2022年04月02日
サヘル・ローズさんは、1985年、イランのお生まれです。
7歳まで、イランの孤児院で過ごし、8歳で養母とともに来日されます。
高校生の頃から芸能活動を始め、様々なタレント活動のほか、
俳優として、映画や舞台、テレビドラマに出演し、多方面でご活躍中です。
芸能活動以外では、国際人権NGOの「すべての子どもに家庭を」の活動で、
親善大使を務めていらっしゃいました。
また、私的にも援助活動を続け、公私にわたる福祉活動が評価され、
アメリカで「人権活動家賞」を受賞されていらっしゃいます。
──母親の教え
茂木:今のサヘルさんのお姿を見たら、この講談社より出版されました、ご著書『言葉の花束 困難を乗り切るための“自分育て”』で書かれているような、本当に大変な人生が想像できないんですが…。まず、生年月日が正確には分からないということで。
サヘル:そうなんです。私、生年月日も、本名も、どこで生まれたのかも、何も書類が残っていないので、本当の自分を知るものが何もないんですよね。今付けられている生年月日も、今の名前も、後から今の養母に頂いたものなので。皆が普通に自分の誕生日を語れたりとか、自分の名前が言えるということが、昔はすごく羨ましくて、“自分の故郷やふるさとがない”、それがすごくトラウマだったんです。
今となっては、“自分の(生い立ちに関するものが)ないことで私が欠けている”のではなくて、“そういう過去があるからこそ、今の私がある”と、すごくポジティブにはなれているんですけれども。
今の世界情勢もそうなんですけれども、戦禍の中で生まれているので、何か自分の身元を保証するものを持って逃げることもできないですし、破壊される町でそういうものが一切残るわけではないんですよ。ですから、私だけではなくて、色んな子供達も大人達も、自分の身分を証明するもの…自分の過去を、歴史に、戦争によって破壊されてしまう人は、今現在もたくさんいます。
でも、私はその中で生き延びただけでも奇跡だと思うので、その奇跡をすごく噛み締めたいな、といつも思います。
茂木:お母さんのフローラさんはすごい方ですよね。
ご著書の中に色々素晴らしい言葉があるんですけど、「自分に投資しなさい」と。これはどういうことか教えて頂けますか?
サヘル:嬉しいです。ありがとうございます。母親の言葉で、「常に自分自身に何かを生み出す為には、ちゃんと投資をしていきなさい」と。世の中はすぐに結果を求めてしまう。種を撒いてすぐに花が出ればそんな楽なものはないけれども、その期間、ちゃんと投資をして、できた時間に学ぶとか、習い事をするとか。ちゃんと自分の引き出しを増やしていくことは、後に大人になった時に、自分の人生の選択肢を増やしていくことができるから、一人一人自分に投資ができているかどうか、だと。「嘆くことは簡単だけれども、嘆くのではなくて、自分がアクションを起こすパワーを付ける為の、投資をしなさい」というのが、母親の教えなんですよね。
茂木:ずいぶん色んな習い事をしたみたいですよね。
サヘル:そうなんです。水泳・バレエ・アイススケート・アーチェリー・そろばん・ピアノと…色んなものを、子供の時の私は“やらされて”いました。
茂木:そのお母さんは、サヘルさんに「将来はディカプリオと共演して」と言っているみたいですね。
サヘル:今もそうです(笑)。昔からそれを言うので、「お母さん、私は日本でも知られていないのに、なんでそんな遠い国のことを言うの? なんでその先に夢を見据えるの?」と一回言ったことがあるんです。そうしたら怒られて、「間違ってるのよ。皆、目標を身近に置きすぎなの」と。
茂木:ああ、いい話だね。
サヘル:はい。「逆に、ちゃんともっと先に目標を置くことで、“そこに辿り着くまでに、もっともっとやらなければいけない”と自分を奮い立たせることができるでしょ?」と。「周りにどう言われるかなんて関係ないの。あなたの人生はあなたのもので、人の為に生きてるわけじゃないでしょ。実は、どんなことをやろうと思っても、きっと色んな野次が飛んで来るし、色んな人たちが鼻で笑ってくると思う。それを一切気にせずに、ちゃんと自分のやりたいことに突き進んでいきなさい」というのが、母の言葉なんですよね。
茂木:僕、『言葉の花束 困難を乗り切るための“自分育て”』の中で、「今しかできないことをしましょう」という言葉がすごく心に響きました。このコロナ禍で色んなことができないじゃないですか。でも、「今だけしかできないことがある」という。
サヘル:それも母親の言葉だったんですけど。コロナになってしまって、色々なことができなくなった。そうしたらお母さんに、「逆だよ。できるようになったんだよ。今まで時間がないとできないと後回しにしたことがあって、今時間ができたでしょ? もう逃げられないよ」と言われて。
茂木:なるほど!
サヘル:「だったらやりたいことをどんどんやりなさい」と。「いつかは闇が開けるので、こういう時に動いてちゃんと準備体操をして色んなことを吸収した人間は、開いた時にダッシュが切れるけれども、この期間に何もしなかった人は、結局、世の中が動き出した時に出遅れてしまう。あなたはどっちになりたい?」と言われて、「私は動きたいし、やりたいことがある」と。
まさに、このコロナの期間に映画を1本撮ったんです。自分で企画して、自分で企業をまわって資金集めをさせて頂いて、監督をさせてもらって…実はこれを今年発表しようと思っているんです。今は編集で、これからカラーリングと音を付けていくんですけれども。
茂木:すごい!
サヘル:それも、まさにこのコロナだったからこそできたことだったんですよ。その映画は、日本の養護施設の子供達を主人公にしています。施設で育った8人の少年少女をメインの主人公に、私の目的としては、日本の芸能界の中で生い立ち関係なく、どんな人間にも可能性を持たせたかったんです。
茂木:アンジェリーナ・ジョリーさんみたいなことをね。
サヘル:私は、まさに“名前に力を持たせる”とはそういう意味だと思うんですよね。表現の世界というのは、ただのエンターテインメントではなくて、“私達の声を通して、声を届けられない人達の代弁者になる場所”だと思うんですよ。
茂木:インフルエンスをいい形で使うということですよね。
サヘル:はい、そうです。
●サヘル・ローズ 公式サイト
●サヘルローズ (@21Sahel) Twitter
●サヘル ローズ (@sa_chan_1021) Instagram
●言葉の花束 困難を乗り切るための“自分育て”/ サヘル・ローズ (著)
(Amazon)
●SDGs学部 ミライコード(TOKYO FM)
↑サヘル・ローズさんが担当する、
4/3(日)朝7:00〜スタートの新番組はこちらです!
7歳まで、イランの孤児院で過ごし、8歳で養母とともに来日されます。
高校生の頃から芸能活動を始め、様々なタレント活動のほか、
俳優として、映画や舞台、テレビドラマに出演し、多方面でご活躍中です。
芸能活動以外では、国際人権NGOの「すべての子どもに家庭を」の活動で、
親善大使を務めていらっしゃいました。
また、私的にも援助活動を続け、公私にわたる福祉活動が評価され、
アメリカで「人権活動家賞」を受賞されていらっしゃいます。
──母親の教え
茂木:今のサヘルさんのお姿を見たら、この講談社より出版されました、ご著書『言葉の花束 困難を乗り切るための“自分育て”』で書かれているような、本当に大変な人生が想像できないんですが…。まず、生年月日が正確には分からないということで。
サヘル:そうなんです。私、生年月日も、本名も、どこで生まれたのかも、何も書類が残っていないので、本当の自分を知るものが何もないんですよね。今付けられている生年月日も、今の名前も、後から今の養母に頂いたものなので。皆が普通に自分の誕生日を語れたりとか、自分の名前が言えるということが、昔はすごく羨ましくて、“自分の故郷やふるさとがない”、それがすごくトラウマだったんです。
今となっては、“自分の(生い立ちに関するものが)ないことで私が欠けている”のではなくて、“そういう過去があるからこそ、今の私がある”と、すごくポジティブにはなれているんですけれども。
今の世界情勢もそうなんですけれども、戦禍の中で生まれているので、何か自分の身元を保証するものを持って逃げることもできないですし、破壊される町でそういうものが一切残るわけではないんですよ。ですから、私だけではなくて、色んな子供達も大人達も、自分の身分を証明するもの…自分の過去を、歴史に、戦争によって破壊されてしまう人は、今現在もたくさんいます。
でも、私はその中で生き延びただけでも奇跡だと思うので、その奇跡をすごく噛み締めたいな、といつも思います。
茂木:お母さんのフローラさんはすごい方ですよね。
ご著書の中に色々素晴らしい言葉があるんですけど、「自分に投資しなさい」と。これはどういうことか教えて頂けますか?
サヘル:嬉しいです。ありがとうございます。母親の言葉で、「常に自分自身に何かを生み出す為には、ちゃんと投資をしていきなさい」と。世の中はすぐに結果を求めてしまう。種を撒いてすぐに花が出ればそんな楽なものはないけれども、その期間、ちゃんと投資をして、できた時間に学ぶとか、習い事をするとか。ちゃんと自分の引き出しを増やしていくことは、後に大人になった時に、自分の人生の選択肢を増やしていくことができるから、一人一人自分に投資ができているかどうか、だと。「嘆くことは簡単だけれども、嘆くのではなくて、自分がアクションを起こすパワーを付ける為の、投資をしなさい」というのが、母親の教えなんですよね。
茂木:ずいぶん色んな習い事をしたみたいですよね。
サヘル:そうなんです。水泳・バレエ・アイススケート・アーチェリー・そろばん・ピアノと…色んなものを、子供の時の私は“やらされて”いました。
茂木:そのお母さんは、サヘルさんに「将来はディカプリオと共演して」と言っているみたいですね。
サヘル:今もそうです(笑)。昔からそれを言うので、「お母さん、私は日本でも知られていないのに、なんでそんな遠い国のことを言うの? なんでその先に夢を見据えるの?」と一回言ったことがあるんです。そうしたら怒られて、「間違ってるのよ。皆、目標を身近に置きすぎなの」と。
茂木:ああ、いい話だね。
サヘル:はい。「逆に、ちゃんともっと先に目標を置くことで、“そこに辿り着くまでに、もっともっとやらなければいけない”と自分を奮い立たせることができるでしょ?」と。「周りにどう言われるかなんて関係ないの。あなたの人生はあなたのもので、人の為に生きてるわけじゃないでしょ。実は、どんなことをやろうと思っても、きっと色んな野次が飛んで来るし、色んな人たちが鼻で笑ってくると思う。それを一切気にせずに、ちゃんと自分のやりたいことに突き進んでいきなさい」というのが、母の言葉なんですよね。
茂木:僕、『言葉の花束 困難を乗り切るための“自分育て”』の中で、「今しかできないことをしましょう」という言葉がすごく心に響きました。このコロナ禍で色んなことができないじゃないですか。でも、「今だけしかできないことがある」という。
サヘル:それも母親の言葉だったんですけど。コロナになってしまって、色々なことができなくなった。そうしたらお母さんに、「逆だよ。できるようになったんだよ。今まで時間がないとできないと後回しにしたことがあって、今時間ができたでしょ? もう逃げられないよ」と言われて。
茂木:なるほど!
サヘル:「だったらやりたいことをどんどんやりなさい」と。「いつかは闇が開けるので、こういう時に動いてちゃんと準備体操をして色んなことを吸収した人間は、開いた時にダッシュが切れるけれども、この期間に何もしなかった人は、結局、世の中が動き出した時に出遅れてしまう。あなたはどっちになりたい?」と言われて、「私は動きたいし、やりたいことがある」と。
まさに、このコロナの期間に映画を1本撮ったんです。自分で企画して、自分で企業をまわって資金集めをさせて頂いて、監督をさせてもらって…実はこれを今年発表しようと思っているんです。今は編集で、これからカラーリングと音を付けていくんですけれども。
茂木:すごい!
サヘル:それも、まさにこのコロナだったからこそできたことだったんですよ。その映画は、日本の養護施設の子供達を主人公にしています。施設で育った8人の少年少女をメインの主人公に、私の目的としては、日本の芸能界の中で生い立ち関係なく、どんな人間にも可能性を持たせたかったんです。
茂木:アンジェリーナ・ジョリーさんみたいなことをね。
サヘル:私は、まさに“名前に力を持たせる”とはそういう意味だと思うんですよね。表現の世界というのは、ただのエンターテインメントではなくて、“私達の声を通して、声を届けられない人達の代弁者になる場所”だと思うんですよ。
茂木:インフルエンスをいい形で使うということですよね。
サヘル:はい、そうです。
●サヘル・ローズ 公式サイト
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●言葉の花束 困難を乗り切るための“自分育て”/ サヘル・ローズ (著)
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↑サヘル・ローズさんが担当する、
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