Dream Heart(ドリームハート)

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Dream HEART vol.473 芸人・俳優・コラムニスト・作家 マキタスポーツさん 「自意識ゆえの葛藤」

2022年04月23日

マキタスポーツさんは、1970年、山梨県のお生まれです。

“音楽”と“笑い”を融合させた「オトネタ」を提唱し、
各地で精力的にライブ活動を行っていらっしゃいます。

そして、独自の視点でのコラム・評論などの執筆活動も多く、
著作には『越境芸人』『一億総ツッコミ時代』『すべてのJ-POPはパクリである』などがあり、
2019年3月には出版業界初の公式便乗本『バカともつき合って』を出版。

またその独自の視点は“食”にも向けられ「10分どん兵衛」を提唱し、
話題を集めました。
俳優としては2012年に公開された、山下敦弘監督作品『苦役列車』をきっかけに、
第55回ブルーリボン新人賞、第22回東スポ映画大賞新人賞を受賞。
その後も『おんな城主 直虎』『忍びの国』『みんな!エスパーだよ!』など、
ご活躍中でいらっしゃいます。


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──エクストリームユーザーが生んだ「10分どん兵衛」

茂木:マキタスポーツさんのプロフィールを拝見していた時に気になったことが書いてあったんですけれども、この「10分どん兵衛」というのはどういうことですか?

マキタスポーツ:日清のどん兵衛は、普通(お湯を入れて)5分なんですよ。僕は上京したての頃とかは貧しかったので、インスタント麺などをふやかして、かさ増しして食べていたんです。それが癖になってしまっていて、色んなもので試すようになった。ある時に、「どん兵衛は5分じゃなくてもいいじゃん」と思って、「7分、8分、いや、10分でもいけるな」、「何だったらその間に、シャワーとか浴びられるな」と思って(笑)、酷い時は20分ぐらい放置して食べたりしていたんですよ。
(どん兵衛は)同業他社の製品に比べると麺が固めだったんですよ。それがきっかけで、「どん兵衛だったら10分ぐらいでも耐えられて美味しいよ」とラジオで紹介したら、それがバズったんです。

茂木:その後に日清食品さんともご縁が色々あったそうですね。

マキタスポーツ:そうなんですよ。僕は「日清は、どん兵衛が10分耐えられると知ってたはずでしょ?」とずっと問いかけてたんですよ。そうしたらどん兵衛の開発チームから、「全然知りませんでした。すいませんでした」という謝罪を受ける…というのを、日清が広告展開したんです。そうしたら、それが更にバズったということで…。それがカンヌのCMで賞を獲った、ということがあったんですよ。

茂木:おお! それすごくないですか?

マキタスポーツ:すごいですよね。僕みたいな、言うことを聞かない消費者のことを“エクストリームユーザー”と言うらしいじゃないですか。僕はそういうタイプだったらしいんです。後々(どん兵衛だけに)蓋を開けてみたら、色んなことが展開として含まれていたので、すごく面白い現象でしたね。

茂木:オリジナリティがカップ麺からも出てくるというね。

マキタスポーツ:僕は、J-POPとか音楽の聴き方も、エクストリームユーザーだと思います。送り手が「こう聴いてほしい」という通りに聴かない、みたいな、そういうところがあるっぽいんですよね。

──神がいない苦悶を書いた

茂木:そんなエクストリームなマキタスポーツさんが、今回もエクストリームに青春を分析したご著書『雌伏三十年』。

マキタスポーツ:(笑)。逆に質問しますが、僕は“自意識”というものを主題に書いているつもりなんです。ゆえに、葛藤がすごくある、と。その自意識みたいな問題は、脳科学的にどういうものなんですか?

茂木:まさにこの『雌伏三十年』は群像劇でもあるじゃないですか。他の人との比較で、自分がそこにいることに自意識が持ちあがってくると思うので…。
主人公の臼井圭次郎さん以外の人も、キャラがすごく粒立ちしていていて、だからこそ臼井圭次郎の自意識がすごくなるんじゃないすかね。これが、彼自身のことだけしか書いていなかったら、自意識はここまで立ち上がらないと思うんですけれども。周りの登場人物が、みんな粒立ちしていますもんね。

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マキタスポーツ:確かにそうかもしれません。キャラ設定とか設計をちゃんとしていたわけではないんですけど、僕…臼井圭次郎以外に対峙する人たちというのは、そのモデルになる人たちがいるんですけど、それほどでもないんですよ。だけど、自然とキャラを粒立てていった、というところはあると思います。

茂木:マキタスポーツさんは、“たけし軍団”の一員という位置づけは、自分的にはあったんですか?

マキタスポーツ:僕は、たけし軍団さんは好きですし、尊敬もしておりますけれど、ただ「たけし軍団ではない」という意識が自分の中でずっとありました。たけしさんをはじめ、たけし軍団の方々はみんなたけしさんのお弟子さんとして、そういう契りを交わしている人たちですが、僕はそうではないので。皆さん、「殿」と言うじゃないですか。僕はずっと「たけしさん」と言い続けています。

茂木:「殿」と言わなかったんですね。

マキタスポーツ:言いたくない、ということですね。これも自意識なんですけれど。

茂木:水道橋博士は、マキタスポーツさんの才能をずっと買っていて。水道橋博士はたけし軍団じゃないですか。その辺りの距離感はどういう感じだったんですか?

マキタスポーツ:本当に良き兄貴で、水道橋博士だけじゃなくて、相棒の玉袋筋太郎さんにも足を向けて寝られない。彼らは僕の恩人。…という意識です。まぁ、“兄貴”みたいなものですね。
ですが、水道橋博士とかを“師匠”とか、そういった感じではなくて、本当に生意気なんですけど、キャリアの違いこそあれど、“ライバル”みたいな感じでいたい、という意識がすごく強かったんですよ。

茂木:ということは、マキスポーツさんにとって、師匠のような存在はいない、ということになってるんですか。

マキタスポーツ:そうなんです。この『雌伏三十年』をゲラ段階で授与した時に、真っ先に水道橋博士に見せたんですけど、「良かったよ」ということも言ってくださいました。
その時に話をしたんですけど、「博士は何が何であろうと“たけしさん”という存在が絶対的なものとして、神としてあって、その一神教と結んでいる関係があるじゃないですか。だからこその強さがありますよね」、と。「僕はそれがなかったから、ずっとモヤモヤしてたんですよ」ということを書いていたんです。

茂木:あー、そうか。お笑いで言うと、例えば松本人志さんのような、“神がいる”ということじゃないということですね。

マキタスポーツ:“神がいれば楽か”と言えば、別にそういうことではなくて。でも、若き頃はそんなことを思ったこともあったんですよ。「神様を作ってしまう人の方が、安定していると言うか、強い。僕はその強さがないからこそ、悩み苦しんだ」、と。だからその信念を持っている人たちを攻撃するかのように、恨みつらみのようなものを思っていた時代があったんですけれどもね。
大げさな話、僕は自分自身が神様になれれば良かった。けれども、なり方も分からないし、なれる器かどうかも分からないまま、苦悶していた、というところを、(『雌伏三十年』に)書いているかな、と思いますね。

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一緒にを添えていただけると嬉しいです。

尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。



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