2022年07月09日
成田昌隆さんは、1963年、愛知県のお生まれです。
名古屋大学工学部をご卒業後、NECを経て、日興証券へ転職され、
1993年からアメリカへ赴任されます。
会社勤めの傍ら、CGの独学を始め、アメリカVFX業界への転身を決意し退職。
専門学校を経て2009年、46歳にしてハリウッドのVFX業界にプロデビュー。
デジタルドメインにて『アインアンマン3』のモデリングリードなどを経て
ルーカスフィルムのVFX制作会社、ILM(インダストリアル・ライト&マジック)に移籍。
現在は、来年公開の『インディージョーンズ5』のモデリングスーパーバイザーを
担当されています。
──CGモデラーに必要なものは造形力
茂木:VFXを使った映画は、今はもう当たり前になってきたと思うんですけど、その中でCGモデラーとはどんな役割を果たしているんでしょうか?
成田:例えば、「新しいスター・ウォーズを作ります」、「新型のスター・デストロイヤーを登場させましょう」と。どういうデザインをするかを考えるのは、専門家のコンセプトデザイナーというものがいまして、彼らが大まかなコンセプト…「こんな形にする」とか、そういうことを監督と相談して決めるわけなんですね。
そうやって決まった“二次元のデザイン画を、コンピューターの中で立体化していく”のが、CGモデラーの役割なんですが…。“コンピューターの中でプラモデルを作っている”と思って頂いて構わないです(笑)。
茂木:それは分かりやすいです!
成田:ただ、プラモデルは箱を開けると部品が入っていて、それを組み立てるだけなんですが、我々の箱には部品が入っていないんです。ですから、その部品一つ一つを、自分のクリエイティビティで想像して作って、それを組み上げていく、という作業になりますね。
難しいのは、宇宙船もあるし、モンスターや怪獣みたいなものも作るわけなんですが、立体ですからどこから見ても問題がない形に仕上げなければいけない。要は、“造形力”と“センス”と“空間把握能力”なんて言ったりするんですけど、そういった能力がCGモデラーには求められるところです。
もう一つは、デザイナーは、全て細かい所まで決めてくるわけではないんですよね。ですから、ある程度細かい所や、絵の裏側がどうなっているかは、モデラーに任されて、自分のイマジネーションでデザインをして組み上げていく、と。その辺りがCGモデラーに求められる資質・スキルなんです。
たぶん“CG”と言うと、「コンピューターを使えればできるんじゃないか」とか、「コンピューターを操る理系の人なんじゃないか」と思われるんですけど、実はそうじゃなくて。コンピューターサイエンスを取ってるとかそういうことは全然関係なく、最終的には、“人を感銘させるような形を作れるかどうか”というところになりまして。
ですから、あくまでコンピューターはツールであって、本当に求められるのは彫刻家のような“造形力”といったところなんです。
茂木:ミレニアム・ファルコンは、スター・ウォーズシリーズの中でも、最も存在感のある宇宙船ですもんね。作る時はどんなことを考えて作っているんですか?
成田:『(スター・ウォーズ エピソード7)フォースの覚醒』のプロジェクトにアサインされて、プロジェクトに入った最初の日、まだ何をやらされるのか聞かされてなかった時に、私のモデリング・スーパーバイザーがやって来て、ミレニアム・ファルコンのプラモデルを持ってるわけですよ(笑)。そして、「これをお前が作れ」と言われた時は、もう「え!? 僕がミレニアム・ファルコンを作っていいの!?」(笑)。
茂木:だって、ある意味、一番大事なものですもんね。
成田:そうですね。あるSFの中で最も有名な宇宙船じゃないですか。それを僕が勝手に…、細かい所だけですけどね。前作の『エピソード6』から30年経ったという設定だったものですから、“30年の間に、チューイとソロによって色々改造が施されてあろう”という設定の所を「お前が勝手にやれ」ということだったんです(笑)。
茂木:すごい話だなぁ…!
成田:本当に、腕が震えて興奮したんですけれど、やっぱり「本当に自分ができるのか」という不安と、責任の重さに、戸惑ったことは覚えています。
茂木:スター・ウォーズのファンダムというのは、中々熱い人達じゃないですか。その方が観るわけですからね。重責と言うか、すごいプレッシャーだったと思うんですけど。でも、実際、作ってる期間はどうでしたか?
成田:本当に楽しくて仕方なかったです(笑)。「こんなに楽しいことはない」と、ファルコンを作らせて頂いた時は、人生で一番楽しい時期でしたね。
●成田 昌隆 公式サイト(英語)
●映画「スター・ウォーズ」公式 (@starwarsjapan) Twitter
●映画『Indiana Jones』公式Twitter (@IndianaJones)
●光文社公式サイト
●ミレニアム・ファルコンを作った男 45歳サラリーマン、「スター・ウォーズ」への道 / 成田 昌隆 (著)
(Amazon)
名古屋大学工学部をご卒業後、NECを経て、日興証券へ転職され、
1993年からアメリカへ赴任されます。
会社勤めの傍ら、CGの独学を始め、アメリカVFX業界への転身を決意し退職。
専門学校を経て2009年、46歳にしてハリウッドのVFX業界にプロデビュー。
デジタルドメインにて『アインアンマン3』のモデリングリードなどを経て
ルーカスフィルムのVFX制作会社、ILM(インダストリアル・ライト&マジック)に移籍。
現在は、来年公開の『インディージョーンズ5』のモデリングスーパーバイザーを
担当されています。
──CGモデラーに必要なものは造形力
茂木:VFXを使った映画は、今はもう当たり前になってきたと思うんですけど、その中でCGモデラーとはどんな役割を果たしているんでしょうか?
成田:例えば、「新しいスター・ウォーズを作ります」、「新型のスター・デストロイヤーを登場させましょう」と。どういうデザインをするかを考えるのは、専門家のコンセプトデザイナーというものがいまして、彼らが大まかなコンセプト…「こんな形にする」とか、そういうことを監督と相談して決めるわけなんですね。
そうやって決まった“二次元のデザイン画を、コンピューターの中で立体化していく”のが、CGモデラーの役割なんですが…。“コンピューターの中でプラモデルを作っている”と思って頂いて構わないです(笑)。
茂木:それは分かりやすいです!
成田:ただ、プラモデルは箱を開けると部品が入っていて、それを組み立てるだけなんですが、我々の箱には部品が入っていないんです。ですから、その部品一つ一つを、自分のクリエイティビティで想像して作って、それを組み上げていく、という作業になりますね。
難しいのは、宇宙船もあるし、モンスターや怪獣みたいなものも作るわけなんですが、立体ですからどこから見ても問題がない形に仕上げなければいけない。要は、“造形力”と“センス”と“空間把握能力”なんて言ったりするんですけど、そういった能力がCGモデラーには求められるところです。
もう一つは、デザイナーは、全て細かい所まで決めてくるわけではないんですよね。ですから、ある程度細かい所や、絵の裏側がどうなっているかは、モデラーに任されて、自分のイマジネーションでデザインをして組み上げていく、と。その辺りがCGモデラーに求められる資質・スキルなんです。
たぶん“CG”と言うと、「コンピューターを使えればできるんじゃないか」とか、「コンピューターを操る理系の人なんじゃないか」と思われるんですけど、実はそうじゃなくて。コンピューターサイエンスを取ってるとかそういうことは全然関係なく、最終的には、“人を感銘させるような形を作れるかどうか”というところになりまして。
ですから、あくまでコンピューターはツールであって、本当に求められるのは彫刻家のような“造形力”といったところなんです。
茂木:ミレニアム・ファルコンは、スター・ウォーズシリーズの中でも、最も存在感のある宇宙船ですもんね。作る時はどんなことを考えて作っているんですか?
成田:『(スター・ウォーズ エピソード7)フォースの覚醒』のプロジェクトにアサインされて、プロジェクトに入った最初の日、まだ何をやらされるのか聞かされてなかった時に、私のモデリング・スーパーバイザーがやって来て、ミレニアム・ファルコンのプラモデルを持ってるわけですよ(笑)。そして、「これをお前が作れ」と言われた時は、もう「え!? 僕がミレニアム・ファルコンを作っていいの!?」(笑)。
茂木:だって、ある意味、一番大事なものですもんね。
成田:そうですね。あるSFの中で最も有名な宇宙船じゃないですか。それを僕が勝手に…、細かい所だけですけどね。前作の『エピソード6』から30年経ったという設定だったものですから、“30年の間に、チューイとソロによって色々改造が施されてあろう”という設定の所を「お前が勝手にやれ」ということだったんです(笑)。
茂木:すごい話だなぁ…!
成田:本当に、腕が震えて興奮したんですけれど、やっぱり「本当に自分ができるのか」という不安と、責任の重さに、戸惑ったことは覚えています。
茂木:スター・ウォーズのファンダムというのは、中々熱い人達じゃないですか。その方が観るわけですからね。重責と言うか、すごいプレッシャーだったと思うんですけど。でも、実際、作ってる期間はどうでしたか?
成田:本当に楽しくて仕方なかったです(笑)。「こんなに楽しいことはない」と、ファルコンを作らせて頂いた時は、人生で一番楽しい時期でしたね。
●成田 昌隆 公式サイト(英語)
●映画「スター・ウォーズ」公式 (@starwarsjapan) Twitter
●映画『Indiana Jones』公式Twitter (@IndianaJones)
●光文社公式サイト
●ミレニアム・ファルコンを作った男 45歳サラリーマン、「スター・ウォーズ」への道 / 成田 昌隆 (著)
(Amazon)