2020年06月06日
今週ゲストにお迎えしたのは、お笑い芸人で俳優の、片桐仁さんです。
片桐仁さんは、1973年、埼玉県のご出身。
多摩美術大学在学中に、小林賢太郎さんと、コントグループ「ラーメンズ」を結成。
現在は、テレビ・舞台などで広くご活躍中でいらっしゃいます。
最近の出演作品には、TBS系ドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』、
日本テレビ系ドラマ『あなたの番です』や、舞台『No.9-不滅の旋律-』などがあります。
また、1999年より俳優業の傍ら、粘土造形家としても活動を開始。
2015年には、イオンモール幕張新都心、2016年からは全国のイオンモールにて、
「片桐仁 不条理アート粘土作品展『ギリ展』」を開催し、
4年間で18都市を巡り、合計7万8000人を動員し人気を集めました。
そして、去年の6月には自身初の海外での個展「技力展(ぎりてん)台湾」を実現し、
そのオリジナリティ溢れる発想力や、細部までこだわったクオリティは、高い評価をうけていらっしゃいます。
──iPhoneケース「eye Phone」
茂木:片桐さんのこの粘土道はすごく膨大な作品数になってるんですね。
片桐:そうですね、180ぐらいありますからね。
茂木:実は今もここに…。
片桐:iPhoneケース。『目』なんで「eye Phone」ですね。
茂木:大きな目があるんですけど、その『目』が『eye』だから、「eye Phone」と! しかも待ち受けの画面が目でしたね。
片桐:そうなんですよ。これは僕の目なんですけどね。
茂木:片桐さんの粘土作品、実は、ご出演されていましたドラマ『99.9 -刑事専門弁護士-』で、いろいろアイテムとして出てきて話題になったそうですね。ドラマでの役柄は、なかなか司法試験に受からない人物。
片桐:そうです! 21年落ち続けて、ずーっとアシスタントをやっているという役なんですけどね。
茂木:このドラマの中では、魚のカレイの形をしたiPhoneケース「カレイ Phone」が出てきます(笑)。
片桐:もともと片桐仁がこの「カレイ Phone」を使っていて、ドラマの本読みに行ってキャストで読んでいた時に、香川照之さんがすごい反応してくれたんです。「これいいじゃない」って言ってくれて、「これを作る人になったらいいんじゃない?」みたいな話になって、台本に組み込まれたんです。だから、すごいありがたい。作品と僕の役者の仕事が合致した瞬間と言うかね。
茂木:ちょっとカメオ出演的ですね。
片桐:そのうち台本に作ってもいないものが書かれてて、『自作の逆さテルテル坊主を颯爽と出す明石』って書いてあって、“これは逆さテルテル坊主を作らなきゃいけないんだな”と思って慌てて作ったりとかしましたね。
──演出家との出会い
茂木:多摩美術大学に行って、片桐さんは就職する気はなかったんですよね。
片桐:なかったんですよ。大人が怖くて(笑)。
茂木:でも、最近美大の学生と話してると、意外と就職する普通の学生になっていますが、その時代の流れはどうですか?
片桐:ビックリしましたよ! だって、僕は「なんとかバイトでもしながら絵を描ければいいや」っていうフワっとしたまま、大学生活が終わっちゃいましたからね。その後5年ぐらいバイトをしながら、絵を描くかと思えば全然描かなくて、プラモデルばっかり作ってたんですけど。
だから、「なんとかなるかな」と、ずっと思ってましたね。そのぐらいいい加減でしたね。
茂木:卒業してしばらくフラフラしてて、でも今はこうやって大活躍ですよね。どうやって自分の道を見つけて行ったらいいのか、片桐さんの話を参考にしたいという方がいらっしゃると思うんですけど。
片桐:いやいや、参考になるかどうかわからないですけど。でも、僕は“出会い”ですね。
一番大きいのは相方の小林賢太郎ですけど、それ以外で言うと、『演出家』という人に出会ったのが大きいかもしれないですね。
茂木:演出家とはどういうことでしょう?
片桐:急に、お芝居に僕だけ呼ばれたんですよ。お笑いでお客さんの前でコントはやってたけど、演劇はほぼやったことがなくて、それで「どうしたらいいのかなぁ?」と思って行ったら、脚本家じゃなくて演出家という「君はこういう人だからこういう動きをして、この位置からこの位置に行って」とかを言うプロの人がいたんです。
その人は、人によって言葉を変えて、「この人にはこういう言い方で言った方が伝わりやすい」とかを見極めて、「この物語の中で生きてください」と。「あなたはこういう人ですけど、あなたがこういう人だったらどうしますか?」ということを聞かれたりとかしました。「あなたはこうだから、こう見えるよね?」と言われて、「あ、僕はこう見えるんだ!」とかを気づかされました。
茂木:その人はすごい人ですね。
片桐:何人かの演出家の人に育ててもらったというのがすごく大きいかもしれないです。
ずっと、ピラミッドみたいな『芸能界』という山を登り続けなきゃいけなくて、そこから落ちて行ったらもう何もない世界、みたいな、“縦の世界”を考えてたんです。でも、演劇で10個下から20個上の先輩までいっぱいいる中で演技をすると、世界がすごく“横に広い世界”だということに気づかされて、だいぶ気持ちが楽になったというのはありますね。
茂木:『演出家』の話でしたけど、どの人も、周りをよく見るとそういう人がいるのかもしれませんね。
片桐:もしかしたらいるんだと思います。僕はそういうのにすごく助けられているんで、絶対に自分が思う評価よりも違う評価で、悪い評価もあるけど、だいたい自分の魅力的なものを引き出してくれる人がずっといたんですよね。
茂木:片桐さんの「自分はこういう人間だ」という自己イメージがあるじゃないですか。それと違うところを見てくれる人がいる。
片桐:まさにそうです! 演劇がもう思い切りそうで、「これはこういう役でこうやってます」と言っても、それを全部の人に汲み取ってもらうわけはないし、あとは「今日は出来が悪かったな」と思ったら、「今日良かったね」って言う人もいるし、とか。
自分の価値基準なんて本当に小さいもので、どう見るかはみんなの自由なので、人によっていろんな意見があるんだな、というのは、すごい面白い世界にいるんだな、というのを実感しますね。
●片桐仁なう(@JinKatagiri_now) ・ Twitter
●片桐仁さん - 公式サイト
片桐仁さんは、1973年、埼玉県のご出身。
多摩美術大学在学中に、小林賢太郎さんと、コントグループ「ラーメンズ」を結成。
現在は、テレビ・舞台などで広くご活躍中でいらっしゃいます。
最近の出演作品には、TBS系ドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』、
日本テレビ系ドラマ『あなたの番です』や、舞台『No.9-不滅の旋律-』などがあります。
また、1999年より俳優業の傍ら、粘土造形家としても活動を開始。
2015年には、イオンモール幕張新都心、2016年からは全国のイオンモールにて、
「片桐仁 不条理アート粘土作品展『ギリ展』」を開催し、
4年間で18都市を巡り、合計7万8000人を動員し人気を集めました。
そして、去年の6月には自身初の海外での個展「技力展(ぎりてん)台湾」を実現し、
そのオリジナリティ溢れる発想力や、細部までこだわったクオリティは、高い評価をうけていらっしゃいます。
──iPhoneケース「eye Phone」
茂木:片桐さんのこの粘土道はすごく膨大な作品数になってるんですね。
片桐:そうですね、180ぐらいありますからね。
茂木:実は今もここに…。
片桐:iPhoneケース。『目』なんで「eye Phone」ですね。
茂木:大きな目があるんですけど、その『目』が『eye』だから、「eye Phone」と! しかも待ち受けの画面が目でしたね。
片桐:そうなんですよ。これは僕の目なんですけどね。
茂木:片桐さんの粘土作品、実は、ご出演されていましたドラマ『99.9 -刑事専門弁護士-』で、いろいろアイテムとして出てきて話題になったそうですね。ドラマでの役柄は、なかなか司法試験に受からない人物。
片桐:そうです! 21年落ち続けて、ずーっとアシスタントをやっているという役なんですけどね。
茂木:このドラマの中では、魚のカレイの形をしたiPhoneケース「カレイ Phone」が出てきます(笑)。
片桐:もともと片桐仁がこの「カレイ Phone」を使っていて、ドラマの本読みに行ってキャストで読んでいた時に、香川照之さんがすごい反応してくれたんです。「これいいじゃない」って言ってくれて、「これを作る人になったらいいんじゃない?」みたいな話になって、台本に組み込まれたんです。だから、すごいありがたい。作品と僕の役者の仕事が合致した瞬間と言うかね。
茂木:ちょっとカメオ出演的ですね。
片桐:そのうち台本に作ってもいないものが書かれてて、『自作の逆さテルテル坊主を颯爽と出す明石』って書いてあって、“これは逆さテルテル坊主を作らなきゃいけないんだな”と思って慌てて作ったりとかしましたね。
──演出家との出会い
茂木:多摩美術大学に行って、片桐さんは就職する気はなかったんですよね。
片桐:なかったんですよ。大人が怖くて(笑)。
茂木:でも、最近美大の学生と話してると、意外と就職する普通の学生になっていますが、その時代の流れはどうですか?
片桐:ビックリしましたよ! だって、僕は「なんとかバイトでもしながら絵を描ければいいや」っていうフワっとしたまま、大学生活が終わっちゃいましたからね。その後5年ぐらいバイトをしながら、絵を描くかと思えば全然描かなくて、プラモデルばっかり作ってたんですけど。
だから、「なんとかなるかな」と、ずっと思ってましたね。そのぐらいいい加減でしたね。
茂木:卒業してしばらくフラフラしてて、でも今はこうやって大活躍ですよね。どうやって自分の道を見つけて行ったらいいのか、片桐さんの話を参考にしたいという方がいらっしゃると思うんですけど。
片桐:いやいや、参考になるかどうかわからないですけど。でも、僕は“出会い”ですね。
一番大きいのは相方の小林賢太郎ですけど、それ以外で言うと、『演出家』という人に出会ったのが大きいかもしれないですね。
茂木:演出家とはどういうことでしょう?
片桐:急に、お芝居に僕だけ呼ばれたんですよ。お笑いでお客さんの前でコントはやってたけど、演劇はほぼやったことがなくて、それで「どうしたらいいのかなぁ?」と思って行ったら、脚本家じゃなくて演出家という「君はこういう人だからこういう動きをして、この位置からこの位置に行って」とかを言うプロの人がいたんです。
その人は、人によって言葉を変えて、「この人にはこういう言い方で言った方が伝わりやすい」とかを見極めて、「この物語の中で生きてください」と。「あなたはこういう人ですけど、あなたがこういう人だったらどうしますか?」ということを聞かれたりとかしました。「あなたはこうだから、こう見えるよね?」と言われて、「あ、僕はこう見えるんだ!」とかを気づかされました。
茂木:その人はすごい人ですね。
片桐:何人かの演出家の人に育ててもらったというのがすごく大きいかもしれないです。
ずっと、ピラミッドみたいな『芸能界』という山を登り続けなきゃいけなくて、そこから落ちて行ったらもう何もない世界、みたいな、“縦の世界”を考えてたんです。でも、演劇で10個下から20個上の先輩までいっぱいいる中で演技をすると、世界がすごく“横に広い世界”だということに気づかされて、だいぶ気持ちが楽になったというのはありますね。
茂木:『演出家』の話でしたけど、どの人も、周りをよく見るとそういう人がいるのかもしれませんね。
片桐:もしかしたらいるんだと思います。僕はそういうのにすごく助けられているんで、絶対に自分が思う評価よりも違う評価で、悪い評価もあるけど、だいたい自分の魅力的なものを引き出してくれる人がずっといたんですよね。
茂木:片桐さんの「自分はこういう人間だ」という自己イメージがあるじゃないですか。それと違うところを見てくれる人がいる。
片桐:まさにそうです! 演劇がもう思い切りそうで、「これはこういう役でこうやってます」と言っても、それを全部の人に汲み取ってもらうわけはないし、あとは「今日は出来が悪かったな」と思ったら、「今日良かったね」って言う人もいるし、とか。
自分の価値基準なんて本当に小さいもので、どう見るかはみんなの自由なので、人によっていろんな意見があるんだな、というのは、すごい面白い世界にいるんだな、というのを実感しますね。
●片桐仁なう(@JinKatagiri_now) ・ Twitter
●片桐仁さん - 公式サイト