2021年01月02日
岩合光昭さんは、1950年、東京都のお生まれです。
お父さまは、日本における動物写真家の草分け的存在と言える、岩合徳光さん。
19歳のときに、お父さまの助手として訪れた、
ガラパゴス諸島の自然の驚異に圧倒され、動物写真家としての道を歩み始められます。
それ以来、地球上のあらゆる地域をフィールドに撮影を続け、ご活躍中です。
1979年には、『海からの手紙』で、写真界の芥川賞と言われる、木村伊兵衛写真賞を受賞。
岩合さんの写真は、美しく、想像力をかきたてる作品として、世界的に高く評価されています。
その一方で、身近な猫を半世紀以上、ライフワークとして撮り続けていらっしゃいます。
──猫を通して感じた野生を、視聴者にも感じてもらう
茂木:BSプレミアムの番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」の劇場版第二弾ということですよね。今回は、「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族」が1月8日からいよいよ公開と言うことで、この映画をご自身で作られていかがですか?
岩合:第一作目は、テレビの「世界ネコ歩き」を再編集して作ったものなので、それを劇場で公開させて頂いたんですけど。今回は本当に新しく撮ったもので構成をしたので、監督もやらせて頂いたということです。
(初映画監督作品の)「ねことじいちゃん」は、いわゆる“演出された劇場映画”なので、今回はドキュメンタリー初監督ですね。
茂木:今回は北海道とミャンマーということで。僕も拝見しましたけど、本当に素晴らしい映画ですね。
岩合:ありがとうございます。嬉しいです。
茂木:“猫映画”というカテゴリーを超えた感動があって。“そもそも猫とはどういう存在なのか”とか、“人間と猫の関係は何なんだろう?”という深いところに響きました。猫が自由に歩き回ってますもんね。
岩合:そうですね(笑)。自由に歩き回るから、カメラでフォローしていくのが大変なんですけれど。でも、撮りがいがある動物だと思います。
わからないだけに魅力があるし、猫は深いんですよね。人の世界じゃない、猫の世界の中で、どういうふうに猫たちが動きを見せてくれるのか、ということに普段から興味があったので、それを映画にできたら、恐らくそれは世界で初めてじゃないかな、と思いながら作っていました。
茂木:本当に僕は世界で初めての何かを見ている感じがして、素晴らしい映画となっていますので、みなさん、ぜひ劇場にお出かけください。
茂木:まずこの映画、北海道の牧場の猫ちゃんたち、可愛いですね〜。牛と絡んでるじゃないですか。あれすごいですね!
岩合:一昨年から撮影を始めたんですけど、2021年は丑年なんですよね。それもちょっと頭の隅にあったかもしれないな、と思うんですよね。“ひょっとしたら、牛と猫が一緒に暮らしてる場所があったらいいな”ということで、探していたんですね。そこで、その北海道の牧場も候補地として上がっていたので。
実際に見たら素晴らしいところだったので、“ぜひここをロケ地として選びたいな”ということにしました。
茂木:牛たちから絞ったミルクを猫ちゃんたちが飲んじゃってるんですよね。ああいうところとか素晴らしいですよね。
あと、牛と猫がじゃれ合ってると言うか、同じ白と黒とぶちので、ああいうのは何なんですかね?
岩合:牧場の中で、本当に一緒に暮らしているんですよね。決して猫たちはどこから来るわけじゃなくて、牛と寝泊りを一緒にしているので、そう言った意味で、お互いに“同じ家の下で暮らす家族”のような関係であるかもしれないですね。
茂木:岩合さんの撮られる映像を観ていると、猫が我々のペットと言うより、半分野生動物みたいな見え方をしてくるんですけど。
岩合:その通りに狙っているかもしれません。それは翻って見れば、僕たち人の中にも、自然ですから、当然野生というものがあると思うんですよね。その野生を、猫の動きを見ていることによって、“ハッ”と気づかされるのが、僕たちがどこかへ置き忘れた、体の中の野生じゃないかな、と思うんですね。それを僕なりに、猫を見ながら“ここは感じるなぁ”というところでシャッターを押していくと、テレビをご覧になっている視聴者の方も、大抵僕が感じるところを感じて頂けるんです。
それは不思議なことなんですけど、“ファインダーを覗いていて、感じなくてはならない”ということを、毎回テレビでも、今回の映画でも、僕が感じることが、ご覧頂ける皆さんに感じて頂けるということだと思いますね。
茂木:今回は、北海道とミャンマーということで。ミャンマーの雨季と乾季で全然風景が変わってしまう、ここの猫たちの生活も素晴らしいですね。
岩合:そうですね。本当に高床式の水の上に建っている家なんですけど、そこで人の一家が暮らしていて、猫もオスとメスと子供が、息子と娘なんですよね。その家に、猫の一家と人の一家が一緒に暮らしてるのが、これ以上望めない程のシチュエーションじゃないかな、と、見た時にハッと思って。で、ある事件が起きて、“この子猫たちがどういう大人になっていくんだろうな?”というのを、もう僕は本当に心からそれを願って、プロデューサーにお願いして“ミャンマー撮らせてください”と言いましたら、"ソロバンを弾いてみます”と(笑)。
茂木:(笑)。
逆に人間の見え方がまたちょっと動物的と言うか、“あ、『人間』と言う動物がいるんだ”みたいな、そういう見え方にも…。
岩合:嬉しいですね。ミャンマーのご家族が本当に飾らない方々なので、本当に“朝、寝ているところから撮らせて頂いていいですか?”と言ったら、“あ、いいよいいよ”と言って頂いて。
顔を洗うところも、奥さんが真っ先に顔をぶわーって、ブルブル〜って洗うんですよね。髪を洗っていたり。それで驚いたんですけど、演出なしで、彼らが顔を洗った後に猫の顔も洗ってくれるんですよ。あれは、全くこちら側が演出してないんです。
茂木:ええ(笑)!? あ、そうなんですか!
岩合:本当に自然に、あるがままに撮影をさせて頂いたので、驚きながらカメラを回したんですよね。その驚きが、きっとご覧頂ける皆さんに通じるんじゃないかな、と思うんですよね。
茂木:僕は本当に、“人が生きるということ”とか“人が動物と共生するということ”の意味を深く考えさせられる、素晴らしい映画だったな、と。
岩合:嬉しいですね〜。そこを突いて頂くと嬉しいです。
●1/8(金)から全国順次公開!「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族」公式サイト
↑前売りチケットや劇場情報など、詳しくは公式サイトをご覧ください!
●劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き 公式Twitter(@nekoaruki_movie)
●岩合光昭 (@lion007) Twitter
●劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族 / 岩合光昭(Amazon)
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お父さまは、日本における動物写真家の草分け的存在と言える、岩合徳光さん。
19歳のときに、お父さまの助手として訪れた、
ガラパゴス諸島の自然の驚異に圧倒され、動物写真家としての道を歩み始められます。
それ以来、地球上のあらゆる地域をフィールドに撮影を続け、ご活躍中です。
1979年には、『海からの手紙』で、写真界の芥川賞と言われる、木村伊兵衛写真賞を受賞。
岩合さんの写真は、美しく、想像力をかきたてる作品として、世界的に高く評価されています。
その一方で、身近な猫を半世紀以上、ライフワークとして撮り続けていらっしゃいます。
──猫を通して感じた野生を、視聴者にも感じてもらう
茂木:BSプレミアムの番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」の劇場版第二弾ということですよね。今回は、「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族」が1月8日からいよいよ公開と言うことで、この映画をご自身で作られていかがですか?
岩合:第一作目は、テレビの「世界ネコ歩き」を再編集して作ったものなので、それを劇場で公開させて頂いたんですけど。今回は本当に新しく撮ったもので構成をしたので、監督もやらせて頂いたということです。
(初映画監督作品の)「ねことじいちゃん」は、いわゆる“演出された劇場映画”なので、今回はドキュメンタリー初監督ですね。
茂木:今回は北海道とミャンマーということで。僕も拝見しましたけど、本当に素晴らしい映画ですね。
岩合:ありがとうございます。嬉しいです。
茂木:“猫映画”というカテゴリーを超えた感動があって。“そもそも猫とはどういう存在なのか”とか、“人間と猫の関係は何なんだろう?”という深いところに響きました。猫が自由に歩き回ってますもんね。
岩合:そうですね(笑)。自由に歩き回るから、カメラでフォローしていくのが大変なんですけれど。でも、撮りがいがある動物だと思います。
わからないだけに魅力があるし、猫は深いんですよね。人の世界じゃない、猫の世界の中で、どういうふうに猫たちが動きを見せてくれるのか、ということに普段から興味があったので、それを映画にできたら、恐らくそれは世界で初めてじゃないかな、と思いながら作っていました。
茂木:本当に僕は世界で初めての何かを見ている感じがして、素晴らしい映画となっていますので、みなさん、ぜひ劇場にお出かけください。
茂木:まずこの映画、北海道の牧場の猫ちゃんたち、可愛いですね〜。牛と絡んでるじゃないですか。あれすごいですね!
岩合:一昨年から撮影を始めたんですけど、2021年は丑年なんですよね。それもちょっと頭の隅にあったかもしれないな、と思うんですよね。“ひょっとしたら、牛と猫が一緒に暮らしてる場所があったらいいな”ということで、探していたんですね。そこで、その北海道の牧場も候補地として上がっていたので。
実際に見たら素晴らしいところだったので、“ぜひここをロケ地として選びたいな”ということにしました。
茂木:牛たちから絞ったミルクを猫ちゃんたちが飲んじゃってるんですよね。ああいうところとか素晴らしいですよね。
あと、牛と猫がじゃれ合ってると言うか、同じ白と黒とぶちので、ああいうのは何なんですかね?
岩合:牧場の中で、本当に一緒に暮らしているんですよね。決して猫たちはどこから来るわけじゃなくて、牛と寝泊りを一緒にしているので、そう言った意味で、お互いに“同じ家の下で暮らす家族”のような関係であるかもしれないですね。
茂木:岩合さんの撮られる映像を観ていると、猫が我々のペットと言うより、半分野生動物みたいな見え方をしてくるんですけど。
岩合:その通りに狙っているかもしれません。それは翻って見れば、僕たち人の中にも、自然ですから、当然野生というものがあると思うんですよね。その野生を、猫の動きを見ていることによって、“ハッ”と気づかされるのが、僕たちがどこかへ置き忘れた、体の中の野生じゃないかな、と思うんですね。それを僕なりに、猫を見ながら“ここは感じるなぁ”というところでシャッターを押していくと、テレビをご覧になっている視聴者の方も、大抵僕が感じるところを感じて頂けるんです。
それは不思議なことなんですけど、“ファインダーを覗いていて、感じなくてはならない”ということを、毎回テレビでも、今回の映画でも、僕が感じることが、ご覧頂ける皆さんに感じて頂けるということだと思いますね。
茂木:今回は、北海道とミャンマーということで。ミャンマーの雨季と乾季で全然風景が変わってしまう、ここの猫たちの生活も素晴らしいですね。
岩合:そうですね。本当に高床式の水の上に建っている家なんですけど、そこで人の一家が暮らしていて、猫もオスとメスと子供が、息子と娘なんですよね。その家に、猫の一家と人の一家が一緒に暮らしてるのが、これ以上望めない程のシチュエーションじゃないかな、と、見た時にハッと思って。で、ある事件が起きて、“この子猫たちがどういう大人になっていくんだろうな?”というのを、もう僕は本当に心からそれを願って、プロデューサーにお願いして“ミャンマー撮らせてください”と言いましたら、"ソロバンを弾いてみます”と(笑)。
茂木:(笑)。
逆に人間の見え方がまたちょっと動物的と言うか、“あ、『人間』と言う動物がいるんだ”みたいな、そういう見え方にも…。
岩合:嬉しいですね。ミャンマーのご家族が本当に飾らない方々なので、本当に“朝、寝ているところから撮らせて頂いていいですか?”と言ったら、“あ、いいよいいよ”と言って頂いて。
顔を洗うところも、奥さんが真っ先に顔をぶわーって、ブルブル〜って洗うんですよね。髪を洗っていたり。それで驚いたんですけど、演出なしで、彼らが顔を洗った後に猫の顔も洗ってくれるんですよ。あれは、全くこちら側が演出してないんです。
茂木:ええ(笑)!? あ、そうなんですか!
岩合:本当に自然に、あるがままに撮影をさせて頂いたので、驚きながらカメラを回したんですよね。その驚きが、きっとご覧頂ける皆さんに通じるんじゃないかな、と思うんですよね。
茂木:僕は本当に、“人が生きるということ”とか“人が動物と共生するということ”の意味を深く考えさせられる、素晴らしい映画だったな、と。
岩合:嬉しいですね〜。そこを突いて頂くと嬉しいです。
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