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Dream HEART vol.457 宇宙航空研究開発機構(JAXA)名誉教授・はまぎんこども宇宙科学館館長 的川泰宣さん 「第二期の宇宙時代へ」

2022年01月01日

的川泰宣さんは、1942年、広島県のお生まれ。

広島大学附属高等学校を経て東京大学に進学され、
東京大学宇宙航空研究所に入所。

その後、宇宙科学研究所教授・鹿児島宇宙空間観測所長・対外協力室長、
JAXA執行役を経て、現在は、はまぎんこども宇宙科学館の館長でいらっしゃいます。

ミューロケットの改良、
日本最初の人工衛星“おおすみ”を始めとする、数々の科学衛星の誕生に活躍し、
1980年代には、ハレー彗星探査計画に中心的なメンバーとして尽力。

2005年には、JAXA宇宙教育センターを先導して設立、初代センター長を務められます。

日本の宇宙活動の「語り部」であり、「宇宙教育の父」とも呼ばれていらっしゃいます。


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──宇宙を聖域に

茂木:的川先生は大学院の時に、日本初の人工衛星“おおすみ”の打ち上げに貢献されましたが、大学院生がいきなりこんな大きな仕事に関わるというのは凄いですよね。

的川:不思議ですよね。4月に大学に入って5月にはもう内之浦に出張してましたから、あんまり今、そんな人はいないんだと思いますね(笑)。

茂木:大学院生としての研究生活と同時に、プロジェクトの一員としての活動はいかがでしたか?

的川:それがちょっと深みに入り過ぎたんですけれども…。
“おおすみ”はいつも、打ち上げの時にレーザーでロケットの追跡をして、今のようにコンピュータ化されていないので、数字で出る追跡結果をグラフ用紙にプロットしていました。私はいつも打ち上げの時は、その役目をやってたんです。
追跡してると、上下角がピュー、と下がって行って、それで軌道に乗ったことが分かるんです。ということは、日本の人工衛星が軌道に乗ったということが最初に分かるのは私、という、そういう役目だったんです。

茂木:なるほど!
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的川:4回目に、その瞬間が初めて上手くいったということが分かった時の、踊り上がるような気持ちは、今でも思い出せますね。

茂木:的川先生はお若いですよね。何か健康で気を使っていらっしゃることはあるんですか?

的川:親のお陰だと思います。それと、スポーツをしてたことが良かったと思います。

茂木:的川先生は、子供たちが「どんな勉強をしたらいいですか?」と質問されると、いつも「運動してください」とか「遊んでください」とおっしゃってますね(笑)。

的川:そうですね。人と協力することも学ぶし、自分の体も丈夫になるし、ご飯もいっぱい食べられるし(笑)。自由な子供ができるという意味で、その方がいいと思います。

茂木:今まで宇宙と共に歩んできた人生なんですけど、これからの宇宙開発はどういう方向に行くんでしょうか。

的川:私は、スペースシャトルとか今の宇宙飛行士が数人乗って宇宙に旅立つロケットというものが、将来はもうちょっとジャンボジェットのようなものになって、一挙に宇宙へ大勢の人を運ぶという、そういうスタイルが一番いいと思っているんです。だから“宇宙旅行”というスタイルは、そういうことをイメージしないとピンと来ないんですよね。

茂木:なるほど。

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的川:私たちの時代は、ガガーリンをはじめとして“宇宙へ進出していく”という初期の時代だったので、ここ半世紀は第一期の宇宙時代だと思っています。第二期になると、修学旅行を含め“団体さんが宇宙へ行く”と、そういう時代をぜひ作って欲しいと思いますね。

茂木:的川先生にとって、宇宙とはどういうところなんでしょうか。

的川:大変難しい問題ですけど、昔古代オリンピックで、ギリシャには『聖域』というものがありましたよね。宇宙は人間にとってそういうものであって欲しいなという気持ちがあります。
今世界中に、地球環境の問題を含めて“解決不可能な問題”と言われていることがいっぱいあります。やっぱり宇宙という世界は、非常に大きく人々に『有限』ということを感じさせない領域なので、宇宙で、地球上で貧しい人たちも、戦争をやっている人たちも、みんな巻き込んだ全員が参加できるような大きなプロジェクトができると、「あのプロジェクトがあるから戦争なんかやっちゃいけない」というような平和に結びつく。地球上の全員がそういう生活ができるというイメージが湧きたてられるようなプロジェクトが、宇宙には相応しいと思っているんですけどね。
ぜひ、子供たちには、そういう様な宇宙開発を、第二期の宇宙時代に作って欲しいなと思います。

茂木:そして今、はまぎんこども宇宙科学館館長として、YouTubeでもガガーリンのお話をされていますもんね。これからどういうお話を、子供たち中心に伝えて行きたいと思っていますか?

的川:はまぎんは“宇宙科学館”という名前が付いてるんですけれども、宇宙とか科学に限らず、色んな分野の人たちの世界…心の世界・仕事の世界を紹介して、どんな生き方をする子供たちも、希望を持って人々のために大きな活躍ができるような、そういう心を開いて欲しいと思っています。

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■プレゼントのお知らせ

現在、小学館から発売中の的川先生監修の本
『「はやぶさ2」のはるかな旅−史上初の挑戦とチームワーク』に、
的川先生の直筆サインを入れて、3名の方にプレゼントいたします。

ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、
メッセージフォームより、ご応募ください。

茂木さんに聞きたい事や相談したい事など、
一緒にを添えていただけると嬉しいです。

尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。



●「はやぶさ2」のはるかな旅−史上初の挑戦とチームワーク / 的川泰宣 (監修)
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