2021年06月05日
田中泯さんは、1945年、東京都のお生まれ。
1974年にダンサーとして活動を開始し、1978年にルーブル美術館において海外デビュー。
2002年の『たそがれ清兵衛』でスクリーンデビューし、
第26回日本アカデミー賞新人俳優賞、最優秀助演男優賞を受賞されました。
その後も国内のみならず、ハリウッドからアジア圏にわたって映画、ドラマなど、
映像作品に多数、ご出演されていらっしゃいます。
そして、現在全国で公開中の映画『HOKUSAI』で、柳楽優弥さんとダブル主演で、
江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎を演じられていらっしゃいます。
──歩くシーンで北斎を生むことができた
茂木:僕は『山海塾』という舞踊グループがずっと好きなんですが、パリが本拠地なんですよね。田中泯さんもフランスに行くとものすごく有名で、色んなところに写真集があったりしますが、素直にそういうところで評価してくれるのは嬉しいですよね。
田中:初めて行った時に、要するに“お先の見えない表現”じゃないですか。「この表現はどこに行くんだろうか?」と。それを皆ワッと観に来てくれるという…羨ましいな、と(笑)。
茂木:(笑)。そういう意味で言うと、今回の『HOKUSAI』は奇跡のような映画ですよね。皆が興味を持つドラマもあるんですけど、その中に田中泯さんの踊りもあるという…。実際に現場にいて、俳優の部分とダンサーの部分のバランスはいかがでしたか?
田中:この映画作品は、特に若い頃は結構台詞があるんですが、老年期に入ってからはむしろ黙ってる時間の方が全体で多いんですよ。それはたぶん、監督、その他スタッフの皆さんの意図だと思います。
茂木:じゃあ、もう田中泯さんに思う存分身体表現をしてもらおうと。
田中:ですから、僕が出るようになってからのクランクイン初日は、歩くシーンばかりでした。
茂木:そうなんですか(笑)。
田中:ひたすら、山の中を歩いたり色んなところを歩くシーンで1日使ったんですよ。それがすごく助かりました。それで僕は北斎を自分の中に生むことができたと言うか、そんな感じがしましたね。
茂木:やっぱり映画の製作現場というのは、そういう「リズムをどう作るか?」と。
田中:そうですね。第一、役者が本当にその人になっていくことを実現していくのが、現場の仕事ですから。実は映像に映るのは、上手にお芝居したということよりも、どのくらい肉薄しているかということそのものだと思います。
茂木:この“肉薄”というところを皆観たいんですよね。
──映画には“踊り”が映るのか
茂木:田中さんは今回映画『HOKUSAI』で浮世絵師・葛飾北斎を演じてらっしゃいますが…。北斎も芸術家としてのキャリアが非常に長かったんですけども、田中泯さんも踊りを始められて随分長い年月を積み重ねて来られましたよね。今までの歳月を振り返るといかがですか?
田中:いやいや、これから面白くなるな、と。
茂木:北斎もそうですもんね! これからどういう面白さがあるんですか?
田中:「踊り踊り」とずっと言い続けて、思い続けて。僕の場合は北斎のような天才…“天才”と言ったら月並み過ぎます。北斎は天才なんてものじゃなくて、もっと“命の塊が彼と一緒に沸騰して、生涯を作って行った”というような感じなんですよね。
僕は「踊り踊り」と言って、踊りにすがるように、踊りを常に自分に引き寄せるように生きてきていて。何もかも踊りと言いたくなっちゃうような、「俺が踊り」だとは言わないけれど、「私の生きることは踊りなんだ」というようなところまで行きたいなとは思っています。そこまではまだあと一歩かな? 二歩か三歩か分かりませんが(笑)。もっとステップしなくちゃいけないと思っているんですよ。でも、それがこういう北斎のような人と出会う映画に出られるというのは、僕はものすごく運がいいですね。
茂木:本当に今回の『HOKUSAI』の映画の中に、田中泯さんの今の身体表現が記録されている、そしてずっと観ることができるというのは本当に幸せなことだと思います。
田中:そうです。僕は、踊りは本当は「映らない」と思っていたんです。だから「僕の踊りをビデオに撮っても無駄だよ。それはもう踊りじゃないんだよ。終わってるんだよ」。
でも、映画のように映像の中に、一旦踊りを映像として封じ込めるわけですけど、映画の場合は前後がありますよね。そうすると、その前後も含めて踊りと溶け合って行くんですよ。そこを観た時に、自分でも“踊っている”と思えるんですよね。
茂木:なるほど、深いですね!
田中:また映画の制作の現場というのは、劇場なんかの舞台で踊るのとは全く違って、本番こそが全員が集中する場所なんです。劇場は下手をすると、踊り手は舞台で夢中で踊っているんだけど、裏方さんたちは舞台袖で本を読んでたり、あるいはさーっと引っ込んで裏に回っちゃったりするわけですよ。例えばヨーロッパに行ってパリのオペラ座なんかで踊ると、それこそ裏方さんたちが皆集まってきます。
茂木:観ているんですね(笑)。
田中:これ、すごく違うでしょ? ちょっと日本の劇場にガクーッと来てた頃に『たそがれ清兵衛』に初めて出演しました。
茂木:そうしたら、そこに熱い現場があった、と。
田中:そこに、「さぁ本番!」と言った時の、あのその場に対する視線の強さ。「いいなぁ!」と思いました(笑)。
■プレゼントのお知らせ
現在公開中の映画『HOKUSAI』の劇場鑑賞券を、
3組6名の方にプレゼントいたします。
(オンラインで座席予約ができる、“ムビチケ”となります)
ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、
メッセージフォームより、ご応募ください。
茂木さんに聞きたい事や相談したい事など、
メッセージを添えていただけると嬉しいです。
尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。
●映画『HOKUSAI』90秒予告(2021年5月28日公開)
↓5月28日(金)から全国公開!(※一部、地域を除く)
上映している映画館など、詳しくは公式サイトをご覧ください。
●映画『HOKUSAI』公式ホームページ
●映画「HOKUSAI」🌊 Twitter(@hokusai2020)
●田中泯 Twitter(@MadadaDance)
1974年にダンサーとして活動を開始し、1978年にルーブル美術館において海外デビュー。
2002年の『たそがれ清兵衛』でスクリーンデビューし、
第26回日本アカデミー賞新人俳優賞、最優秀助演男優賞を受賞されました。
その後も国内のみならず、ハリウッドからアジア圏にわたって映画、ドラマなど、
映像作品に多数、ご出演されていらっしゃいます。
そして、現在全国で公開中の映画『HOKUSAI』で、柳楽優弥さんとダブル主演で、
江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎を演じられていらっしゃいます。
──歩くシーンで北斎を生むことができた
茂木:僕は『山海塾』という舞踊グループがずっと好きなんですが、パリが本拠地なんですよね。田中泯さんもフランスに行くとものすごく有名で、色んなところに写真集があったりしますが、素直にそういうところで評価してくれるのは嬉しいですよね。
田中:初めて行った時に、要するに“お先の見えない表現”じゃないですか。「この表現はどこに行くんだろうか?」と。それを皆ワッと観に来てくれるという…羨ましいな、と(笑)。
茂木:(笑)。そういう意味で言うと、今回の『HOKUSAI』は奇跡のような映画ですよね。皆が興味を持つドラマもあるんですけど、その中に田中泯さんの踊りもあるという…。実際に現場にいて、俳優の部分とダンサーの部分のバランスはいかがでしたか?
田中:この映画作品は、特に若い頃は結構台詞があるんですが、老年期に入ってからはむしろ黙ってる時間の方が全体で多いんですよ。それはたぶん、監督、その他スタッフの皆さんの意図だと思います。
茂木:じゃあ、もう田中泯さんに思う存分身体表現をしてもらおうと。
田中:ですから、僕が出るようになってからのクランクイン初日は、歩くシーンばかりでした。
茂木:そうなんですか(笑)。
田中:ひたすら、山の中を歩いたり色んなところを歩くシーンで1日使ったんですよ。それがすごく助かりました。それで僕は北斎を自分の中に生むことができたと言うか、そんな感じがしましたね。
茂木:やっぱり映画の製作現場というのは、そういう「リズムをどう作るか?」と。
田中:そうですね。第一、役者が本当にその人になっていくことを実現していくのが、現場の仕事ですから。実は映像に映るのは、上手にお芝居したということよりも、どのくらい肉薄しているかということそのものだと思います。
茂木:この“肉薄”というところを皆観たいんですよね。
──映画には“踊り”が映るのか
茂木:田中さんは今回映画『HOKUSAI』で浮世絵師・葛飾北斎を演じてらっしゃいますが…。北斎も芸術家としてのキャリアが非常に長かったんですけども、田中泯さんも踊りを始められて随分長い年月を積み重ねて来られましたよね。今までの歳月を振り返るといかがですか?
田中:いやいや、これから面白くなるな、と。
茂木:北斎もそうですもんね! これからどういう面白さがあるんですか?
田中:「踊り踊り」とずっと言い続けて、思い続けて。僕の場合は北斎のような天才…“天才”と言ったら月並み過ぎます。北斎は天才なんてものじゃなくて、もっと“命の塊が彼と一緒に沸騰して、生涯を作って行った”というような感じなんですよね。
僕は「踊り踊り」と言って、踊りにすがるように、踊りを常に自分に引き寄せるように生きてきていて。何もかも踊りと言いたくなっちゃうような、「俺が踊り」だとは言わないけれど、「私の生きることは踊りなんだ」というようなところまで行きたいなとは思っています。そこまではまだあと一歩かな? 二歩か三歩か分かりませんが(笑)。もっとステップしなくちゃいけないと思っているんですよ。でも、それがこういう北斎のような人と出会う映画に出られるというのは、僕はものすごく運がいいですね。
茂木:本当に今回の『HOKUSAI』の映画の中に、田中泯さんの今の身体表現が記録されている、そしてずっと観ることができるというのは本当に幸せなことだと思います。
田中:そうです。僕は、踊りは本当は「映らない」と思っていたんです。だから「僕の踊りをビデオに撮っても無駄だよ。それはもう踊りじゃないんだよ。終わってるんだよ」。
でも、映画のように映像の中に、一旦踊りを映像として封じ込めるわけですけど、映画の場合は前後がありますよね。そうすると、その前後も含めて踊りと溶け合って行くんですよ。そこを観た時に、自分でも“踊っている”と思えるんですよね。
茂木:なるほど、深いですね!
田中:また映画の制作の現場というのは、劇場なんかの舞台で踊るのとは全く違って、本番こそが全員が集中する場所なんです。劇場は下手をすると、踊り手は舞台で夢中で踊っているんだけど、裏方さんたちは舞台袖で本を読んでたり、あるいはさーっと引っ込んで裏に回っちゃったりするわけですよ。例えばヨーロッパに行ってパリのオペラ座なんかで踊ると、それこそ裏方さんたちが皆集まってきます。
茂木:観ているんですね(笑)。
田中:これ、すごく違うでしょ? ちょっと日本の劇場にガクーッと来てた頃に『たそがれ清兵衛』に初めて出演しました。
茂木:そうしたら、そこに熱い現場があった、と。
田中:そこに、「さぁ本番!」と言った時の、あのその場に対する視線の強さ。「いいなぁ!」と思いました(笑)。
■プレゼントのお知らせ
現在公開中の映画『HOKUSAI』の劇場鑑賞券を、
3組6名の方にプレゼントいたします。
(オンラインで座席予約ができる、“ムビチケ”となります)
ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、
メッセージフォームより、ご応募ください。
茂木さんに聞きたい事や相談したい事など、
メッセージを添えていただけると嬉しいです。
尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。
●映画『HOKUSAI』90秒予告(2021年5月28日公開)
↓5月28日(金)から全国公開!(※一部、地域を除く)
上映している映画館など、詳しくは公式サイトをご覧ください。
●映画『HOKUSAI』公式ホームページ
●映画「HOKUSAI」🌊 Twitter(@hokusai2020)
●田中泯 Twitter(@MadadaDance)