2020年05月30日
今週ゲストにお迎えしたのは、株式会社ジンズ、井上一鷹さんです。
井上さんは、1983年生まれ。
慶應義塾大学理工学部をご卒業後、戦略コンサルティングファームである、
アーサー・D・リトルに入社し、大手製造業を中心とした事業戦略、
技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事されました。
2012年に、ジンズに入社。社長室、商品企画グループマネジャー、
R&D室マネジャーを経て、現在、JINS MEME事業部 事業統括と
「世界一集中できる場」を掲げたソロワークスペース「Think Lab」の取締役を兼任されていらっしゃいます。
──“論理思考”と“直感系の思考”と“作業時間”の予約
茂木:井上さん自身は働き方のプロだと思うんですよ。ご自身はどんな働き方をされているんですか?
井上:僕は普通に会社員で、自分のチームも持ってますし、上司である社長もいます。いわゆる中間管理職なので、データを取ってみて一番気になるのが、1日8時間とか10時間ぐらい働いちゃったとしても、大体がずっと会議で終わっているんですね。
僕がよくお話をしていて自分で気になったのが、自分の見ているスケジューラを見ると、絶対に会議から埋まる、と。
茂木:まずは会議が優先されちゃうんですね。
井上:絶対に優先されます。これは何でかと言うと、人と会議室を押さえないといけないので、しょうがないよね、と。
それで、会議が先に埋まった後に、会議が埋まってないところを指さしてみんな何て言うかと言うと、絶対「空いてる」って言うんですよ。これがちょっと違うんじゃないかな、と。
茂木:「空いてる」という言い方が変?
井上:変だと思っています。これが何でかと言うと、会議というコミュニケーションは予約するのに、僕らは“集中を予約しない”、と。
茂木:かっこいい! “集中を予約しない”! 素晴らしい言葉ですね。
井上:自分でひとりで物を考える、という結構大事な時間を予約しないんですよ。で、空いてる時間でやるんですよね。
「JINS MEME」で測ってショックだったのが、“この時間に集中する”と決めて、「何をするか」を書いている人と、ただダラッとデータを取っている人だと、集中の度合いが雲泥の差なんですよ。
茂木:「何をするか」あらかじめ決めている人の方が、集中力が高いんですね。
井上:僕もそうだったんですけど、昔、学生時代は、勉強するのに自習時間とかを「この7時〜9時やろう」みたいのを決めてたじゃないですか。大人になったら急に、これをしていないんですよ。
それで何が起きるかと言うと、合間時間にやって、うっすらと物を考えて、下手をすると土日をバッファーにして、土日に「しょうがないや」とひとりで物を考える。…というのを、僕はもともとやっていました。
茂木:はい。
井上:これをやっているとまずいな、と思って、僕がまず気にしているのは、“集中を予約する”ことです。実はその“集中”も3つに分けていまして…。
1個は、いわゆる論理思考をするため、みんなと話したことをしっかりパワーポイントに落とす、とか、人に伝える資料を作る、という、下を見てぐーっと集中する、パソコンに向き合うみたいな時間。
この集中時間と真逆の、アイデアを出すためにちょっとふわっと、ソファみたいな席で、ひとりになって無目的に物を考える。アジェンダを決めて考え始めるとやっぱり思考は狭くなるので、一回ちょっとオープンに、大きな紙とペンだけ使って「今週何やろうかな?」みたいなことを考える時間。その時間を、僕は月曜の朝に取っています。
僕が聞きかじっている脳神経科学の話で言うと、「エグゼクティブ・ネットワーク」という論理思考する時間と、「デフォルト・モード・ネットワーク」という直感系の思考を強くする時間、これを分けて予約しているんですね。
茂木:「エグゼクティブ・ネットワーク」と「デフォルト・モード・ネットワーク」、それぞれの予約が入っているんですね。これはすごいな!
井上:もう1個大事だな、と思っているのが、“単なる作業”という時間を置いていることなんですよ。
金曜の夕方とかに、2時間ぐらい、いろんな細かいToDoを投げ込むための時間というのを取っています。やっぱり集中できない時は何かと言うと、“あいつのあのメール返してないや”とか、“あの稟議あげてないや”とか、細かいものが残っていると、そこに気持ちが行って気もそぞろになるじゃないですか。だからもう「あの時間にやる」と決めちゃうという。
なので、“作業時間”と“論理思考”と“直感系の思考”の3つを1週間のフォーマットで決めちゃって入れているんですよ。これをやるだけで、各集中が無茶苦茶上がります。これが結構大事だなと思っています。
茂木:井上さん、本当に集中についてはいろんなことを書かれています。井上さんが出されています「集中力 パフォーマンスを300倍にする働き方」の中に、「ポモドーロ・テクニック」というのがご紹介されているんですが、これはどういうやり方なんですか?
井上:集中する時に、25分ぐっと集中して、その25分目で強制的に5分間休む、と。また次25分集中して、また5分強制的に休む。これを4セット回すと集中が上がっていく、という研究があるんです。
“ポモドーロ”はイタリア語で“トマト”なんですけど、トマトの形をしているキッチンタイマーでその研究をした人がいたんです。
茂木:今お話を伺っていると、我々は“集中力を高める”ということについては、じゅうぶん極めていない感じがしますね。
井上:そうですね。勉強は、知識とかは学ぶんだけど、そのやり方とか自分を引き出す方法は意外と学んできていないな、と自分でも思っていますね。僕もそうだと思ってます。
●一人で深く考えるためのソロワーキングスペース「Think Lab」 公式サイト
●世界初、メガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME」 公式サイト
●集中力 パフォーマンスを300倍にする働き方 / 井上 一鷹
(Amazon)
井上さんは、1983年生まれ。
慶應義塾大学理工学部をご卒業後、戦略コンサルティングファームである、
アーサー・D・リトルに入社し、大手製造業を中心とした事業戦略、
技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事されました。
2012年に、ジンズに入社。社長室、商品企画グループマネジャー、
R&D室マネジャーを経て、現在、JINS MEME事業部 事業統括と
「世界一集中できる場」を掲げたソロワークスペース「Think Lab」の取締役を兼任されていらっしゃいます。
──“論理思考”と“直感系の思考”と“作業時間”の予約
茂木:井上さん自身は働き方のプロだと思うんですよ。ご自身はどんな働き方をされているんですか?
井上:僕は普通に会社員で、自分のチームも持ってますし、上司である社長もいます。いわゆる中間管理職なので、データを取ってみて一番気になるのが、1日8時間とか10時間ぐらい働いちゃったとしても、大体がずっと会議で終わっているんですね。
僕がよくお話をしていて自分で気になったのが、自分の見ているスケジューラを見ると、絶対に会議から埋まる、と。
茂木:まずは会議が優先されちゃうんですね。
井上:絶対に優先されます。これは何でかと言うと、人と会議室を押さえないといけないので、しょうがないよね、と。
それで、会議が先に埋まった後に、会議が埋まってないところを指さしてみんな何て言うかと言うと、絶対「空いてる」って言うんですよ。これがちょっと違うんじゃないかな、と。
茂木:「空いてる」という言い方が変?
井上:変だと思っています。これが何でかと言うと、会議というコミュニケーションは予約するのに、僕らは“集中を予約しない”、と。
茂木:かっこいい! “集中を予約しない”! 素晴らしい言葉ですね。
井上:自分でひとりで物を考える、という結構大事な時間を予約しないんですよ。で、空いてる時間でやるんですよね。
「JINS MEME」で測ってショックだったのが、“この時間に集中する”と決めて、「何をするか」を書いている人と、ただダラッとデータを取っている人だと、集中の度合いが雲泥の差なんですよ。
茂木:「何をするか」あらかじめ決めている人の方が、集中力が高いんですね。
井上:僕もそうだったんですけど、昔、学生時代は、勉強するのに自習時間とかを「この7時〜9時やろう」みたいのを決めてたじゃないですか。大人になったら急に、これをしていないんですよ。
それで何が起きるかと言うと、合間時間にやって、うっすらと物を考えて、下手をすると土日をバッファーにして、土日に「しょうがないや」とひとりで物を考える。…というのを、僕はもともとやっていました。
茂木:はい。
井上:これをやっているとまずいな、と思って、僕がまず気にしているのは、“集中を予約する”ことです。実はその“集中”も3つに分けていまして…。
1個は、いわゆる論理思考をするため、みんなと話したことをしっかりパワーポイントに落とす、とか、人に伝える資料を作る、という、下を見てぐーっと集中する、パソコンに向き合うみたいな時間。
この集中時間と真逆の、アイデアを出すためにちょっとふわっと、ソファみたいな席で、ひとりになって無目的に物を考える。アジェンダを決めて考え始めるとやっぱり思考は狭くなるので、一回ちょっとオープンに、大きな紙とペンだけ使って「今週何やろうかな?」みたいなことを考える時間。その時間を、僕は月曜の朝に取っています。
僕が聞きかじっている脳神経科学の話で言うと、「エグゼクティブ・ネットワーク」という論理思考する時間と、「デフォルト・モード・ネットワーク」という直感系の思考を強くする時間、これを分けて予約しているんですね。
茂木:「エグゼクティブ・ネットワーク」と「デフォルト・モード・ネットワーク」、それぞれの予約が入っているんですね。これはすごいな!
井上:もう1個大事だな、と思っているのが、“単なる作業”という時間を置いていることなんですよ。
金曜の夕方とかに、2時間ぐらい、いろんな細かいToDoを投げ込むための時間というのを取っています。やっぱり集中できない時は何かと言うと、“あいつのあのメール返してないや”とか、“あの稟議あげてないや”とか、細かいものが残っていると、そこに気持ちが行って気もそぞろになるじゃないですか。だからもう「あの時間にやる」と決めちゃうという。
なので、“作業時間”と“論理思考”と“直感系の思考”の3つを1週間のフォーマットで決めちゃって入れているんですよ。これをやるだけで、各集中が無茶苦茶上がります。これが結構大事だなと思っています。
茂木:井上さん、本当に集中についてはいろんなことを書かれています。井上さんが出されています「集中力 パフォーマンスを300倍にする働き方」の中に、「ポモドーロ・テクニック」というのがご紹介されているんですが、これはどういうやり方なんですか?
井上:集中する時に、25分ぐっと集中して、その25分目で強制的に5分間休む、と。また次25分集中して、また5分強制的に休む。これを4セット回すと集中が上がっていく、という研究があるんです。
“ポモドーロ”はイタリア語で“トマト”なんですけど、トマトの形をしているキッチンタイマーでその研究をした人がいたんです。
茂木:今お話を伺っていると、我々は“集中力を高める”ということについては、じゅうぶん極めていない感じがしますね。
井上:そうですね。勉強は、知識とかは学ぶんだけど、そのやり方とか自分を引き出す方法は意外と学んできていないな、と自分でも思っていますね。僕もそうだと思ってます。
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