2020年11月28日
河邉さんは、1988年、兵庫県のお生まれ。
関西学院大学 文学部 文化歴史学科 哲学倫理学専修を
ご卒業されていらっしゃいます。
ピアノ、ドラム、ベースの3ピースバンド・WEAVERのドラマーとして、
2009年10月に「白朝夢」でメジャーデビュー。
河邉さんは、バンドでは作詞も担当されていらっしゃいます。
バンド活動のほかに、
2018年には、小説家デビュー作となる、「夢工場ラムレス」を刊行。
2019年には、2作目となる「流星コーリング」を、
そして、先日、3作目となる、「アルヒのシンギュラリティ」を発表され、
個人でも精力的に活動されていらっしゃいます。
──生きていく意味を今の時代に伝えたい
茂木:河邉さんはWEAVERのドラムスで作詞をされてるという一方で、小説家としてもご活躍中ということで…。先日、新刊「アルヒのシンギュラリティ」を出されて僕も読みましたけど、面白いですよね!
河邉:ありがとうございます! 本当に嬉しいです。
「シンギュラリティ」と言っていますけど、ジャンルとしてはSFにカテゴライズされるとは思うんですが…。ちょっと読んでいただいたらわかったと思うんですけど、ファンタジー小説のようなところがありまして、もしかしたら物足りなかったら申し訳ないなと…(笑)。
茂木:いやいや。ネタバレになので言えないんですけど、この“アルヒ”という子供には、ちょっと重大な秘密があるんですよね。で、お父様との関係が色々とね。
河邉:ありがとうございます(笑)。
茂木:(大学では)ウィトゲンシュタインをやられたということなんですが。
河邉:そうですね。ウィトゲンシュタインもそうですし、基本的に興味があったのが、『他我問題』と言われる心の哲学です。“自分に心があるというのは分かるけど、他人に本当に心があるのだろうか?”というところに興味があって…。
今回僕も、茂木さんの「クオリアと人工意識」を読ませていただきましたけど、すごく興味深かったです。
茂木:いやいや、本当にありがとうございます。恐縮でございます(笑)!
河邉さんの物語を作る力がすごいなと思ったんですけど、伏線貼りまくりですよね。
河邉:すごい嬉しいです。ありがとうございます。
そうですね。僕はとにかく面白い物語が書きたいなと思ったんです。それでたまたま自分の興味があるところがSFと言うか、ロボットと一緒に人間が暮らす街のことだったので、それを舞台に書いたんですけど。
本当に自分が学生の頃に哲学を学んでいて、“ロボットと人間って何が違うんだろう?”みたいなことを考えていたことがきっかけです。やっぱり小説は、著者がワクワクして書けるものが一番面白くなるんじゃないかなと思うので、それでこういう世界の物語を書こうと思いました。
茂木:そして、主人公のアルヒは、“自分が何者であろうか”ということについて、いろいろと惑ったり迷ったりする運命ですね。
河邉:そうなんです。人間もそうなんですけど…。この物語では、ロボットなんだけどロボットが“どうして自分は生まれて来たんだろう?”と悩むシーンがあるんですよね。
ロボットとして生まれてきたから、“どんな目的で生きて行けばいいんだろう?”と悩んだりするんですけど。でも実は人間もそれは同じで、“生まれてきたけれど、目的は何だっけ?”と悩んだりするし、特に今の時代は、僕なんかミュージシャンですけど、ライブができなくなってしまって。ライブをすることで自分の存在意義を確かめられていたんだと思うんですよ。それがちょっと今できなくなって、迷ったりするんですよね。
だから、そんな中でも、僕以外にもそういう人はきっとたくさんいると思うので、『人間もこういうふうにして生きていく意味を見つけたらいいんだよ』ではないんですけど、そういうメッセージもこの物語を通して今の時代に伝えることができたらな、と思って書きました。
茂木:ラストシーンが謎過ぎます。あのラストシーンはかなり謎ですよね。
河邉:(笑)。そうですね、ある種、次に続いていくような、そういうシーンを書こうと思って。そういう含みを持たせられる作品になればな、と思って、ああいうシーンを最後に入れてみましたね。
茂木:みなさん、ぜひこの「アルヒのシンギュラリティ」の、最後のページの最後の行まで、息を持つかせぬ展開です。
河邉さんは、この小説の中にあるシーンがあって、そのシーンに辿り着くように書いたということをおっしゃっていましたが。
河邉:まさにそうですね。そこをとにかく面白くするために、そこで起伏を作って。そのシーンが前半と後半を繋ぐところに出て来るんですけど、そこがあるから後半がより面白くなるようなものに仕上げられたらな、と思って書きました。
茂木:曲作りで、歌詞のサビの部分があるじゃないですか。そこに行くためにちょっと盛り上げる、みたいなところと、ちょっと似てるんですか?
河邉:確かに、歌詞も小説も、僕もそういう書き方をしますね。歌詞なんかは、世の中的には“絶対に最初にサビを書こう”みたいなところがあって、サビを最初に書き上げて言いたいことを書いて、それをどうやって活かすかの為のAメロ・Bメロだったりするんですけど。
小説もそういうふうに、“この言葉を書きたい”とか“このシーンを絶対書きたい”というのを置いて、“それを引き立たせるために、 どんなシーンを書こうか?”みたいなふうにして、物語を構築していくような、そういう書き方をしますね。
茂木:なるほど。そういう意味で言うと、本当に作詞と小説を書くことは繋がってるんですね。
河邉:すごく繋がってますね。
●アルヒのシンギュラリティ / 河邉 徹
(Amazon)
●河邉徹(かわべとおる) (@kwb_wvr) Twitter
●小説家 河邉徹 - WEAVER オフィシャルサイト
● WEAVER オフィシャルサイト
↑WEAVERのLIVE情報はオフィシャルサイトをご覧ください!
関西学院大学 文学部 文化歴史学科 哲学倫理学専修を
ご卒業されていらっしゃいます。
ピアノ、ドラム、ベースの3ピースバンド・WEAVERのドラマーとして、
2009年10月に「白朝夢」でメジャーデビュー。
河邉さんは、バンドでは作詞も担当されていらっしゃいます。
バンド活動のほかに、
2018年には、小説家デビュー作となる、「夢工場ラムレス」を刊行。
2019年には、2作目となる「流星コーリング」を、
そして、先日、3作目となる、「アルヒのシンギュラリティ」を発表され、
個人でも精力的に活動されていらっしゃいます。
──生きていく意味を今の時代に伝えたい
茂木:河邉さんはWEAVERのドラムスで作詞をされてるという一方で、小説家としてもご活躍中ということで…。先日、新刊「アルヒのシンギュラリティ」を出されて僕も読みましたけど、面白いですよね!
河邉:ありがとうございます! 本当に嬉しいです。
「シンギュラリティ」と言っていますけど、ジャンルとしてはSFにカテゴライズされるとは思うんですが…。ちょっと読んでいただいたらわかったと思うんですけど、ファンタジー小説のようなところがありまして、もしかしたら物足りなかったら申し訳ないなと…(笑)。
茂木:いやいや。ネタバレになので言えないんですけど、この“アルヒ”という子供には、ちょっと重大な秘密があるんですよね。で、お父様との関係が色々とね。
河邉:ありがとうございます(笑)。
茂木:(大学では)ウィトゲンシュタインをやられたということなんですが。
河邉:そうですね。ウィトゲンシュタインもそうですし、基本的に興味があったのが、『他我問題』と言われる心の哲学です。“自分に心があるというのは分かるけど、他人に本当に心があるのだろうか?”というところに興味があって…。
今回僕も、茂木さんの「クオリアと人工意識」を読ませていただきましたけど、すごく興味深かったです。
茂木:いやいや、本当にありがとうございます。恐縮でございます(笑)!
河邉さんの物語を作る力がすごいなと思ったんですけど、伏線貼りまくりですよね。
河邉:すごい嬉しいです。ありがとうございます。
そうですね。僕はとにかく面白い物語が書きたいなと思ったんです。それでたまたま自分の興味があるところがSFと言うか、ロボットと一緒に人間が暮らす街のことだったので、それを舞台に書いたんですけど。
本当に自分が学生の頃に哲学を学んでいて、“ロボットと人間って何が違うんだろう?”みたいなことを考えていたことがきっかけです。やっぱり小説は、著者がワクワクして書けるものが一番面白くなるんじゃないかなと思うので、それでこういう世界の物語を書こうと思いました。
茂木:そして、主人公のアルヒは、“自分が何者であろうか”ということについて、いろいろと惑ったり迷ったりする運命ですね。
河邉:そうなんです。人間もそうなんですけど…。この物語では、ロボットなんだけどロボットが“どうして自分は生まれて来たんだろう?”と悩むシーンがあるんですよね。
ロボットとして生まれてきたから、“どんな目的で生きて行けばいいんだろう?”と悩んだりするんですけど。でも実は人間もそれは同じで、“生まれてきたけれど、目的は何だっけ?”と悩んだりするし、特に今の時代は、僕なんかミュージシャンですけど、ライブができなくなってしまって。ライブをすることで自分の存在意義を確かめられていたんだと思うんですよ。それがちょっと今できなくなって、迷ったりするんですよね。
だから、そんな中でも、僕以外にもそういう人はきっとたくさんいると思うので、『人間もこういうふうにして生きていく意味を見つけたらいいんだよ』ではないんですけど、そういうメッセージもこの物語を通して今の時代に伝えることができたらな、と思って書きました。
茂木:ラストシーンが謎過ぎます。あのラストシーンはかなり謎ですよね。
河邉:(笑)。そうですね、ある種、次に続いていくような、そういうシーンを書こうと思って。そういう含みを持たせられる作品になればな、と思って、ああいうシーンを最後に入れてみましたね。
茂木:みなさん、ぜひこの「アルヒのシンギュラリティ」の、最後のページの最後の行まで、息を持つかせぬ展開です。
河邉さんは、この小説の中にあるシーンがあって、そのシーンに辿り着くように書いたということをおっしゃっていましたが。
河邉:まさにそうですね。そこをとにかく面白くするために、そこで起伏を作って。そのシーンが前半と後半を繋ぐところに出て来るんですけど、そこがあるから後半がより面白くなるようなものに仕上げられたらな、と思って書きました。
茂木:曲作りで、歌詞のサビの部分があるじゃないですか。そこに行くためにちょっと盛り上げる、みたいなところと、ちょっと似てるんですか?
河邉:確かに、歌詞も小説も、僕もそういう書き方をしますね。歌詞なんかは、世の中的には“絶対に最初にサビを書こう”みたいなところがあって、サビを最初に書き上げて言いたいことを書いて、それをどうやって活かすかの為のAメロ・Bメロだったりするんですけど。
小説もそういうふうに、“この言葉を書きたい”とか“このシーンを絶対書きたい”というのを置いて、“それを引き立たせるために、 どんなシーンを書こうか?”みたいなふうにして、物語を構築していくような、そういう書き方をしますね。
茂木:なるほど。そういう意味で言うと、本当に作詞と小説を書くことは繋がってるんですね。
河邉:すごく繋がってますね。
●アルヒのシンギュラリティ / 河邉 徹
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●河邉徹(かわべとおる) (@kwb_wvr) Twitter
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