2021年05月01日
Saku Yanagawaさんは、1992年、奈良県のお生まれ。
大阪大学在学中に単身渡米し、
アメリカのコメディクラブで舞台に立ち始めます。
その後、これまで数多くのスターを輩出した
シカゴの名門コメディ劇団「セカンド・シティ」でデビューを果たすと、
全米でヘッドライナーとしても公演されます。
現在は、シカゴの複数のクラブにレギュラー出演し、
年間400本のステージに立っていらっしゃいます。
しかも、アメリカのみならず、アフリカやヨーロッパを含めた10カ国以上でツアーを行い、
日本でもフジロックをはじめ、テレビやラジオにも多数出演されていらっしゃいます。
そして、Saku Yanagawaさんは、先日、ご自身の半生を書かれたご著書
「Get Up Stand Up! たたかうために立ち上がれ!」を発売されました。
──自分の視点を持つ
茂木:そもそも、『スタンダップコメディ』とはどういうものなんでしょうか?
Saku:“マイク一本でお客さんの前に立って、ジョークを言う”という芸能なんですけども。『コメディ』=『スタンダップコメディ』というぐらい一般的なジャンルでして、コメディアンが自分の視点を笑いで届けてお客さんを笑わす、そういうものかと思います。
茂木:Sakuさんは今アメリカでドッカンドッカンうけていて、しかも一番チケットが取りにくいスタンダップコメディアンになってるそうですが、どんなネタをされているんですか?
Saku:いやぁ…。本当にいろんなことをネタとしてかけてますけど、でも自分の中でひとつ一貫して決めていることは、“自分の視点”…例えば、僕の場合は“日本で生まれて日本で育ったという視点”からジョークをかけて、アメリカ人が気づかないことだったり、普段見過ごしてしまうことを、笑いと言うか刺激にして伝えたいな、と思っています。
茂木:一番ドッカンドッカンうけた時というのはどんな気分なんですか?
Saku:あの感覚というのは、一回体験すると、体がもう忘れられへんと言うか、背筋を氷のようなものが駆け抜ける感じがして、どんなに辛いことがあってももう戻られへんな、という気持ちになりますね。
茂木:戻られへんな、と(笑)。
実は、僕もシカゴのコメディクラブ…ラフ・ファクトリーとか行ったことありまして。日本の寄席とは全く雰囲気が違いますね。
Saku:そうですね。お客さんと対峙してるという感覚がすごく強いです。それこそ、僕が舞台中に喋っていたら、「俺はそれ違うと思うぞ!」みたいな議論を吹っかけて来ることもありますし。
茂木:今回のご著書『Get Up Stand Up! たたかうために立ち上がれ!』の中では、スタンダップコメディについてのよくある誤解で、「フリートークではないんだ」、と。「極めて論理的に緻密に構成されている、演劇に近い方だ」と書かれていますけども。尺も、短いものから60分まで、臨機応変に一人でできる、と。
Saku:そうですね。例えばテレビとかだと5分の尺ですし、大きい舞台だと5分の舞台もやらなきゃいけないんですけど。60分というのはかけて一人前とされる分もあるので、その中で、5分なら5分の、60分なら60分の構成というものを見せる芸能なんだろうな、というのは思いながらやっています。
茂木:そう意味においては、スタンダップコメディには何が一番必要とされるんですかね?
Saku:僕はやっぱり、“自分の視点を持つこと”だと思います。「自分はこの物事についてこう思う。だからこそそれを伝えるんだ」というエネルギーを持って、それを笑いにして、届けるということなので、そこにはもちろんセンスも必要だと思いますし、歩んだ自分の人生というのがそこににじみ出るとも思います。まず、“自分を知ること”。
逆に、お客さんとして観る時にすごく大事なのは、“違う意見の人に出会って、それを笑えるかどうか”だと思うんですよね。
茂木:なるほど!
Saku:コメディクラブという劇場は、違う意見の人と出会う場所でもありますし、舞台の上のコメディアンと政治的な心情が自分と違っても、それを理解した上で笑える世界は、やっぱりこの分断の中で対話のきっかけにもなると思います。だから、それを笑えるかどうか、というところは、今後の時代に大事になってくるのかな、と。
茂木:例えば、トランプさんの支持者の前で、トランプさんのジョークをするとか?
Saku:そうですね。自分と同じ意見の人の前だけでネタをかけて行ったら、それはもうコメディではなく集会だとも思うので。極論は半々が一番いいと思うんですけど、民主党も共和党もいる中で、それだけでなく宗教の面でも色んな人がいる中で、その人たちを笑わすことができると、この芸能の奥行きというものが広がると思います。
何なら、例え意見が違うお客さん同士でも、同じジョークに同じ空間で一緒に笑っていたら、少なくともその一瞬だけでも分断ってないと思うんです。それを僕らが“笑い”と言うものを通して届けていくのが、本当に一番の使命です。
茂木:そういう意味で言うと、“笑い”は“LOVE & PEACE”ですかね?
Saku:本当にそうだと思うんです。飾ってても、身ひとつでやって口だけの芸能だからこそ、バレるんですよね。いいことだけ言って行っても、お客さんも「ああ、こいつ上辺だけやな」と見られてると思うので(笑)。そこは自分の芸というもののを奥行きを持たせて磨いていく、ということが必要になってくると思っています。
● Saku Yanagawa 公式ホームページ
↑SakuさんのYouTubeチャンネルも、こちらからご覧頂けます。
●Saku Yanagawa(@SakuYanagawa) Twitter
●Saku Yanagawa(@saku_yanagawa) - Instagram
●Get Up Stand Up! たたかうために立ち上がれ! / Saku Yanagawa
(Amazon)
大阪大学在学中に単身渡米し、
アメリカのコメディクラブで舞台に立ち始めます。
その後、これまで数多くのスターを輩出した
シカゴの名門コメディ劇団「セカンド・シティ」でデビューを果たすと、
全米でヘッドライナーとしても公演されます。
現在は、シカゴの複数のクラブにレギュラー出演し、
年間400本のステージに立っていらっしゃいます。
しかも、アメリカのみならず、アフリカやヨーロッパを含めた10カ国以上でツアーを行い、
日本でもフジロックをはじめ、テレビやラジオにも多数出演されていらっしゃいます。
そして、Saku Yanagawaさんは、先日、ご自身の半生を書かれたご著書
「Get Up Stand Up! たたかうために立ち上がれ!」を発売されました。
──自分の視点を持つ
茂木:そもそも、『スタンダップコメディ』とはどういうものなんでしょうか?
Saku:“マイク一本でお客さんの前に立って、ジョークを言う”という芸能なんですけども。『コメディ』=『スタンダップコメディ』というぐらい一般的なジャンルでして、コメディアンが自分の視点を笑いで届けてお客さんを笑わす、そういうものかと思います。
茂木:Sakuさんは今アメリカでドッカンドッカンうけていて、しかも一番チケットが取りにくいスタンダップコメディアンになってるそうですが、どんなネタをされているんですか?
Saku:いやぁ…。本当にいろんなことをネタとしてかけてますけど、でも自分の中でひとつ一貫して決めていることは、“自分の視点”…例えば、僕の場合は“日本で生まれて日本で育ったという視点”からジョークをかけて、アメリカ人が気づかないことだったり、普段見過ごしてしまうことを、笑いと言うか刺激にして伝えたいな、と思っています。
茂木:一番ドッカンドッカンうけた時というのはどんな気分なんですか?
Saku:あの感覚というのは、一回体験すると、体がもう忘れられへんと言うか、背筋を氷のようなものが駆け抜ける感じがして、どんなに辛いことがあってももう戻られへんな、という気持ちになりますね。
茂木:戻られへんな、と(笑)。
実は、僕もシカゴのコメディクラブ…ラフ・ファクトリーとか行ったことありまして。日本の寄席とは全く雰囲気が違いますね。
Saku:そうですね。お客さんと対峙してるという感覚がすごく強いです。それこそ、僕が舞台中に喋っていたら、「俺はそれ違うと思うぞ!」みたいな議論を吹っかけて来ることもありますし。
茂木:今回のご著書『Get Up Stand Up! たたかうために立ち上がれ!』の中では、スタンダップコメディについてのよくある誤解で、「フリートークではないんだ」、と。「極めて論理的に緻密に構成されている、演劇に近い方だ」と書かれていますけども。尺も、短いものから60分まで、臨機応変に一人でできる、と。
Saku:そうですね。例えばテレビとかだと5分の尺ですし、大きい舞台だと5分の舞台もやらなきゃいけないんですけど。60分というのはかけて一人前とされる分もあるので、その中で、5分なら5分の、60分なら60分の構成というものを見せる芸能なんだろうな、というのは思いながらやっています。
茂木:そう意味においては、スタンダップコメディには何が一番必要とされるんですかね?
Saku:僕はやっぱり、“自分の視点を持つこと”だと思います。「自分はこの物事についてこう思う。だからこそそれを伝えるんだ」というエネルギーを持って、それを笑いにして、届けるということなので、そこにはもちろんセンスも必要だと思いますし、歩んだ自分の人生というのがそこににじみ出るとも思います。まず、“自分を知ること”。
逆に、お客さんとして観る時にすごく大事なのは、“違う意見の人に出会って、それを笑えるかどうか”だと思うんですよね。
茂木:なるほど!
Saku:コメディクラブという劇場は、違う意見の人と出会う場所でもありますし、舞台の上のコメディアンと政治的な心情が自分と違っても、それを理解した上で笑える世界は、やっぱりこの分断の中で対話のきっかけにもなると思います。だから、それを笑えるかどうか、というところは、今後の時代に大事になってくるのかな、と。
茂木:例えば、トランプさんの支持者の前で、トランプさんのジョークをするとか?
Saku:そうですね。自分と同じ意見の人の前だけでネタをかけて行ったら、それはもうコメディではなく集会だとも思うので。極論は半々が一番いいと思うんですけど、民主党も共和党もいる中で、それだけでなく宗教の面でも色んな人がいる中で、その人たちを笑わすことができると、この芸能の奥行きというものが広がると思います。
何なら、例え意見が違うお客さん同士でも、同じジョークに同じ空間で一緒に笑っていたら、少なくともその一瞬だけでも分断ってないと思うんです。それを僕らが“笑い”と言うものを通して届けていくのが、本当に一番の使命です。
茂木:そういう意味で言うと、“笑い”は“LOVE & PEACE”ですかね?
Saku:本当にそうだと思うんです。飾ってても、身ひとつでやって口だけの芸能だからこそ、バレるんですよね。いいことだけ言って行っても、お客さんも「ああ、こいつ上辺だけやな」と見られてると思うので(笑)。そこは自分の芸というもののを奥行きを持たせて磨いていく、ということが必要になってくると思っています。
● Saku Yanagawa 公式ホームページ
↑SakuさんのYouTubeチャンネルも、こちらからご覧頂けます。
●Saku Yanagawa(@SakuYanagawa) Twitter
●Saku Yanagawa(@saku_yanagawa) - Instagram
●Get Up Stand Up! たたかうために立ち上がれ! / Saku Yanagawa
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