2021年01月30日
ジェーン・スーさんは、1973年、東京都のお生まれ。
2013年に、ポプラ社から発売された初の書籍、
『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』は、
発売されると同時に、たちまちベストセラーとなります。
そして、2014年に発売された2作目の『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』は、
第31回講談社エッセイ賞を受賞されます。
現在は、YUKIさん、中島美嘉さん、flumpoolさん、そして、元気ロケッツさん等の
アーティストを手がけるクリエーター集団「agehasprings」に所属され、
コラムニストのほかにも、作詞家、ラジオパーソナリティと、
幅広くご活躍中でいらっしゃいます。
──実際の相談に即して答えながら伝えたい
茂木:今、小学館から絶賛発売中の『女のお悩み動物園』ということなんですけど、これはもともと連載をされていたもの?
ジェーン:そうなんです。『Oggi』で連載していたお悩み相談のものが5年溜まったんで、本にしよう、ということで本にしました。でも普通に本にしただけじゃつまらないなと思って、“女性のタイプ”を“16種類の動物”に分けて、その動物が、それぞれ「こんなことで悩んでいる」、という形で本にしました。
茂木:「無防備なヒツジさん」、「甘えん坊のカンガルーさん」とかね。この「無防備なヒツジさん」という女性は、人に騙されちゃったりするんですか?
ジェーン:そうですね。ここに載っているのは全部本当にあった相談だし、それを分かりやすく纏めてはいるんですけれども。
言ってしまえば、結局、「自信がない方が女性として好ましい」とされたりとか、「意見を強く言うと生意気だ」とされたりとか、社会規範でガチガチになってしまっていることで生まれる悩みが、女性の場合はあるので。男性の場合は男性でそれがあると思うんですけれども…。
茂木:「男らしさ」とか。
ジェーン:そうです。だから「性別で振り分けられる役割みたいなものが気になっている」というお悩みを、自分のせいだと思ってしまったりとか。あとは、自信が持てるチャンスが今までなかっただけなのに、あんまりそこで欲望をあらわにすると、みんなに嫌われるんじゃないかな、と思って引っ込み思案になっちゃったり、という人たちの背中を押したいな、というのもありますね。
茂木:ジェーン・スーさんとしては、女性一人一人が悩んでいることが、実はその人のせいじゃなくて、もっと社会とか色んなことなんだ、ということを伝えるだけで、みんな楽になる。
ジェーン:そこが言いたいんですけど、それを大真面目に書いても誰も読んでくれないんで…。仕事をしていると、「同期の男子と扱いが違う」とか、「上にロールモデルになる女性がいない」とかで、どんな女の子も“あっ”って気がついてくると思うんですね。そこで立ちふさがる壁みたいなものをどうやって登っていくか、とか。
暑苦しく書くよりも、みんなから貰った相談に即して答えながら、読んでいくうちにそれに気づいて貰えたらありがたいな、と思っているんですけどね。
──男女どちらも『役割』から解放されなければならない
茂木:今、「女性も活躍しなくちゃいけない」とか、「働くべきだ」みたいな風潮がある中で、逆に、弱さとかを見せにくい世の中にもなっているかな、とも思うんですが。
ジェーン:私はよく言うんですけど、『陰陽』みたいなもので、二個一でセットなんです。
親世代の家父長制とかは、お父さんがいて、基本的に男は黙って。お父さんがご飯に手を付けるまで誰も手を付けない。お父さんに食べさせて貰う。その代わり、長男は不満一つ言わずに家を継ぐ。その代わり、財産も継ぐ。…みたいなのがあったわけじゃないですか。
それで、女の人は、基本的に三歩下がって、家族を支えて、家が一番。というところだったのが…。
でもそれによる弊害が結構大きいなと思っています。男の人は女性に比べて、自分の弱さとか、“自分自身が何者か”みたいなことを問うチャンスがないと思うんですよね。
茂木:そうか、役割ばっかり演じていて。
ジェーン:そうです。競争に追い立てられて、“自分は何なのか”とか“自分の弱さは何なのか”とか、そうすると結局、「言わなくても分かるでしょ?」みたいな“察してちゃん”と“察して君”みたいになっていってしまうので。
それよりもっと「自分のことを知る」ということに対して、女性も男性も自覚的になっていけば、性別で振り分けられるような性格じゃなくて、セットになる人とうまくやればいいんじゃないの、という。男女関わらず、『男男』とか『女女』のセットもあると思うんですけど、そういうセットになっていくと思うんですよね。
だから、男性も女性もどっちかひとつだけが解放されるということはないと思うんです。
茂木:なるほど。すごい! そうか。「女性を解放するためには、男性も解放されないといけない」、と。
ジェーン:そうなんです。
「男の子なんだから泣いちゃ駄目」って、そんなの絶対に駄目じゃないですか。「男のくせに」とか、よく考えたらすごくおかしいことで。そういうのも解除して行かないとならないです。
●女のお悩み動物園 / ジェーン・スー(Amazon)
●小学館 公式サイト
●ジェーン・スー (@janesu112) Twitter
2013年に、ポプラ社から発売された初の書籍、
『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』は、
発売されると同時に、たちまちベストセラーとなります。
そして、2014年に発売された2作目の『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』は、
第31回講談社エッセイ賞を受賞されます。
現在は、YUKIさん、中島美嘉さん、flumpoolさん、そして、元気ロケッツさん等の
アーティストを手がけるクリエーター集団「agehasprings」に所属され、
コラムニストのほかにも、作詞家、ラジオパーソナリティと、
幅広くご活躍中でいらっしゃいます。
──実際の相談に即して答えながら伝えたい
茂木:今、小学館から絶賛発売中の『女のお悩み動物園』ということなんですけど、これはもともと連載をされていたもの?
ジェーン:そうなんです。『Oggi』で連載していたお悩み相談のものが5年溜まったんで、本にしよう、ということで本にしました。でも普通に本にしただけじゃつまらないなと思って、“女性のタイプ”を“16種類の動物”に分けて、その動物が、それぞれ「こんなことで悩んでいる」、という形で本にしました。
茂木:「無防備なヒツジさん」、「甘えん坊のカンガルーさん」とかね。この「無防備なヒツジさん」という女性は、人に騙されちゃったりするんですか?
ジェーン:そうですね。ここに載っているのは全部本当にあった相談だし、それを分かりやすく纏めてはいるんですけれども。
言ってしまえば、結局、「自信がない方が女性として好ましい」とされたりとか、「意見を強く言うと生意気だ」とされたりとか、社会規範でガチガチになってしまっていることで生まれる悩みが、女性の場合はあるので。男性の場合は男性でそれがあると思うんですけれども…。
茂木:「男らしさ」とか。
ジェーン:そうです。だから「性別で振り分けられる役割みたいなものが気になっている」というお悩みを、自分のせいだと思ってしまったりとか。あとは、自信が持てるチャンスが今までなかっただけなのに、あんまりそこで欲望をあらわにすると、みんなに嫌われるんじゃないかな、と思って引っ込み思案になっちゃったり、という人たちの背中を押したいな、というのもありますね。
茂木:ジェーン・スーさんとしては、女性一人一人が悩んでいることが、実はその人のせいじゃなくて、もっと社会とか色んなことなんだ、ということを伝えるだけで、みんな楽になる。
ジェーン:そこが言いたいんですけど、それを大真面目に書いても誰も読んでくれないんで…。仕事をしていると、「同期の男子と扱いが違う」とか、「上にロールモデルになる女性がいない」とかで、どんな女の子も“あっ”って気がついてくると思うんですね。そこで立ちふさがる壁みたいなものをどうやって登っていくか、とか。
暑苦しく書くよりも、みんなから貰った相談に即して答えながら、読んでいくうちにそれに気づいて貰えたらありがたいな、と思っているんですけどね。
──男女どちらも『役割』から解放されなければならない
茂木:今、「女性も活躍しなくちゃいけない」とか、「働くべきだ」みたいな風潮がある中で、逆に、弱さとかを見せにくい世の中にもなっているかな、とも思うんですが。
ジェーン:私はよく言うんですけど、『陰陽』みたいなもので、二個一でセットなんです。
親世代の家父長制とかは、お父さんがいて、基本的に男は黙って。お父さんがご飯に手を付けるまで誰も手を付けない。お父さんに食べさせて貰う。その代わり、長男は不満一つ言わずに家を継ぐ。その代わり、財産も継ぐ。…みたいなのがあったわけじゃないですか。
それで、女の人は、基本的に三歩下がって、家族を支えて、家が一番。というところだったのが…。
でもそれによる弊害が結構大きいなと思っています。男の人は女性に比べて、自分の弱さとか、“自分自身が何者か”みたいなことを問うチャンスがないと思うんですよね。
茂木:そうか、役割ばっかり演じていて。
ジェーン:そうです。競争に追い立てられて、“自分は何なのか”とか“自分の弱さは何なのか”とか、そうすると結局、「言わなくても分かるでしょ?」みたいな“察してちゃん”と“察して君”みたいになっていってしまうので。
それよりもっと「自分のことを知る」ということに対して、女性も男性も自覚的になっていけば、性別で振り分けられるような性格じゃなくて、セットになる人とうまくやればいいんじゃないの、という。男女関わらず、『男男』とか『女女』のセットもあると思うんですけど、そういうセットになっていくと思うんですよね。
だから、男性も女性もどっちかひとつだけが解放されるということはないと思うんです。
茂木:なるほど。すごい! そうか。「女性を解放するためには、男性も解放されないといけない」、と。
ジェーン:そうなんです。
「男の子なんだから泣いちゃ駄目」って、そんなの絶対に駄目じゃないですか。「男のくせに」とか、よく考えたらすごくおかしいことで。そういうのも解除して行かないとならないです。
●女のお悩み動物園 / ジェーン・スー(Amazon)
●小学館 公式サイト
●ジェーン・スー (@janesu112) Twitter