2020年11月07日
大塚 愛さんは、1982年、大阪府のご出身。
15歳から作詞・作曲を始め、2003年9月10日に、
シングル「桃ノ花ビラ」でメジャーデビュー。
その年、12月17日にリリースした2nd シングル「さくらんぼ」が大ヒットとなります。
シンガーソングライターとしての活動のほか、イラストレーター、絵本作家、
楽曲提供など、クリエイターとしてマルチな才能を発揮し、ご活躍中でいらっしゃいます。
そして、先日、講談社が発行する『小説現代』の9月号に、
初の短編小説「開けちゃいけないんだよ」を寄稿し、話題を集めていらっしゃいます。
──大塚 愛の楽曲は『ハンディキャップ仮説』
茂木:大塚さんが自分で作られた曲の中でお好きなもののひとつに「Re:NAME」というものがありますよね。あれは作って良かったと思った楽曲なんですよね。
世間でヒットする楽曲と、自分がいいなと思う楽曲が必ずしも一致しないというのは、アーティストとしてはどう思うんですか?
大塚:結局ヒットするものは、人数が多く集まった、ということですよね。“多くの人が受け入れやすいもの”が“ヒットするもの”であって、“それがいいか”となると、何がいいのかという基準が難しいですよね。
結果、音楽は好みで、“いいか”というよりは“好み”で選ばれているので。日本の大多数の人たちが“これ好きだよね”と思うものが、“=いいもの”なのか? となると、それは別問題だなと思うんですよ。
茂木:“好み”か。深いですね。
大塚 愛さんがすごいな、と思うのは、“焼肉ソング”があるじゃないですか。「黒毛和牛上塩タン焼680円」、あの発想はどこから出てくるんですか?
大塚:(笑)。あれは、17歳か18歳に作ってたんですけど、その当時、B'zのおふたりが「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」というすごい長いタイトルをつけてらっしゃったじゃないですか。“あんな長いタイトルは素晴らしいな”と“私もああいう長いタイトルをつけてみたい”と思って、付けたんですよ(笑)。
茂木:だけど、あれはラブソングですよね。あと、目覚ましの歌もありませんでしたっけ?
大塚:あります。「5:09a.m」。
茂木:なんであんな発想が出て来るのかな、と思って。すごい天才としか言いようがないんですが、「5:09a.m」は何なんですか?
大塚:すごい! あれは、当時同棲していた彼がいて、その彼と夜な夜な一緒に外にいて朝帰って来て、住んでいた6階から見える朝焼けが昇ってくる時が、恐らく“5時9分”。その時の自分の中の衝撃感を歌ったものです。
何か、夜ってちょっとロマンチックがプラスされません? だけど、朝になった時にすべてが一気に覚めるじゃないですか。でも、その時に感じた確かな恋心、“衝撃!”みたいな。
茂木:やっぱり本当に多彩ですね…!
大塚:頭は大丈夫ですかね(笑)。
茂木:大塚 愛さんからご質問を頂いていて。『音楽によって気分が持っていかれる脳のメカニズム』についてですが。
強烈な経験がある時に、それを凝縮して表現されているじゃないですか。その背後にある生物的なシグナルを脳が深く受け止めちゃうんです。『ハンディキャップ仮説』というのがあって、“すごく色んなものを抱えて頑張っている人が、こともなげにシグナルを送るとそれが魅力的”という、クジャクの羽みたいなもの。
今の「5:09a.m」の話を聞いて、背後にそんなストーリーがあったのかと思って、大塚 愛の楽曲は『ハンディキャップ仮説』だな、と思いました。
大塚:私は結構音楽に持っていかれる癖があって、“ああ、ちょっと悲しいな”という時に悲しい曲を聴きたくなるんですけど、聴いちゃったら上がって来れないんですよね。だけど、その時にとりあえず聴きたくもない明るい曲だったり、ちょっと強めの自分になれる曲とかを聴くと、やっぱりちょっと気持ちが回復するんです。ちょっと強い自分になれたりするのは、それは脳がどういう変化をしているんだろう?
茂木:それは、『リバウンド』と言うか。一旦マイナスの方に振ってやった方が、脳が“これはまずい”と、脳内物質を出したりとか色んなことをしてプラスにするんですよ。それで戻って来れるんです。一旦下がって、上がる、という『リバウンド』みたいな現象なんですが。
大塚:はぁ〜。
茂木:ところで大塚 愛さんは写真もご趣味だそうで、この“写真”にまつわる楽曲と考えていいんでしょうかね。この「恋愛写真」という、僕もすごく好きなんですけど。
大塚:ありがとうございます。「恋愛写真」は、私が本当にどっぷり大好きだった人を詰め込みすぎちゃって、もう気持ちが止まらなくて…。実際にレコーディングする時に別れてしまっていたんです。それでもう号泣しちゃって歌えなくて。その日は泣いて歌えないから、別日に撮り直しました。
茂木:それが『ハンディキャップ仮説』と言うか、そういうことがあるからリスナーが強烈な生物的シグナルを受け止めるんですよね。
●小説現代 2020年9月号(Kindle版)
(Amazon)
●大塚 愛 OFFICIAL WEBSITE
●大塚 愛 (@ai_otsuka99)Twitter
●AIO 大塚愛(@aiotsuka_official) Instagram
●小説現代 講談社
15歳から作詞・作曲を始め、2003年9月10日に、
シングル「桃ノ花ビラ」でメジャーデビュー。
その年、12月17日にリリースした2nd シングル「さくらんぼ」が大ヒットとなります。
シンガーソングライターとしての活動のほか、イラストレーター、絵本作家、
楽曲提供など、クリエイターとしてマルチな才能を発揮し、ご活躍中でいらっしゃいます。
そして、先日、講談社が発行する『小説現代』の9月号に、
初の短編小説「開けちゃいけないんだよ」を寄稿し、話題を集めていらっしゃいます。
──大塚 愛の楽曲は『ハンディキャップ仮説』
茂木:大塚さんが自分で作られた曲の中でお好きなもののひとつに「Re:NAME」というものがありますよね。あれは作って良かったと思った楽曲なんですよね。
世間でヒットする楽曲と、自分がいいなと思う楽曲が必ずしも一致しないというのは、アーティストとしてはどう思うんですか?
大塚:結局ヒットするものは、人数が多く集まった、ということですよね。“多くの人が受け入れやすいもの”が“ヒットするもの”であって、“それがいいか”となると、何がいいのかという基準が難しいですよね。
結果、音楽は好みで、“いいか”というよりは“好み”で選ばれているので。日本の大多数の人たちが“これ好きだよね”と思うものが、“=いいもの”なのか? となると、それは別問題だなと思うんですよ。
茂木:“好み”か。深いですね。
大塚 愛さんがすごいな、と思うのは、“焼肉ソング”があるじゃないですか。「黒毛和牛上塩タン焼680円」、あの発想はどこから出てくるんですか?
大塚:(笑)。あれは、17歳か18歳に作ってたんですけど、その当時、B'zのおふたりが「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」というすごい長いタイトルをつけてらっしゃったじゃないですか。“あんな長いタイトルは素晴らしいな”と“私もああいう長いタイトルをつけてみたい”と思って、付けたんですよ(笑)。
茂木:だけど、あれはラブソングですよね。あと、目覚ましの歌もありませんでしたっけ?
大塚:あります。「5:09a.m」。
茂木:なんであんな発想が出て来るのかな、と思って。すごい天才としか言いようがないんですが、「5:09a.m」は何なんですか?
大塚:すごい! あれは、当時同棲していた彼がいて、その彼と夜な夜な一緒に外にいて朝帰って来て、住んでいた6階から見える朝焼けが昇ってくる時が、恐らく“5時9分”。その時の自分の中の衝撃感を歌ったものです。
何か、夜ってちょっとロマンチックがプラスされません? だけど、朝になった時にすべてが一気に覚めるじゃないですか。でも、その時に感じた確かな恋心、“衝撃!”みたいな。
茂木:やっぱり本当に多彩ですね…!
大塚:頭は大丈夫ですかね(笑)。
茂木:大塚 愛さんからご質問を頂いていて。『音楽によって気分が持っていかれる脳のメカニズム』についてですが。
強烈な経験がある時に、それを凝縮して表現されているじゃないですか。その背後にある生物的なシグナルを脳が深く受け止めちゃうんです。『ハンディキャップ仮説』というのがあって、“すごく色んなものを抱えて頑張っている人が、こともなげにシグナルを送るとそれが魅力的”という、クジャクの羽みたいなもの。
今の「5:09a.m」の話を聞いて、背後にそんなストーリーがあったのかと思って、大塚 愛の楽曲は『ハンディキャップ仮説』だな、と思いました。
大塚:私は結構音楽に持っていかれる癖があって、“ああ、ちょっと悲しいな”という時に悲しい曲を聴きたくなるんですけど、聴いちゃったら上がって来れないんですよね。だけど、その時にとりあえず聴きたくもない明るい曲だったり、ちょっと強めの自分になれる曲とかを聴くと、やっぱりちょっと気持ちが回復するんです。ちょっと強い自分になれたりするのは、それは脳がどういう変化をしているんだろう?
茂木:それは、『リバウンド』と言うか。一旦マイナスの方に振ってやった方が、脳が“これはまずい”と、脳内物質を出したりとか色んなことをしてプラスにするんですよ。それで戻って来れるんです。一旦下がって、上がる、という『リバウンド』みたいな現象なんですが。
大塚:はぁ〜。
茂木:ところで大塚 愛さんは写真もご趣味だそうで、この“写真”にまつわる楽曲と考えていいんでしょうかね。この「恋愛写真」という、僕もすごく好きなんですけど。
大塚:ありがとうございます。「恋愛写真」は、私が本当にどっぷり大好きだった人を詰め込みすぎちゃって、もう気持ちが止まらなくて…。実際にレコーディングする時に別れてしまっていたんです。それでもう号泣しちゃって歌えなくて。その日は泣いて歌えないから、別日に撮り直しました。
茂木:それが『ハンディキャップ仮説』と言うか、そういうことがあるからリスナーが強烈な生物的シグナルを受け止めるんですよね。
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