2020年04月18日
今週ゲストにお迎えしたのは、ニューヨーク州弁護士で、現在、テレビを中心に、コメンテーターとしてもご活躍中でいらっしゃいます山口真由さんです。
山口さんは、1983年、北海道札幌市のお生まれです。
東京大学法学部3年生の時に、司法試験に合格。
4年生の時に、国家公務員?種試験に合格されました。
2006年、東京大学を卒業後、財務省に入省し、
主に国際課税を含む、租税政策に従事されます。
その後、日本での弁護士経験を経て、ハーバード大学のロー・スクールに留学され、
修了し、ニューヨーク州の弁護士資格を取得されました。
今年3月には、東京大学大学院 法学政治学研究科 博士課程を修了し、
博士号を取得、テレビのコメンテーターや執筆などで、ご活躍中でいらっしゃいます。
──「家族法」
茂木:日本での弁護士経験を経て、ハーバード大学のロー・スクールに留学されるわけですけど。いわゆるリーガルマインドと言うんでしょうか? 法律的な思考法というのは、日本とアメリカで共通するところもある?
山口:共通するところもあるし、違うところもすごくあります。
日本の法律家は、もっときっちりやりたいんですよね。“この法律があってこの条文に当てはめるとこうなります”みたいな。
アメリカはもっと柔軟で、“このケースはこれに似てますよね。でもこっちのケースはこっちに似てますよね”みたいな感じで、私からするとややしっちゃかめっちゃかで汚いな、と思っちゃったんですよね。それが心理的な抵抗があったりしてすごく苦労しましたね。
茂木:そんな中で、実は「家族法」というのが面白いと気づかれたということなんですけど、何かきっかけがあったんですか?
山口:私はもともと企業法もだし家族法とか全然興味ないよなと思ったんですけど、偶然、家族法の授業を取ってみて、その家族法の授業がものすごく面白かったんですよね。
私はずっと日本にいて“結婚しない!”ってコンプレックスがあったんですけど、“そもそも結婚って何?”と考え始めるとすごく面白いし。
“親とは何か”とか“父とは何か”のようなことを、法律の観点から考えて行くのは、自分の原点に降りて行くような気持ちがしました。
茂木:シングルマザーの方とかも、自分で選んでシングルマザーになってる方もいらっしゃるからってことなんですよね。
山口:そうですね。確かに、私がすごくアメリカ人はいいなと思うのは、“選択すること、それ自体がすごく素晴らしい”。
日本は“ああ、選んで失敗した”と言うじゃないですか。自分で決めたこと事態にワーッて拍手する(アメリカの)文化はいいなと思いました。
茂木:山口さんから見て、日本の家族法の現状というのはどうですか?
山口:家族法を見ていて私が思うのは、“ゆるゆると、結婚して子供を作るのが普通”みたいに、方向に流し込んで行くような圧力があるな、というふうにはすごく思います。
茂木:今年の3月に、東京大学大学院 法学政治学研究科をご修了されたわけですけど、この博士論文のテーマはどういうことだったんですか?
山口:「父とは何か」というテーマです。
アメリカ法でやったんですけど、最近アメリカでも精子提供で生まれてきた子供とか、“父親がどうか”ということがすごく曖昧になってきていて。新しい技術が進んで行き、家族が変わって行く中で、どういう定義によって父というのを捉まえたらいいのか、という考えなんですけど。
茂木:母はある程度しっかりしてますけどね。
山口:そうなんですよ。
私が考えた「父」と言うのは、母との関係と子供との関係によって、何らか作られるものだと。
母との約束。子との継続的な関係によって、ある特定の人が「父」「第二の親」になっていくんだろうな、と思ったんです。
茂木:僕はずっと山口さんのご活躍を拝見してて、ただ日本の社会だと、山口さんは「美人」「高学歴」「弁護士」という扱い方とか、ネットで見ていても「ご結婚はされるのか」とか、「彼氏はいるのか」というのが多いんです。
でもこれはアメリカだったらそういうふうに言われないじゃないですか。日本のそういう現状はどうですか?
山口:私が思ったのは、やっぱりどこに行っても緩〜〜い男尊女卑があるなと思います。
それはもうみんな表立ってやることは減りましたけど、でもだからこそすごい残ってて。
例えば、メディアではじめて衝撃を受けたのは、私結構「家族」とか「ペット」とかの時にコメントを求められて、「経済」とか「政治」の話は全然聞かれなかったんです。
それは男のそっちの方にコメント行くんだな、誰も私が経済についてどう思ってるか興味ないんだな、というのは結構思いましたね。
茂木:「高学歴」で「女性」で「美人」で、という組み合わせが、日本だと落ち着きがないみたいなんですよ。
山口:私が出た瞬間に、私のことが嫌いな人っているんですよ。私からすると、今でもコンプレックスがものすごくあるし、茂木先生と話すのも“どう思われてるんだろう”みたいな、すごく緊張するわけですよ。
そういう葛藤とか苦労とか弱いところを出しちゃいけないような雰囲気は、ちょっと居心地が悪いなと思う時があります。
茂木:でも、そもそも人の外見をあれこれ言うというのも、どうかな、と思いますし。
山口:私も思いました。「美人女医」「美人アスリート」とか。
茂木:「美し過ぎる弁護士」とかね。
山口:女性ばかり外見を取りざたされて、中身までなかなかいかないのはちょっとありますよね。
茂木:東大主席で総長賞を受けたというのは事実なので。ただ、そこばかり言われるのもご本人としてはどうですか?
山口:私がそういう題名の本を出したのであれなんですけど(笑)。
でもずーっと昔から思っていたのが、大学卒業の時のことを今でも言われるというのは、やっぱり自分としては忸怩たる思いがあります。
それからもう14年経ってるのに、自分でもそこに拘ってしまっているし、人からもそこを評価されるのは寂しいなと思いますね。
茂木:僕としては、山口さんが今取り組まれてる「家族法」のこととか、実質の方をお聞きしたいと思いますし。
ご著書の中でも「学歴コンプレックス」みたいなことがずっと理解できなかった、と。社会に出てどういう活躍されているかの方が大事で、ということを書かれてましたけど。
山口:私からするとすごく頭のいい人が、意外と学歴に対してコンプレックスがあったりとか。自分が気にしてるところばかり気にしちゃうじゃないですか。
でも、人の気にしてるところとか弱いところというのは目を向けないといけないな、と思ったんです。
茂木:そういう意味で言うと、山口さんは今こういう形で、いわゆる「ガラスの天井」とよく言われるじゃないですか。“女性がこれ以上うえに行けないよ”という。それを日本で破ってくれる方なのかな、とも思うんですが。
山口:(笑)。いや、でも思った以上に、女性はやりにくいところがあるし、自分自身も女性性を利用しているんじゃないか、みたいな後ろめたさもあるし。
そういうのってすごく難しいんですけど、いつか、“女性だから”“男性だから”ということは関係ないようになったらいいなと思いますね。
茂木:ご専門の「家族法」の分野ですが、日本ではこれからどういう研究をされて、実定法というか法律の問題でもどういう方向が望ましいと思われます?
山口:「家族」というのがどんどん多様になっていくじゃないですか。その時に、“これが普通”という方向にゆるゆると縛り付けていくようなことはやめて、そこにある関係を「家族」と認めていくようなものがいいのかなと思っています。
茂木:実際にそういう社会的な実態があるのならば、それも「家族」という形で法律の方が認める、と。
山口:それを承認して行けばいいと思います。
茂木:そのためには、それを社会学のアプローチでやることもできるだろうけど、山口さんのように法律が専門の方がやることの意味というのは大きいんじゃないですかね。
山口:ありがとうございます。私は「法律」というものをずっとやってきて、嫌いなところもすごく好きなところもあるんですけど、そこに拘って行きたいなと思うんですよね。
■プレゼントのお知らせ
本日のゲスト、山口真由さんの著書、「思い通りに伝わるアウトプット術」に、
山口さんの直筆サインを入れて、3名さまにプレゼントします!
ご希望の方は、必要事項を明記の上、
メッセージフォームより、ご応募ください。
茂木さんに聞きたい事や相談したい事など、
一緒にを添えていただけると嬉しいです。
尚、当選者の発表は、
商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。
●思い通りに伝わるアウトプット術 / 山口 真由
(Amazon)
●山口真由さん 公式facebook
山口さんは、1983年、北海道札幌市のお生まれです。
東京大学法学部3年生の時に、司法試験に合格。
4年生の時に、国家公務員?種試験に合格されました。
2006年、東京大学を卒業後、財務省に入省し、
主に国際課税を含む、租税政策に従事されます。
その後、日本での弁護士経験を経て、ハーバード大学のロー・スクールに留学され、
修了し、ニューヨーク州の弁護士資格を取得されました。
今年3月には、東京大学大学院 法学政治学研究科 博士課程を修了し、
博士号を取得、テレビのコメンテーターや執筆などで、ご活躍中でいらっしゃいます。
──「家族法」
茂木:日本での弁護士経験を経て、ハーバード大学のロー・スクールに留学されるわけですけど。いわゆるリーガルマインドと言うんでしょうか? 法律的な思考法というのは、日本とアメリカで共通するところもある?
山口:共通するところもあるし、違うところもすごくあります。
日本の法律家は、もっときっちりやりたいんですよね。“この法律があってこの条文に当てはめるとこうなります”みたいな。
アメリカはもっと柔軟で、“このケースはこれに似てますよね。でもこっちのケースはこっちに似てますよね”みたいな感じで、私からするとややしっちゃかめっちゃかで汚いな、と思っちゃったんですよね。それが心理的な抵抗があったりしてすごく苦労しましたね。
茂木:そんな中で、実は「家族法」というのが面白いと気づかれたということなんですけど、何かきっかけがあったんですか?
山口:私はもともと企業法もだし家族法とか全然興味ないよなと思ったんですけど、偶然、家族法の授業を取ってみて、その家族法の授業がものすごく面白かったんですよね。
私はずっと日本にいて“結婚しない!”ってコンプレックスがあったんですけど、“そもそも結婚って何?”と考え始めるとすごく面白いし。
“親とは何か”とか“父とは何か”のようなことを、法律の観点から考えて行くのは、自分の原点に降りて行くような気持ちがしました。
茂木:シングルマザーの方とかも、自分で選んでシングルマザーになってる方もいらっしゃるからってことなんですよね。
山口:そうですね。確かに、私がすごくアメリカ人はいいなと思うのは、“選択すること、それ自体がすごく素晴らしい”。
日本は“ああ、選んで失敗した”と言うじゃないですか。自分で決めたこと事態にワーッて拍手する(アメリカの)文化はいいなと思いました。
茂木:山口さんから見て、日本の家族法の現状というのはどうですか?
山口:家族法を見ていて私が思うのは、“ゆるゆると、結婚して子供を作るのが普通”みたいに、方向に流し込んで行くような圧力があるな、というふうにはすごく思います。
茂木:今年の3月に、東京大学大学院 法学政治学研究科をご修了されたわけですけど、この博士論文のテーマはどういうことだったんですか?
山口:「父とは何か」というテーマです。
アメリカ法でやったんですけど、最近アメリカでも精子提供で生まれてきた子供とか、“父親がどうか”ということがすごく曖昧になってきていて。新しい技術が進んで行き、家族が変わって行く中で、どういう定義によって父というのを捉まえたらいいのか、という考えなんですけど。
茂木:母はある程度しっかりしてますけどね。
山口:そうなんですよ。
私が考えた「父」と言うのは、母との関係と子供との関係によって、何らか作られるものだと。
母との約束。子との継続的な関係によって、ある特定の人が「父」「第二の親」になっていくんだろうな、と思ったんです。
茂木:僕はずっと山口さんのご活躍を拝見してて、ただ日本の社会だと、山口さんは「美人」「高学歴」「弁護士」という扱い方とか、ネットで見ていても「ご結婚はされるのか」とか、「彼氏はいるのか」というのが多いんです。
でもこれはアメリカだったらそういうふうに言われないじゃないですか。日本のそういう現状はどうですか?
山口:私が思ったのは、やっぱりどこに行っても緩〜〜い男尊女卑があるなと思います。
それはもうみんな表立ってやることは減りましたけど、でもだからこそすごい残ってて。
例えば、メディアではじめて衝撃を受けたのは、私結構「家族」とか「ペット」とかの時にコメントを求められて、「経済」とか「政治」の話は全然聞かれなかったんです。
それは男のそっちの方にコメント行くんだな、誰も私が経済についてどう思ってるか興味ないんだな、というのは結構思いましたね。
茂木:「高学歴」で「女性」で「美人」で、という組み合わせが、日本だと落ち着きがないみたいなんですよ。
山口:私が出た瞬間に、私のことが嫌いな人っているんですよ。私からすると、今でもコンプレックスがものすごくあるし、茂木先生と話すのも“どう思われてるんだろう”みたいな、すごく緊張するわけですよ。
そういう葛藤とか苦労とか弱いところを出しちゃいけないような雰囲気は、ちょっと居心地が悪いなと思う時があります。
茂木:でも、そもそも人の外見をあれこれ言うというのも、どうかな、と思いますし。
山口:私も思いました。「美人女医」「美人アスリート」とか。
茂木:「美し過ぎる弁護士」とかね。
山口:女性ばかり外見を取りざたされて、中身までなかなかいかないのはちょっとありますよね。
茂木:東大主席で総長賞を受けたというのは事実なので。ただ、そこばかり言われるのもご本人としてはどうですか?
山口:私がそういう題名の本を出したのであれなんですけど(笑)。
でもずーっと昔から思っていたのが、大学卒業の時のことを今でも言われるというのは、やっぱり自分としては忸怩たる思いがあります。
それからもう14年経ってるのに、自分でもそこに拘ってしまっているし、人からもそこを評価されるのは寂しいなと思いますね。
茂木:僕としては、山口さんが今取り組まれてる「家族法」のこととか、実質の方をお聞きしたいと思いますし。
ご著書の中でも「学歴コンプレックス」みたいなことがずっと理解できなかった、と。社会に出てどういう活躍されているかの方が大事で、ということを書かれてましたけど。
山口:私からするとすごく頭のいい人が、意外と学歴に対してコンプレックスがあったりとか。自分が気にしてるところばかり気にしちゃうじゃないですか。
でも、人の気にしてるところとか弱いところというのは目を向けないといけないな、と思ったんです。
茂木:そういう意味で言うと、山口さんは今こういう形で、いわゆる「ガラスの天井」とよく言われるじゃないですか。“女性がこれ以上うえに行けないよ”という。それを日本で破ってくれる方なのかな、とも思うんですが。
山口:(笑)。いや、でも思った以上に、女性はやりにくいところがあるし、自分自身も女性性を利用しているんじゃないか、みたいな後ろめたさもあるし。
そういうのってすごく難しいんですけど、いつか、“女性だから”“男性だから”ということは関係ないようになったらいいなと思いますね。
茂木:ご専門の「家族法」の分野ですが、日本ではこれからどういう研究をされて、実定法というか法律の問題でもどういう方向が望ましいと思われます?
山口:「家族」というのがどんどん多様になっていくじゃないですか。その時に、“これが普通”という方向にゆるゆると縛り付けていくようなことはやめて、そこにある関係を「家族」と認めていくようなものがいいのかなと思っています。
茂木:実際にそういう社会的な実態があるのならば、それも「家族」という形で法律の方が認める、と。
山口:それを承認して行けばいいと思います。
茂木:そのためには、それを社会学のアプローチでやることもできるだろうけど、山口さんのように法律が専門の方がやることの意味というのは大きいんじゃないですかね。
山口:ありがとうございます。私は「法律」というものをずっとやってきて、嫌いなところもすごく好きなところもあるんですけど、そこに拘って行きたいなと思うんですよね。
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本日のゲスト、山口真由さんの著書、「思い通りに伝わるアウトプット術」に、
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尚、当選者の発表は、
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たくさんのご応募、お待ちしております。
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