2022年07月23日
坂本美雨さんは、1980年に生まれ、9歳まで東京で過ごされ、
その後、ご両親が音楽活動の拠点をニューヨークに移した事をきっかけに、
家族で移り住みます。
1997年、「Ryuichi Sakamoto featuring Sister M」名義で歌手デビュー。
翌年、坂本美雨の名で、音楽活動をスタートされました。
活動は音楽だけに留まらず、作詞、翻訳、俳優、文筆、ナレーション、愛猫家など、
マルチな分野で、ご活躍中でいらっしゃいます。
──自分の人生にこんな素敵なことがあっていいんだろうか
茂木:現在光文社から発売中の、もう、発売前に重版がかかりました坂本さんの初の子育てエッセイ『ただ、一緒に生きている』。こちらは新聞の連載だったんですよね。
坂本:そうなんです。前半が過去6年分の東京新聞で連載してきたまとめになっていて、そして後半に書き下ろしが入っています。
茂木:貴重なドキュメントですよね。本当に、その時々の思いが…。
坂本:そうですね。生後9か月から始まって、月1の連載だったんですけれども、幼い頃は本当に1か月でガラッと成長するので。月1でもこうやって記録しておいて良かったなと思います。
茂木:今、ご自身で読み返すとどんな感じですか?
坂本:じっくりとは読めなくて、薄めで。校了とか直しで読むことはあったんですけど、でもやっぱり恥ずかしいところもあって。“自分のことしか書いてないな、この人”と思って(笑)。
茂木:そんなことないですよ。“自分が結婚して子育てしてるなんて思いもしなかった”“こんなことがあるなんて”という感激が本の中で書かれてましたけど。最初はやっぱり、すごく“新鮮な喜び”というか。
坂本:そうですね。喜びだけではなくて、なんかこう、ほんとに仮の人生を送っているかのような、ちょっと薄〜く壁がある、というか…。
茂木:どういうことですか?
坂本:何というか、“自分の人生にこんな素敵なことがあっていいんだろうか”というか(笑)。自分の育ちが、やはりちょっと珍しい家庭環境だったので、いわゆるほんわかした家庭像というものの中にはいなかったですし、そういうものを自分の中で遠ざけてきた、憧れにもしなかった、というところがあって。
だから、母親になるということも、憧れた時期はありましたけれども、本当に現実的に考えてはいなかったし、インスタグラムとかでフォローしてくださってる皆さんから見ると、「ほんとに素敵なご家族ですね」とよく言われるんですけど、なんかそういうプレイをしてるみたいな、そういう役どころをやっているみたいな、時々すごく俯瞰で自分を見て、シュールな気持ちになる時があるんですね。
茂木:へえ。この本を読んでると、美雨さんと“なまこ”ちゃん、なまこちゃんは?
坂本:(娘の)ニックネームです。
茂木:ニックネームなんですね。本当に素敵な母と娘だなと思って。逆に、美雨さんご自身はあまりにも偉大な強烈なご両親の元でお生まれになられたので、我々が見て共感できるなと思うのが、“こんな人生”という感じなんだ(笑)。
坂本:そうですね。驚きの連続で、“あ、こんなに優しくしてくれるんだ”とか(笑)。こんなに親子は繋がってると思うものなんだなあ、というのが、ビックリしますね。
茂木:それにしても、なまこちゃんは美雨さんが歌われている歌が流れてくると、「これ、ママの歌だ」となる…ということは、ママが歌う人だっていうことは知ってるんだよね。
坂本:もう十分理解してますね。
茂木:で、時々このTOKYO FMのスタジオにも来て、なんかこの調整室との間のガラスの所でグワーってやったりしてたんですね。
坂本:もうしょっちゅう、TOKYO FM中にたくさんご迷惑をかけて。みんなに見守っていただきながら育ちました。
茂木:(笑)。でも、なまこちゃんは今振り返って「私ちょっと特殊な所にいたんだ」と気づいてるんですかね?
坂本:どうでしょうか? 私自身は1年生ぐらいの時はもう気づいていて、大人に囲まれていて大人と話す方が楽だったし。
茂木:あ、そうなんだ。
坂本:そうなんですよ。だから娘も若干そういう所はあると思うんですけど。でもそれがだからどうというか、“あなたが特別”とか、“だから偉い”とか、そういうのじゃないというのは私自身もきつく言われてきたし。
茂木:お母さんの矢野顕子さんが随分それを厳しく仰ってたみたいですね。
坂本:そうなんですよ。
茂木:何か思いがあったんですかね?
坂本:母は母で、すごく自由奔放な…子供時代からもうシームレスにプロになってしまったので。だから、“周りの大人が言ってくれないことへの恐怖”というか。母の場合は、18、19歳ぐらいでビシッと言ってくれる大人が現れたそうなんですね。
茂木:そうなんだ。
坂本:だけど、そう言ってくれない場合、どうなってしまうかっていうことを母はすごく恐れていた気がします。
茂木:なるほど、そうか。
坂本:「大人になったら誰も言ってくれないんだからね」というのは、よく言われていて。確かにそうだなと思います。
茂木:何か、この本、ずっと見ていたいような所がたくさんあります。
坂本:嬉しい。ありがたいことに、すごく素敵なお母さんだと思ってくれる方がいたりして…。
茂木:いやいや、素敵なお母さんですよ。
坂本:でも、本当にダメなところがいっぱいあって。こういう子育てをしてるというのも知ってもらった方が説得力があるのかなと思って(笑)。
茂木:そういう等身大のところが素敵ですよね。
今回の光文社から出ました坂本美雨さんの『ただ、一緒に生きている』本当に幸せになる本です。ぜひ皆さん、この本をお手に取ってお読みいただきたいと思います。
●坂本美雨さん 公式サイト
●坂本美雨 (@miusakamoto)Twitter
●坂本美雨さん (@miu_sakamoto) Instagram
●TOKYOFM他全国38局ネット坂本美雨さん担当の『ディアフレンズ』公式サイト
●光文社公式サイト
●ただ、一緒に生きている / 坂本美雨 (著)
(Amazon)
その後、ご両親が音楽活動の拠点をニューヨークに移した事をきっかけに、
家族で移り住みます。
1997年、「Ryuichi Sakamoto featuring Sister M」名義で歌手デビュー。
翌年、坂本美雨の名で、音楽活動をスタートされました。
活動は音楽だけに留まらず、作詞、翻訳、俳優、文筆、ナレーション、愛猫家など、
マルチな分野で、ご活躍中でいらっしゃいます。
──自分の人生にこんな素敵なことがあっていいんだろうか
茂木:現在光文社から発売中の、もう、発売前に重版がかかりました坂本さんの初の子育てエッセイ『ただ、一緒に生きている』。こちらは新聞の連載だったんですよね。
坂本:そうなんです。前半が過去6年分の東京新聞で連載してきたまとめになっていて、そして後半に書き下ろしが入っています。
茂木:貴重なドキュメントですよね。本当に、その時々の思いが…。
坂本:そうですね。生後9か月から始まって、月1の連載だったんですけれども、幼い頃は本当に1か月でガラッと成長するので。月1でもこうやって記録しておいて良かったなと思います。
茂木:今、ご自身で読み返すとどんな感じですか?
坂本:じっくりとは読めなくて、薄めで。校了とか直しで読むことはあったんですけど、でもやっぱり恥ずかしいところもあって。“自分のことしか書いてないな、この人”と思って(笑)。
茂木:そんなことないですよ。“自分が結婚して子育てしてるなんて思いもしなかった”“こんなことがあるなんて”という感激が本の中で書かれてましたけど。最初はやっぱり、すごく“新鮮な喜び”というか。
坂本:そうですね。喜びだけではなくて、なんかこう、ほんとに仮の人生を送っているかのような、ちょっと薄〜く壁がある、というか…。
茂木:どういうことですか?
坂本:何というか、“自分の人生にこんな素敵なことがあっていいんだろうか”というか(笑)。自分の育ちが、やはりちょっと珍しい家庭環境だったので、いわゆるほんわかした家庭像というものの中にはいなかったですし、そういうものを自分の中で遠ざけてきた、憧れにもしなかった、というところがあって。
だから、母親になるということも、憧れた時期はありましたけれども、本当に現実的に考えてはいなかったし、インスタグラムとかでフォローしてくださってる皆さんから見ると、「ほんとに素敵なご家族ですね」とよく言われるんですけど、なんかそういうプレイをしてるみたいな、そういう役どころをやっているみたいな、時々すごく俯瞰で自分を見て、シュールな気持ちになる時があるんですね。
茂木:へえ。この本を読んでると、美雨さんと“なまこ”ちゃん、なまこちゃんは?
坂本:(娘の)ニックネームです。
茂木:ニックネームなんですね。本当に素敵な母と娘だなと思って。逆に、美雨さんご自身はあまりにも偉大な強烈なご両親の元でお生まれになられたので、我々が見て共感できるなと思うのが、“こんな人生”という感じなんだ(笑)。
坂本:そうですね。驚きの連続で、“あ、こんなに優しくしてくれるんだ”とか(笑)。こんなに親子は繋がってると思うものなんだなあ、というのが、ビックリしますね。
茂木:それにしても、なまこちゃんは美雨さんが歌われている歌が流れてくると、「これ、ママの歌だ」となる…ということは、ママが歌う人だっていうことは知ってるんだよね。
坂本:もう十分理解してますね。
茂木:で、時々このTOKYO FMのスタジオにも来て、なんかこの調整室との間のガラスの所でグワーってやったりしてたんですね。
坂本:もうしょっちゅう、TOKYO FM中にたくさんご迷惑をかけて。みんなに見守っていただきながら育ちました。
茂木:(笑)。でも、なまこちゃんは今振り返って「私ちょっと特殊な所にいたんだ」と気づいてるんですかね?
坂本:どうでしょうか? 私自身は1年生ぐらいの時はもう気づいていて、大人に囲まれていて大人と話す方が楽だったし。
茂木:あ、そうなんだ。
坂本:そうなんですよ。だから娘も若干そういう所はあると思うんですけど。でもそれがだからどうというか、“あなたが特別”とか、“だから偉い”とか、そういうのじゃないというのは私自身もきつく言われてきたし。
茂木:お母さんの矢野顕子さんが随分それを厳しく仰ってたみたいですね。
坂本:そうなんですよ。
茂木:何か思いがあったんですかね?
坂本:母は母で、すごく自由奔放な…子供時代からもうシームレスにプロになってしまったので。だから、“周りの大人が言ってくれないことへの恐怖”というか。母の場合は、18、19歳ぐらいでビシッと言ってくれる大人が現れたそうなんですね。
茂木:そうなんだ。
坂本:だけど、そう言ってくれない場合、どうなってしまうかっていうことを母はすごく恐れていた気がします。
茂木:なるほど、そうか。
坂本:「大人になったら誰も言ってくれないんだからね」というのは、よく言われていて。確かにそうだなと思います。
茂木:何か、この本、ずっと見ていたいような所がたくさんあります。
坂本:嬉しい。ありがたいことに、すごく素敵なお母さんだと思ってくれる方がいたりして…。
茂木:いやいや、素敵なお母さんですよ。
坂本:でも、本当にダメなところがいっぱいあって。こういう子育てをしてるというのも知ってもらった方が説得力があるのかなと思って(笑)。
茂木:そういう等身大のところが素敵ですよね。
今回の光文社から出ました坂本美雨さんの『ただ、一緒に生きている』本当に幸せになる本です。ぜひ皆さん、この本をお手に取ってお読みいただきたいと思います。
●坂本美雨さん 公式サイト
●坂本美雨 (@miusakamoto)Twitter
●坂本美雨さん (@miu_sakamoto) Instagram
●TOKYOFM他全国38局ネット坂本美雨さん担当の『ディアフレンズ』公式サイト
●光文社公式サイト
●ただ、一緒に生きている / 坂本美雨 (著)
(Amazon)