養育とケアがされていくのが望ましいということで、「子どもの権利条約」では、原則家庭養育とされているんです。けれど、日本はなり手が足りないので、また、日本には戦後孤児を受け入れてきた施設がありますので、まずはそこで養育されていく、というような状況です。

茂木:なるほどね。施設は施設で大切な役割を果たされていると思うんですが、でも本当は養育里親で、ご家庭で…ということもあると、子どもたちにとってはいい、と。

岩朝:はい。やはり個別ケアができるんです。「虐待を受けてきた子どもたち100人が、皆同じケアが必要か」と言うと、そうじゃないですよね。

茂木:一人一人違いますもんね。

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岩朝:はい。そこでカスタマイズされたケアができるのが、やはり家庭養育、家庭でのケアなので。それが今急務となっています。

──愛着形成に必要なものは、特定の人との関わり

茂木:岩朝さんがエッセイでお書きになられていた、ジョン・ボウルビィの『愛着理論』。私たちも研究したりしているんですが、このボウルビィの愛着理論というものはどういうもので、子どもにとってどう大事なのか、お伝え頂いてよろしいですか?

岩朝:すごく簡単に言うと、愛着というのは“心の弾力性”なのかな、と。
ハートを、透明で薄い、でも鋼のような膜で覆われた子どもというのは、泣いて、「お腹がすいたよ。このままミルクが飲めなかったら死んじゃうよ」という危機的状況を保護者に伝える。そしてその人がミルクをくれる。この安心と危機の繰り返しで、愛着というものは形成していくんですけども。安心・安全というものを子どもが獲得していった時に、信頼とか愛着の形成ですごく重要なのは、「特定の人との関わり」なんですよね。日替わりで誰かがミルクをあげても、この愛着というものは形成できないと分かっていて、だから、「施設養育では、状況的に愛着形成が厳しい」ということです。
なので、家庭養育が推奨されているんですけど、その安心で安全の輪みたいなものが心にできて、膜ができると、何か傷つくような出来事が起こっても、傷を受けにくく、そして回復し安いという特徴があって、色んな出来事を弾力性をもって受け入れて行けるのが、愛着なんじゃないか、と。
大体6歳ぐらいまでに愛着というものはほとんど形成されると分かっているんですけれども、それが形成されていない人は常に不安なので、傷つかないように、余り行動しないとか、誰かと関わらないとか、もしくは、自分を守る為に常に臨戦態勢で人を近づけないような自己防衛が強いような人間になっていったりするので、本当にこの愛着はすごく大切ですよね。

茂木:岩朝さんは、FM大阪と日本こども支援協会との協同プロジェクトで、こどもの虐待死ゼロを目指す『こどもてらす〜To Zero for Children』という番組を放送していらっしゃいます。これはAuDeeでも配信中ということでございます。
そしてこの啓発イベントとして、2月26日の日曜日にトーク&ライブを開催されます。これは大阪・阪急うめだ本店9階祝祭広場で実施中の『H2Oサンタ NPOフェスティバル』の一環として参加されます。
詳しくは、FM大阪「こどもてらす」、または、日本こども支援協会のホームページをご覧ください。

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日本こども支援協会 公式ホームページ


★本日、番組でご紹介したイベント
 『こどもてらす〜To Zero for Children〜トーク&ライブ〜子どもの虐待死ゼロのために』については、
  こちらをご覧下さい!


●岩朝さんが担当している、FM大阪の番組
 「こどもてらす〜To Zero for Children〜」公式ホームページ


●「こどもてらす〜To Zero for Children〜」AuDee配信はこちら!


岩朝しのぶさん(@SHINOBUIWASA) Twitter