2021年06月26日
シオリーヌさんは、1991年、神奈川県のお生まれ。
助産師として総合病院の産婦人科病棟で勤務ののち、
精神科の児童思春期病棟で、若者の心理的ケアを学ばれます。
2017年より性教育に関する発信活動をはじめ、
2019年2月よりYouTubeチャンネルで動画投稿を開始され、
たちまち10代、20代から支持を集め、現在のチャンネル登録数は、
(この収録時点で)14万人7000人と、人気を集めていらっしゃいます。
──日本の性教育の問題
茂木:日本では、性にまつわるトピックが話しにくい雰囲気があるじゃないですか。シオリーヌさんは助産師として活躍される中で、“性教育YouTuber”として本当に貴重な情報発信をされてると思います。どうして日本はここまで話しにくい空気なんですかね?
シオリーヌ:やっぱり「学校できちんと性教育を習っていない」というのが、まず大きな課題なんじゃないかな、と思いますけどね。
茂木:文科省も「ここから先は教えてはいけない」というのがあるんですって?
シオリーヌ:そうですね。『学習指導要領』というのがあるじゃないですか。あれで、中学生の保健の分野を見てみると、「中学生に対しては妊娠してから出産に至るまでの経過」のことは取り扱うんだけれど、「妊娠至る経過(つまり性行為)については取り扱わない事とする」と書かれているので…(笑)。
茂木:「取り扱わない事とする」と書いてあるんですか?
シオリーヌ:そうなんです! だからこそ、「卵子と精子が出会うと受精するんですよ」ということは言えるんだけど、「どうやって?」と聞かれたら「それはまだちょっと内緒で…」となってしまうんですね。
茂木:でも一方で、色んな情報が溢れてしまっていますもんね。
シオリーヌ:そう思います。皆スマホとかを当たり前に使っているので、その中で既に色んな情報が溢れているじゃないですか。でもその中から適切な情報を選び取っていく力というのを、むしろ学校ではきちんと教えていく必要があるんじゃないかな、なんて私は思うけれども、それが中々具体的な内容までは踏み込まれていないというのが現実かな、と思いますね。
茂木:よく「そういうことを教えると、先にそういうことをしちゃうんじゃないか」と大人が心配するんですけど、実際には諸外国の状況を見ると、むしろ「ちゃんと情報を出すと、安易にそういうことをしなくなる」ということなんですよね。
シオリーヌ:そうなんですよ。おっしゃる通りで、今ユネスコで出されている『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』(性教育の基準・マニュアル)を実践している国の調査によると、そういった“具体的で包括的な性教育”を幼い時からずっと受けてきている子は、例えば避妊のない性行為が減る、だとか、不特定多数のパートナーを持つような関係性を築く人が減る、だとか、いわゆる「リスクの高い性行為をする人が減っていく」というのがデータとして表れています。なので、危険な行為を減らしたかったら、むしろきちんと情報を伝えていくことが必要なんじゃないかな、とは、世界的にも言われていますよね。
茂木:科学的なエビデンスとしては、むしろ教えた方がいい、ということなんですね。
──5歳から性教育を
茂木:最近、ゆたぼんくんとコラボされてましたよね。ちょうどゆたぼんくん辺りの年齢(12歳)は、色んなことを教えた方がいい年齢なんですよね。
シオリーヌ:そう思いますよ。それこそユネスコの基準では、「性教育は遅くとも5歳には始めよう」と言われているんです。
茂木:5歳ですか!?
シオリーヌ:5歳(笑)。そう言うと、多くの方に「5歳の子にセックスを教えるんですか?」とびっくりされるんですけど、そういうわけではないんです。
茂木:段階があるんですよね。
シオリーヌ:そうです! 「自分の体のプライベートなパーツがどこなのか?」ということだったり、「誰かに性被害に遭いそうになった時、誰に相談したらいいか」とか「SOSを出すスキル」とか、そういった段階的な内容でお伝えをしていくものなんです。
茂木:まさにプライベートパートについて、今回お出しになられている『こどもジェンダー』という本の中でも、そこのところを随分強調されてますもんね。
シオリーヌ:そうですね。日本の中では、例えば“スカートめくり”とか“ズボンを下ろすような遊び”とか、そういったものがまだまだ軽いものに扱われてしまうことが多いんです。でもやっぱり、人の体に同意なく触れることとか、人のプライベートな場所を同意なく見ることは、本来なら絶対に許されないことです。そういったことを大人が軽く扱っている様子を見ることで、子供たち自身も「それって遊びとしてやっていいんだ」と学んでいってしまう雰囲気が日本ではあるんじゃないかなと感じるので、幼い時から自分の体のことも大事にできて、相手の体のことも大事にできるようにしていて欲しいなと思って、そこは力を入れて書いたところではありますね。
茂木:確かにおっしゃるように、「軽く扱うものじゃないんだよ」ということを、今回の『こどもジェンダー』という本の中では書かれていますね。例えば、「自分が嫌だったら言っていいんだよ」とか。
シオリーヌ:そうなんですよ。それこそセクハラとかも、「笑ってうまく流すのが女のたしなみ」みたいな言われ方をすることも多々あったりしますけど、自分の体を軽く扱われた時に、「ちゃんと怒っていいんだ」「嫌なことは嫌だと言っていいんだ」ということを、子供たちにはきちんと伝えていきたいなとすごく思っています。
茂木:今回の『こどもジェンダー』の中でも、ちょっと困った状況があることに対して、「こうすればいいんじゃないの?」「こう考えればいいんじゃないの?」と具体的な提案をされてるのが、構成として本当に素敵ですよね。
シオリーヌ:ありがとうございます。実際に子育て中の親御さんなどから“返答に困ったシチュエーション”とか“対応に困ったシチュエーション”というのも伺ったりしながら、実際によくありそうな場面を想定して作ったので、そういった対応策をストックしておきたいという方にはぜひ見て頂きたいなと思います。
茂木:この『こどもジェンダー』は小さいお子さんでも読める内容となっていますが、(対象年齢は)何歳以上ですかね?
シオリーヌ:全部ひらがなで書かれているので、年長さんぐらいから、文字が読めるようなお子さんだったらひとりでも読めると思います。
茂木:年長さんは5歳か。じゃあちょうどWHOの「5歳から」というのと合っていますね。
シオリーヌ:はい。
●【性教育YouTuber】シオリーヌ - YouTube
●シオリーヌ (@shiori_mw) ・Twitter
●こどもジェンダー / シオリーヌ(著)(Amazon)
●シオリーヌ公式サイト
助産師として総合病院の産婦人科病棟で勤務ののち、
精神科の児童思春期病棟で、若者の心理的ケアを学ばれます。
2017年より性教育に関する発信活動をはじめ、
2019年2月よりYouTubeチャンネルで動画投稿を開始され、
たちまち10代、20代から支持を集め、現在のチャンネル登録数は、
(この収録時点で)14万人7000人と、人気を集めていらっしゃいます。
──日本の性教育の問題
茂木:日本では、性にまつわるトピックが話しにくい雰囲気があるじゃないですか。シオリーヌさんは助産師として活躍される中で、“性教育YouTuber”として本当に貴重な情報発信をされてると思います。どうして日本はここまで話しにくい空気なんですかね?
シオリーヌ:やっぱり「学校できちんと性教育を習っていない」というのが、まず大きな課題なんじゃないかな、と思いますけどね。
茂木:文科省も「ここから先は教えてはいけない」というのがあるんですって?
シオリーヌ:そうですね。『学習指導要領』というのがあるじゃないですか。あれで、中学生の保健の分野を見てみると、「中学生に対しては妊娠してから出産に至るまでの経過」のことは取り扱うんだけれど、「妊娠至る経過(つまり性行為)については取り扱わない事とする」と書かれているので…(笑)。
茂木:「取り扱わない事とする」と書いてあるんですか?
シオリーヌ:そうなんです! だからこそ、「卵子と精子が出会うと受精するんですよ」ということは言えるんだけど、「どうやって?」と聞かれたら「それはまだちょっと内緒で…」となってしまうんですね。
茂木:でも一方で、色んな情報が溢れてしまっていますもんね。
シオリーヌ:そう思います。皆スマホとかを当たり前に使っているので、その中で既に色んな情報が溢れているじゃないですか。でもその中から適切な情報を選び取っていく力というのを、むしろ学校ではきちんと教えていく必要があるんじゃないかな、なんて私は思うけれども、それが中々具体的な内容までは踏み込まれていないというのが現実かな、と思いますね。
茂木:よく「そういうことを教えると、先にそういうことをしちゃうんじゃないか」と大人が心配するんですけど、実際には諸外国の状況を見ると、むしろ「ちゃんと情報を出すと、安易にそういうことをしなくなる」ということなんですよね。
シオリーヌ:そうなんですよ。おっしゃる通りで、今ユネスコで出されている『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』(性教育の基準・マニュアル)を実践している国の調査によると、そういった“具体的で包括的な性教育”を幼い時からずっと受けてきている子は、例えば避妊のない性行為が減る、だとか、不特定多数のパートナーを持つような関係性を築く人が減る、だとか、いわゆる「リスクの高い性行為をする人が減っていく」というのがデータとして表れています。なので、危険な行為を減らしたかったら、むしろきちんと情報を伝えていくことが必要なんじゃないかな、とは、世界的にも言われていますよね。
茂木:科学的なエビデンスとしては、むしろ教えた方がいい、ということなんですね。
──5歳から性教育を
茂木:最近、ゆたぼんくんとコラボされてましたよね。ちょうどゆたぼんくん辺りの年齢(12歳)は、色んなことを教えた方がいい年齢なんですよね。
シオリーヌ:そう思いますよ。それこそユネスコの基準では、「性教育は遅くとも5歳には始めよう」と言われているんです。
茂木:5歳ですか!?
シオリーヌ:5歳(笑)。そう言うと、多くの方に「5歳の子にセックスを教えるんですか?」とびっくりされるんですけど、そういうわけではないんです。
茂木:段階があるんですよね。
シオリーヌ:そうです! 「自分の体のプライベートなパーツがどこなのか?」ということだったり、「誰かに性被害に遭いそうになった時、誰に相談したらいいか」とか「SOSを出すスキル」とか、そういった段階的な内容でお伝えをしていくものなんです。
茂木:まさにプライベートパートについて、今回お出しになられている『こどもジェンダー』という本の中でも、そこのところを随分強調されてますもんね。
シオリーヌ:そうですね。日本の中では、例えば“スカートめくり”とか“ズボンを下ろすような遊び”とか、そういったものがまだまだ軽いものに扱われてしまうことが多いんです。でもやっぱり、人の体に同意なく触れることとか、人のプライベートな場所を同意なく見ることは、本来なら絶対に許されないことです。そういったことを大人が軽く扱っている様子を見ることで、子供たち自身も「それって遊びとしてやっていいんだ」と学んでいってしまう雰囲気が日本ではあるんじゃないかなと感じるので、幼い時から自分の体のことも大事にできて、相手の体のことも大事にできるようにしていて欲しいなと思って、そこは力を入れて書いたところではありますね。
茂木:確かにおっしゃるように、「軽く扱うものじゃないんだよ」ということを、今回の『こどもジェンダー』という本の中では書かれていますね。例えば、「自分が嫌だったら言っていいんだよ」とか。
シオリーヌ:そうなんですよ。それこそセクハラとかも、「笑ってうまく流すのが女のたしなみ」みたいな言われ方をすることも多々あったりしますけど、自分の体を軽く扱われた時に、「ちゃんと怒っていいんだ」「嫌なことは嫌だと言っていいんだ」ということを、子供たちにはきちんと伝えていきたいなとすごく思っています。
茂木:今回の『こどもジェンダー』の中でも、ちょっと困った状況があることに対して、「こうすればいいんじゃないの?」「こう考えればいいんじゃないの?」と具体的な提案をされてるのが、構成として本当に素敵ですよね。
シオリーヌ:ありがとうございます。実際に子育て中の親御さんなどから“返答に困ったシチュエーション”とか“対応に困ったシチュエーション”というのも伺ったりしながら、実際によくありそうな場面を想定して作ったので、そういった対応策をストックしておきたいという方にはぜひ見て頂きたいなと思います。
茂木:この『こどもジェンダー』は小さいお子さんでも読める内容となっていますが、(対象年齢は)何歳以上ですかね?
シオリーヌ:全部ひらがなで書かれているので、年長さんぐらいから、文字が読めるようなお子さんだったらひとりでも読めると思います。
茂木:年長さんは5歳か。じゃあちょうどWHOの「5歳から」というのと合っていますね。
シオリーヌ:はい。
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